旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ガルマン・ガミラス兵器群 ガイデルの玩具たち

 

 

 今回はガイデルのおもちゃが率いる東部方面軍の特殊な兵器にスポットライトを当てたいと思う。つまり、次元潜航艇と東部方面軍機動要塞だ。

 


 次元潜航艇
 全長:192メートル
 武装:艦首側舷側亜空間魚雷発射管6門、前部上甲板16連装ミサイル発射口2組、格納式小型単装速射砲2基

 

 キザ野郎ガルマンスピッツ(本人が『ウルフでもスピッツでも結構』って言ってたもん)が操る卑怯な戦闘艦。見た目は出来損ないのういろうにプラモの潜水艦の艦橋をぶっ刺した感じ。

 ちなみに海外ではSubmarine, Subspace〈Type I〉と呼ばれている模様。

 

 武装・運用

 武装ははっきり言って貧弱。通常空間ではこの潜航艇はショックカノンの直撃に抗えるほど強固な外殻を有してはいない。それどころか波動爆雷でも簡単に機能不全に陥る。いくらミサイルを32発同時発射できても、ヤマト相手であればパルスレーザー砲群がある為、十分迎撃可能。たとえ他の艦であったとしても、多数が集結すれば一定程度は迎撃可能。

 主戦場は亜空間断層内という事になるだろう。何と卑怯か。亜空間断層から襲い、亜空間に逃げる。とはいっても亜空間魚雷がなければ攻撃は不可能だから、しょせんは制限がある。劇中で無制限に攻撃を行っていたのは、あれは明らかにご都合主義

 艦の全長、亜空間魚雷の大きさ、内部の装填時描写、一通りがご都合主義ではなしにならない。大体、亜空間に潜る必要性が不明。

 やっぱり、ガトランティスの潜宙艦の方が圧倒的に優秀。比べるのも失礼なぐらいかもしれない。指揮官のキザっぽさと指揮のレベルは同格かもしれないが

 

 登場
 第14話にて初登場。第15話にてヤマトを執拗に攻撃――だいぶ卑怯で人でなしな戦術を使っていた同胞をおとりにするってアイツ正気かよ……。東部方面軍機動要塞に誘引した後はフェードアウト。

 第16話の建国記念セレモニーでデスラーパレス上空を飛行し、再登場を果たしたが、その後の消息は不明。

 

 総統、こんな卑怯な艦……使っていいんですか? 挙句、大して役に立たなそう。

 

 

 

 東部方面軍機動要塞
 データ――不明
 
 ひし形の筒が底部に、全体より前に突き出す。おおむね三角形を組み合わせたような形で――キャラクター化されたガマガエルの顔っぽい。格納庫は2つの模様。コイツ、何とトランスフォーマー。展開後は折り鶴のような形になる。

 見た目が物凄く不気味で不格好で、はっきり言って――私の趣味じゃない。ガミラス兵器のデザイン系統から言ってもかなり逸脱し、ガルマン・ガミラス兵器のデザイン系統にも合致しないため、はっきり言って意味不明なデザイン。

 海外ではSuper FortressGalmus〉と呼ばれている模様。

 

 全長の推定
 形状が変化するため、いまいちわからない。展開前は高さがヤマトの全長の12倍、横14倍、奥行き10倍で展開モードでは高さが大体18倍、横は24倍である。つまり、展開前は高さが3.1キロの幅3.7キロで奥行きが2.6キロ。展開後は高さが4.7キロで幅に至っては6.3キロとなる。
 再設定を行った場合、通常では高さ7キロの奥行き5.8キロで幅7.8キロ。展開後は高さ9.8キロ、奥行きは変わらないが、幅は13キロ。

 

 武装・運用
 武装というより、装甲が特徴的。ショックカノンすら通用しない。しかもヤマト捕獲スペースは空間磁力メッキ並みの防衛設備を施している。
 この強力な防衛能力を以て東部方面軍の機動要塞として司令部として運用されている。ガルマン・ガミラス艦艇は決して小さくない艦が多い為、この要塞でも正直手狭感はある。下部格納庫は1キロほどの四方であろうし、一段上に据えられた格納庫もどうやら800メートル程度。搬入口としては十分すぎるほどの大型であるが、奥行きは1キロ程度。
 収容能力は容量から言って、中型戦闘艦が2×10×5が精いっぱい頑張っての数だろう。中途半端にしゃれた形である為、これでは目一杯の収容は少々困難。恐らく100隻がせいぜいだろう。正直、どうでもよろしい。

 

 このどうでもいい要塞の中で唯一特筆すべきは、散髪スペースだ。つるつる頭にするのにも手間がかかるのだろう、という事と同時に専門の職員を雇っているという――ガルマン・ガミラスの福利厚生面が垣間見えるエピソードがこの東部方面軍機動要塞で繰り広げられた。

 いや、ちゃんと生活面が描かれたという点は本当に画期的だし、感心した

 

 

 登場
 第10話にて初登場、第14話においては母港と床屋としての機能をいかんなく発揮。第15話にてヤマト捕獲に成功するも、ガイデルがホウレンソウを忘れて激怒される舞台となった。

 

 

ガミラス兵器群 駆逐艦/惑星破壊ミサイル母艦

 

 駆逐艦と惑星破壊ミサイル母艦はあまり画面に登場しなかった戦闘艦である。その真価は劇中では――発揮されなかったと言えるだろう。

 今回はこの2艦をまとめて考察したいと思う。

 

 

 駆逐艦

 データ
 全長:不明(約231メートル)
 武装:艦首高圧直撃砲1基、艦首回転速射砲塔2基、同艦尾1基、艦央部連装固定砲1基、艦橋指揮所側面長砲身砲2門、舷側格納・固定式連装エネルギー砲2基1セット多数、艦橋前部3連ミサイル発射管

 

 ガミラスグリーンよりも深い、モスグリーンな塗装だが、艦首の最先端がオレンジ色に塗られている。また、エンジンノズルも黒く塗られている。艦の前半部と後半部では形状が異なり、艦首側艦底部はガトランティスの大戦艦に近い。と、ここまでは中型艦と同様だが、中型艦にあった艦底の角のような黄色い突起はない。艦首の開口部もない。が、ベースとして、ヴィジュアルは中型艦と違いはほとんどない

 艦橋内部は中型戦闘艦に似ているが、中央の司令官席は一段高いところとは言え単なる椅子のみ。大分距離を挟んで前方、窓の前にオペレーター席が3つ程。目の前には埋め込み式の操作パネル群がある。階高は5メートルか6メートル程度だろう。どうでもいいが、艦橋その物に、艦長席とか指揮所のあるエリアに思いっきり角状アンテナのような(ずっとアンテナだと思っていた)長砲身砲が据えられているし使用シーンもある。ないよりはマシかもしれないが、ある意味で謎な構造。

 海外では意外な事に戦艦扱いらしく、〈Conqueror II Prototype〉というクラス名で呼ばれている模様。

 

 武装

 中型戦闘艦のダウングレード版、ガミラスナイズされたガトランティス駆逐艦、あるいはガミラスナイズされた主力戦艦というのが妥当だろう。妥当な表現が多すぎて、その癖かつてのガミラス艦の中には同様の戦闘艦を見出すことが難しい。

 

 艦首方向へは6門+艦橋砲2門が対艦兵装として、艦尾方向へは2門のみ。舷側方向へは6門。ただ、長距離攻撃に供せるのは恐らく固定の大型連装砲だけだろう――火力を担保するには常に艦首を敵に向ける必要が有る。そうはいっても、かつてのミサイル艦やクルーザー艦に比べれば射角と速射性が確保できるため圧倒的に使いやすい武装だし、長距離砲戦を念頭に置いていないなら、主兵装が事実上の両用砲である回転砲塔という兵装も妥当。

 長距離ないし中距離戦闘能力をオミットされている分、対艦戦闘において若干、中型戦闘艦への負担が大きくなる。だが、そのための決戦兵器的な高圧直撃砲だろう。中型戦闘艦が敵をさばいている間に、逆転の必殺技を繰り出すとかそんな感じの戦闘プロット。

 これが中型戦闘艦のダウングレードと表現する理由。申し訳程度に艦橋に長砲身砲を備えているが、固定砲台だから有効かどうかは微妙なライン

 

 高圧直撃砲がどんなものかは不明だが、これはどんな兵器にも決戦級兵器を載せたがるガミラス人らしい兵装だ。多分、通常の火砲と同じような砲だがその威力と効果範囲が数十倍に高められているのだろうと推測できる。

 無きゃ無いでいいし、高圧直撃砲よりミサイルあたりを積みこんだ方が艦の使い勝手が良くなる気もするが――積まないよりはか火力が増すから間違った選択とはいえない。

 

 正面に集中しているとはいえ、割に高い投射力は大型戦闘艦よりも濃密な武装で、この点ガトランティス駆逐艦っぽい。一方で必殺であろう高圧直撃砲を擁する点は決戦兵器好きなガミラスらしい武装。つまるところ両者の特徴を併せ持った戦闘艦――と表現可能だろう。

 他方、長距離砲戦能力は疑問だが、武装の傾向は地球の主力戦艦に近い。万能艦ではなく、割に特化した能力を有し、最悪の状況をひっくり返す必殺兵器を擁するそこそこ多数を用意可能な戦闘艦――とも表現可能だろう。

 結論的には、ガミラスが今まで遭遇した勢力の中で優秀と判断した戦闘艦をガミラスナイズした戦闘艦。だから意外と前身に比定出来る戦闘艦がない。

 

 

 全長の調整
 調整の必要性は低い。艦橋内も特に巨大という印象は受けないし、艦の全長がそもそも200メートル越えと大型である為に原作設定値のままでも十分整合性が取れる。

 仮にヤマトの再設定値に合わせるならば、500メートル弱が丁度いい値になるだろう。

 

 運用・立ち位置

 当然、駆逐艦雷撃能力がないという点はかなり疑問な点だが、駆逐艦は防空任務も担う。その意味では、回転砲塔の速射性からして十分防空任務に供せる駆逐艦は多数の艦艇が集まってこそ能力を発揮する、その意味でもこの艦は当然多数の戦闘艦を集めてこそ力を発揮するため、駆逐艦らしいと言える。

 

 開発の方向性としては先に述べたように、ガミラスにはこれまで存在しなかった純然たる駆逐艦。今までガミラスの戦闘艦は方向性がブレて、デストロイヤー艦が戦艦か重巡洋艦みたいなことになっていたし、クルーザーは何がしたかったかわからなかった。ミサイル艦は武装が癖が強すぎて汎用性が低かった。戦艦は重雷装。

 これらのマズイ傾向を一新し、正統派駆逐艦として相応しい能力を持たせた艦を建造する――というコンセプトの元に設計・建造された艦だとすれば、この駆逐艦の兵装は極めて合理的といえる。別に製作陣はそんな事考えていなかっただろうが、説明としては一番スッキリだろう。

 純然たる駆逐艦と表現して構わないだろうガトランティス駆逐艦をベースに、主力戦艦に準じた決戦兵器と武装の削減を重ね合わせた結果がこの駆逐艦。わざわざゼロから艦艇を設計する必要などないし、まして性能要求がこれまで出会った戦闘艦の中に求められるならば、これに求めても問題はないだろう。むしろ自然ではないだろうか。

 

 劇中の活躍
 ヤマトⅢ第1話から登場、複数隻が登場し第18機甲師団を構成した。第7話バーナード星第一惑星でのシーンに至るまで度々登場したものの、続く第9話の中で……多分波動砲によって基地ごと消滅させられた。が、描写はなし。
 第22話でも登場した可能性があるが、画面上は不明瞭で中型戦闘艦との差が艦首のみで判別が出来ない。多分、第22話では登場していないという事になるだろう。

 その場合、第7話が最後の登場シーン

 

 ガルマン・ガミラスにとって全く新しい戦闘艦それがこの駆逐艦。そう結論づけられるだろう

 

 

 

 

 惑星破壊ミサイル母艦(惑星破壊超大型ミサイル母艦)
 全長:336メートル(ミサイル装着時648メートル)
 兵装:惑星破壊プロトンミサイル1発、艦首無砲身三連装砲塔2基、艦橋指揮所側面長砲身砲2門(駆逐艦と同タイプ)

 

 猛烈にダウンスケールした中型戦闘艦が本体で、その下部に支柱があり、これで惑星破壊ミサイルを懸架している。本体は全体的に黒く塗られ、艦首最先端がオレンジ、あのくぼみから突き出した角が青黒く塗られている――と思いきや、黒い艦体の物は初登場時の一隻のみで他は普通にガミラスグリーンで一通り中型戦闘艦のダウンスケール。ただ、武装の傾向は駆逐艦のダウンスケールに近い

 ある意味の亜種であるグスタフ艦というものも存在するが、ミサイル母艦はあまり印象の大きい戦闘艦とは言い難いだろう。

 海外ではMissile Ship〈Devistator〉と呼ばれているらしい。

 

 武装

 戦闘艦としては、落第。よりによって無砲身砲らしいのだ。これは致命的でどうしようもない。

 無砲身砲は何度も述べたように、仰俯角がうまく取れない。速射性も特に高くない。これでは自衛火器として――回転砲塔という極めて強力で優秀な武器があるのになぜ使わないのか。しかも自衛火器の数があまりに少ない。

 申し訳程度についている――と思われる艦橋の長砲身砲は固定であるから、これ威力はきっと高いのだろうが砲としてもう、どうにもならん

 

 ぶら下げているのが、惑星破壊ミサイルなのに、この脆弱さはヤバいだろう。仮に惑星破壊ミサイルを使った後は、ただの的。さっさと退避する他なく、戦闘に寄与は出来ないはず。つまり……戦闘艦としてはこの艦は全く期待できないだろう

 ただ、武装輸送艦としてならば、巨大な輸送力と多少の自衛能力を有するため、そんなにマズイ設計でもない。問題は投入場面。

 

 他方、ミサイル自体の威力は劇中で見たように、非常に強力で、ガトランティスの破滅ミサイルの6倍ぐらいはあるだろう。

 全長が2倍どころではないから、ある意味当然だが

 

 

 

 全長の妥当性
 少なくとも惑星破壊ミサイルの全長がおかしい。


 この空飛ぶ砲身みたいな特殊なこの惑星破壊ミサイルは、第1話で見たように、バース星守備艦隊のタイプAを次々と踏みつぶしていった。その際の比率から言ってタイプAの9倍はあろうかという本当に超巨大なミサイルである。この時点で1530メートルと頭がおかしいレベル。仮に大型戦闘艦とタイプAが同等の全長であった場合は4キロ程度のバカみたいに巨大なミサイルという事になってしまう。

 どの描写や数値を採用すべきか迷うが、少なくとも、描写からしてミサイルが600メートルであるというのはあまり妥当性がない


 母艦の方はどの程度かといえば、こちらも巨大。タイプAの3倍強は全長として見込む。つまり、520メートル程。ただ、母艦と中型戦闘艦との比較においては原作設定値である300メートル強は妥当な値。
 母艦の艦央部より多少後方から延びたアームがミサイルの前1/3程度の位置を掴んでいるため、ミサイル搭載状態の全体としては1.7キロが妥当だろう。仮にヤマトの再設定値を前提とすると…4キロ近い全長に及ぶ。巨大すぎる……。

 

 

 立ち位置・運用

 決戦兵器運搬艦。それ以上の物でもなければ、それ以下の物でもない。

 

 ガルマン・ガミラスや艦隊にとっての障壁であるとか、危険な存在を粉砕するための戦闘艦である。正確には武装運搬艦。どう考えても戦術レベルで使うのは不適切で、戦略レベルで使うのが妥当だ。戦術レベルでは囮以外に使いようがない。

 性質とか関係なしに劇中の描写からして多分、そんな簡単には惑星破壊ミサイルは使えないだろう。あのグスタフ中将ですら、大抵の武装が即座に装填されるヤマト世界なのにもかかわらず、第22話中での再装填は叶わなかった。妥当なのは、総統の命令とか戦略として使うのが普通だろう。つまるところ、戦略的戦闘艦

 

 無論、惑星破壊ミサイルに対する価値観が、例えばダゴンのようなタイプの指揮官であれば戦術レベルで使うだろう。ただ、艦隊に自由にこの艦艇が配備されるのでないならば、元来は戦術レベルで使うべきではない。

 グスタフ中将が惑星破壊ミサイルを戦術レベルで使ったのは他ならぬ「他に手段がなかったから」という事。ヒステン・バーガーならば、苦し紛れに乱発した可能性はある。だってあの人あのままだと死刑だったもの。

 つまり、二人ともほかに手段がなかったから。そう言う場面でなければ戦術レベルでは使うべきではない。艦隊にとっては奥の手だろう。

 


 劇中の活躍
 ヤマトⅢ第1話に登場、3隻ないし4隻が登場し僚艦と共に第18機甲師団を構成した。以降、出番はない。亜種ともいえるグスタフ艦ならば第21話から第23話にかけて登場している。
 惑星破壊ミサイルだけでいえば第18話の太陽制御の際と第22話のファンタム破壊で発射された。また、第23話でもハーキンス艦に突入する際に確実に爆発した。

 なお第4話で登場した惑星破壊ミサイルは色からしてボラー連邦(全長はヤマトの1.5から2倍程、ガトランティスの小型ミサイルに類似したキノコ的形状)の物なので除外。

 

 

ガルマン・ガミラス兵器群 戦闘空母――ブラッシュアップ艦――

 

 戦闘空母はガミラス帝国でもおなじみの特殊戦闘艦である。ところが、ガルマン・ガミラス帝国においては比較的ポピュラーな戦闘艦へとその立ち位置を変化させた。

 今回はこの艦を考察したいと思う。

 

 

 

 ――データ――

 艦級名:不明
 全長:522メートル
 武装:艦橋前部三連装主砲2基、艦橋後部回転速射砲塔1基、艦後部舷側3連ミサイル発射管片舷1基
 搭載機数:不明
 搭載機種:双胴戦闘機、重爆機、雷撃機

 

 ほとんど今までの戦闘空母と同じだが、飛行甲板ブロックと艦橋ブロックの接続点がやたらにくびれている。また、艦尾フィンの数は猛烈に減少し、2枚にまで落ち込んでいるのが変更点。

 艦尾のかなり下の方にエンジンが艦体に埋め込む形で据えられ、2基であろう。ノズルコーンが2本か、或いは仕切り版があってエンジンが3基あるのかは判然としない。旧来の戦闘空母より追加で、第一主砲ブロックと艦橋エンジンブロックとの間に片舷1本ずつフィンが設置されて――印象は依然とさほど変わらないにしても、全く同じではない。
 塗装はモスグリーンで、ガミラスグリーンよりどうやら濃い。艦首先端は黒く塗られ、飛行甲板は白く塗装されている。大型エレベーターが2機並列で、右舷と左舷に並ぶ。その直後から艦首へと直線が伸び、カタパルトが埋め込まれている模様。艦橋の最前部はオレンジ色に塗られ、エンジンは青白く発光。

 海外では第一作で登場する戦闘空母に続く艦として〈Revenge II〉とクラス名が与えられている。

 

 

 武装
 大型の武装としては3連装長砲身砲塔2基とミサイル6門を擁する反面、砲戦甲板はなぜか劇中未使用。結果として、割と武装のボリュームが小さいし、意外と遠距離型

 

 回転砲塔が艦後部に1基ある為、これも戦闘に使えるが――対空戦闘が主だろう。逆にいえば、この一基ぐらいしか近接戦闘に使える武装がない。特に速射を期待できる武装がこの一基のみちょっと不安。しかも艦橋が邪魔で前方にはあまり射角が取れないのだ

 一方で対艦の遠距離戦闘では先に述べたように長砲身砲が艦首方向に2基とその他ミサイルが6門ある為、正面はかなり強い武装した艦体は艦の後ろ半分に満たない為、中型戦闘艦の長砲身砲と同等の威力が期待できるはず。

 ひょっとして大型戦闘艦より火力がデカいのでは?

 

 

 しかしながら、甲板の機能がよくわからない

 準備稿では飛行甲板が観音開きに左右に展開して砲戦甲板として飛行甲板の裏面が機能するという設定があったらしいが、劇中では未使用。設定上は小回転砲塔が片舷に2基直列、その後ろに横向きのミサイル発射管か何か、更にその後ろに大型回転砲塔を設置してする予定だったらしい。

 この方式であれば、艦の高さを稼がなくとも十分に艦載機格納スペースを艦前方に要することが可能だろう。回転機構だとデッドスペースが大きくなりがちだから、その点は合理的

 

 しかし、重力の大きく働く場面でこの機構が使用可能かは疑問。宇宙戦艦だからそこまで考える必要はないのかもしれないが、大気圏内ではあまり――使える機構ではない。

 また、エネルギー供給路の引き方が全く合理的な説明が出来なくなる。回転機構であれば、飛行甲板形態ではエネルギー伝導管なりファイバーなりが接続されておらず、回転させる事で初めて甲板側のエネルギー伝導管なりファイバーなりが艦体側のエネルギー伝導管なりファイバーなりと接続して砲戦が可能になる。という万が一の誤射に備えた安全策と同時に、エネルギー供給路が簡単に設定できる。だが、観音開きだと回転軸の部分以外に艦体と甲板が接続していないため、エネルギー伝導管を設置できるスペースがない……。この部分はちょっと整合性が取れない。

 まあ、準備されていたとしても劇中では未使用だったため、考えるだけ無駄かもしれないが

 


 確かに火力は高いが結構中途半端な武装で、第一作の戦闘空母やヤマト2のいかんなく航空戦力を発揮し、同時に戦艦としても機能を果たした戦闘空母とは性格が全く異なる。正直、使い勝手が悪い
 対艦戦闘において、長距離砲戦の場合には最低でも中型戦闘艦並みの威力を発揮するだろう。だが、接近された場合は大型戦闘艦や中型戦闘艦よりも速射できる火力が小さい為、競り負けてしまう危険がある。

 砲戦甲板があるのかないのかが大きな肝となるだろう、砲戦甲板の回転砲塔があれば近接戦闘でもかなりの火力を有するため期待大。しかし、劇中では未使用だったし結局砲戦甲板の設定は確定では無かった。

 砲戦甲板がないとなると、この艦は砲戦だけでは敵の艦隊と戦う事は難しい。まして敵の航空艦隊と戦うのは不可能に近い。挙句に劇中では航空戦力も未使用だったため、この戦闘空母が空母として及第点に達しているかどうかも不明である為、スペック的には悪くない事が予想されるが、細部が設定されていないため、高評価も低評価もいまいちしがたい

 

 

 当たり障りのない評価をすると――軽空母の航空戦力中型戦闘艦=大型巡洋艦相当の火力あわせもっているのだから、能力としては有力だろう。特に、火力は不足傾向にあるガルマン・ガミラスにおいてはかなり期待できる。航空戦力など、端っからないものなのだから、有るだけありがたい。

 ただ、これだけの武装があっても空母である以上、あんまり敵の攻撃には晒したくはないから……宝の持ち腐れ感が強い。

 まあ、遠距離戦闘に終始させれば何の問題もないのだがその意味では、第一作らに登場した“前級”のブラッシュアップとも表現できる。怖いのは敵の艦載機のみだが、これは自艦の航空隊に処理を任せればいい。だから砲熕兵器系の近接戦闘武装を縮小し、遠距離戦闘も可能なミサイルでこれに替える。つまり端っから、中・近距離戦闘を切り捨てた戦い方を想定した設計――これは半分空母半分戦艦としては合理的選択ではないだろうか

 

 

 

 全長の妥当性
 大体、全長に対し1/8強程度が艦首のあのロケットっぽい見た目の部分――大体65メートルか。3/8強程度が飛行甲板で、1/8強が艦載機発進口及び第一主砲ブロック、2/8強程の部分が艦橋及びエンジンブロック。幅は100メートル強を見込む。つまり、飛行甲板部分が約150から200メートルであろうと推測可能。高さはざっくり200ないし250メートルか。
 2連3段空母との比較からして一回り小さい程度、ヤマトと同等かわずかに大型程度と推測できる。その場合――実際は原作設定値で430メートル程度、再設定で600メートルほどだろう。

 

 

 

 艦載機運用能力
 どうして搭載している描写や運用している描写がないのか、私には理由がわからない。よってどの程度の艦載機運用能力があるのかもわからない。

 

 エレベーターがある為、雷撃機からギリギリ重爆撃機を出撃させられるかもしれない。箱絵でも重爆撃機を従えていたしね。第一主砲ブロックの発進口は2連3段空母のそれより一回り小さい為、雷撃機の出撃は不可能。当然、重爆撃機も発進不可能

 これだとエレベーターオンリーでの発着艦となる為、展開力は結構低い

 

 艦体が有る程度双胴である為、ロスが大きいが10機程を縦に並べて収容可能だろう。合計で20機程。仮に、全てを雷撃機に替えれば片舷40機程、双胴戦闘機でも40機程は収容可能なのではないだろうか。まんべんなく搭載した場合は、重爆撃機10+雷撃機20+双胴戦闘機20の合計50機。実質的な稼働はそのうちの38から40機程度だろうか。

 うん……馬鹿にならない戦力だが、軽空母程度特化したそれぞれの任務に機体だと、あんまりこの艦のスペースを有効利用できない気がする

 

 

 そこで代わりの機体としては、格闘宇宙戦闘機ゼーアドラーを上げたい

 これはコスモタイガーと同規模の機体である為、意外と大きい雷撃機が引っかかってしまう発進口からでも十分発進は可能だろう。また、爆撃任務もこなせるマルチロール機である為、この機体を載せれば爆撃機を別個に載せる必要はなくなる。
 また、ゼアドラーの場合、幅は確実に雷撃機の半分である。片舷で計算上、横2列縦10機2段=40機が見込まれる。両舷では80機ほどが搭載可能だろう

 航空部隊としてのバランスを考えるならば、ゼーアドラー40機+雷撃機20機の合計60機か。どちらにせよ、ゼーアドラーを採用しなかった場合よりかは搭載機数が増える。400メートル越えの正規空母にしてはかなり搭載機数が少ないが、半分は戦艦であるこの艦にしては、従来の三段空母と同格の搭載機数を確保できるのは十分魅力だろう

 アングルドデッキを廃止しているため、着艦と発艦は厳密に分けなければならないだろう。まあ、3段空母のあの形式をいまだに平気で使いこなしているのだから、多分問題はない。


 搭載機再設定(再設定値ヤマトと比較した場合は、これらの数を約3倍する)
 搭載機数:ゼーアドラー35+補用5、雷撃機15+補用5、合計50+補用10(ゼーアドラー単独搭載で常用70+補用5を見込む)
 搭載機種:ゼーアドラーⅢ、雷撃機

  

 

 運用・立ち位置
 小規模艦隊の防空艦。護衛艦艇の数をあまり割けない弱勢な戦闘艦隊の戦力増強。といったところだろうか。当然、辺境域での活動は視野に入る。

 

 小規模艦隊であれば、ベースとして戦力を大量投入してくるボラー艦隊相手であるから場合によっては全員サッカー状態になりかねない。空母も火力を有していれば、敵艦隊に接近されても多少は踏ん張れる。実際、新たなる旅立ちで三段空母が見事先頭集団で砲撃戦に参加していた。

 反対に、戦艦ばかりでも多少艦載機があれば敵空襲にある程度抗せる。どちらにウェイトをおいても、この戦闘空母は能力を発揮可能。

 また、この艦を特殊任務に用いるとしても、旗艦であるからといっても護衛艦を割く必要は大してない。この艦であれば、艦隊の直接的対艦戦力を圧迫しない形で、航空戦力を編入する事が可能となる。

 

 

 この自分で自分を護衛できる能力は、ボラー艦隊より巨大艦隊を常に提供できるわけでは無いガルマン・ガミラスにとって、魅力的な設計だろう

 だって砲戦に参加できるレベルの空母だもの、護衛艦艇の数を大幅に圧縮可能になる。ぜひ艦隊に参加してほしい、特に中・小規模艦隊に。

 

 

 思い出してほしいのは――ガルマン・ガミラスはボラーに数で勝てない、一度たりとも上回る数を派遣できたことがないという事。つまりところ……別にガルマン・ガミラスは艦隊戦力が数的に充実しているわけでは無いのである

 そんな中で、護衛艦が少数ですむ空母。ベストな選択だろう。多少艦載機運用能力が低くても、そもそも航空戦力をいまだにあまり重視していないガルマン・ガミラスにとっては大きな問題ではない。攻撃と迎撃の幅が増えればいいだけなのだ。仮に航空戦力を重点的に補充したいなら、2連3段空母を編入すればいいだけ。

 もっといえば、ボラー側も惑星制圧戦以外にはあまり航空戦力を使わないため、ガルマン・ガミラスにとって艦隊戦における航空戦力は保険程度といっても過言ではない。ダゴンの発言からもそう推測は可能。

 だとすれば、そこそこの搭載機数と結構な火力を有している戦闘空母は、まさにおあつらえ向きの戦闘艦これらの想定から、ガルマン・ガミラスの事情からし戦闘空母の地位が第一作やヤマト2以上に大きく向上したのは当然の流れだと説明が可能。

 カッコいいとかいう大人の事情とか関係なしにね。

 

 

 劇中の活躍
 第10話にて初登場、僚艦3隻集中運用を以て第17空母艦隊の火力及び航空戦力の補完役を担った。これらはヤマトを追い詰めたものの、翌第11話でショックカノンに質面疔内にされて戦没。

 第16話の建国記念セレモニーでデスラーパレス上空を飛行し、堂々再登場を果たした。しかしながら、その後の行方は知れず。

 

 

 基本的にマズイ戦闘艦ではないむしろ、ガルマン・ガミラスにとっては有用艦。ちょっと中途半端な感じは否めないが、それはガルマン・ガミラスの方針によるところと説明が可能――ダゴン艦隊の大惨事を見て駄作艦とするのはあまりに過小評価過ぎるというものだろう。

 

 

ガルマン・ガミラス兵器群 2連3段空母――次世代型空母――

 

 2連3段空母はヤマトⅢの中でもかなり有名な戦闘艦であり、"ダゴン新鋭艦隊”、つまり第17空母艦隊の基幹戦力を担う大型空母である。赤い見たカラーリング、ちょっと懐かしい見た目の極めて特異で印象的な戦闘艦だ。

 今回はこの艦を考察したいと思う。

 

 

 ――データ――

 艦名等:不明
 全長:540メートル
 武装:回転速射砲塔4基、瞬間物質移送器
 搭載機数:不明

 搭載機種:雷撃機、重爆撃機、双胴戦闘機

 

 全体的に赤く塗られ、右舷側は艦首から艦尾にかけて飛行甲板部に白い矢印が記され、反対に左舷は艦尾から艦首にかけて白い矢印が伸びる。しかし、最先端部には直径50メートルの幾らかピンク色に塗られた円形がある。ここは瞬間物質移送器が埋め込まれ、一基ずつ発艦が可能となっている。艦尾にはそれぞれ左右に着艦用の飛行甲板が存在し、これは矩形ノズルエンジンの上部に設置されている。


 艦橋は戦闘空母のそれに近いが、かなり角ばった様子。最上甲板発進口より一段高まった部分から、更に一段高まった部分に艦橋が据えられている。幅はほぼ双胴戦闘機より一回り小さい程度か、他方で奥行きは恐らく重爆撃機と同様。
 艦橋内部は四角い大窓の左右に台形の大窓が近接。2メートルほど床からせりあがった中央通路の更に2メートルほど高まった部分に艦長席が堂々とそびえる。割と小さい椅子だし、床には3メートルほどの幅あるとはいえ手すりがないから危ない。艦長席後方、左右に階段かエスカレーターが付属し、昇降可能になっている。せりあがった中央通路によって左右に分けられ、オペレーターが2名ほど、大型モニターであるとか瞬間物質移送器操作盤を操る。

 海外ではTripple Twin-Deck Carrier〈Garumman〉と類別が大変ややこしい表現になっている。一方で艦名は威風堂々ガルマン。見合う活躍は出来なかったけど……。

 

 

 武装
 武装は極めて貧弱艦後方に設置された回転砲塔4基しかないのはいただけない。挙句、配置がかなりマズイのである。

 二門ずつ発射を鑑みると、遮蔽物が全くない為に艦首方向へは同時に8門を見込める。数的にはそれなりに有意義だろう。その一方、舷側方向は4門がせいぜい。角度を多少つければもう1門ぐらいは加勢できるかもしれないが……元々、大型艦の割に根本的に砲門数はが少ない。加えて、ガトランティス時代から遠距離砲戦には向かない傾向がある回転砲塔。

 この武装では近接戦闘以外にまるっきり何もできない。下手をすれば、自衛さえあやうい。かつての三段空母はこれの半分よりもっと短い全長であるが、長砲身砲を多数装備していた為に意外と攻撃力は馬鹿にならなかったが、2連3段空母は武装がダウングレードしてしまっている対空・対艦の両用砲として回転砲塔を採用したのは合理的な選択であろうが、であるならばより多くの武装が搭載可能になったはず。はずなのに、どうしてもっと武装を付けなかったのか……。
 このままだとむしろ的になるだけ、艦載機を危険にさらすだけに思われる。幾らダゴンが頭悪かったとしても、この艦をヤマトのすぐそばに送り込むなんて……

 

 

 全長の妥当性
 3/4弱が3段空母の部分であり、1/4強ほどが連結部及びエンジンブロックとなっている。連結の空白部は飛行甲板の1/3程を描写され、高さは三段空母部分の半分ほどを見込むが、艦橋がある為多少高くなる。

 幅は全長に対し1対3程でずんぐりむっくりではないが、取り立ててスマートというほどではない。3段空母の部分はかつての3段空母より長い模様であるが、カットによって印象が異なる。総合的に勘案すると、想定としては1.5倍程。連結部に張り出した砲台がある為、これが――ざっくり飛行甲板の半分ほどの長さがある。

 


 飛行甲板について雷撃機が3機横並びになっても十分左右に余裕がある――4機並べるとギリギリということ。重爆撃機だと、多少翼端が干渉してしまうため互い違いに並べる必要が有るが、それでも2機は並べられる。
 艦載機前提だと飛行甲板幅は60メートル前後で、両舷合わせて120メートルに艦中央の空白空間の幅を勘案すれば、全長との比率がざっくり1:3程度に収まるため齟齬はない。が、戦闘空母やヤマトとの比較だと――設定値と描写にかなり齟齬が生じる。設定値が少々大きいのである。


 つまり――艦の全長は妥当性が確保できているとは言い難いが、棄損しているほどでもない、微妙なライン。

 

 原作設定値より――100メートル近く縮小されると、ヤマトの原作設定値を基準とした値として描写に近い全長となる。ヤマトの原作設定値=機能部の描写をガン無視した場合における、ヴィジュアル的に妥当な設定値は400メートル程度……なのではないだろうか。という事。

 一方、ヤマトの再設定値――これを適用した場合、この空母は原作設定の全長が当たらずとも遠からずになる。妥当性を帯びる。さすがに540メートルだとヤマトより小型になってしまうため、620メートル程がざっくり想定可能だろう

  どっちみち100メートル近くの増減が生じる。だが、他の艦に比べればこの程度は誤差程度といっても構わないだろうガトランティスの超大型空母なんか、キロ単位で妥当性がずれていったのだから、それに比べればずっとマトモ。

 

 なお、発進口は片舷5つあるらしい。が、極めて矛盾なのが、少なくとも最上飛行甲板の発進口が雷撃機専用に限定されていること。だって1開口部の幅が雷撃機にジャストフィット。でも、最上飛行甲板の後部には重爆撃機や双発戦闘機が駐機中……

 これは飛行甲板の幅が60メートルであることが確認できるため、大変便利な描写なのだが……重爆撃機が発進できない。つっかえてしまう。もし重爆撃機や双発戦闘機を運用するならば確実にエレベーターが必要だし、多分あるのだろうが初登場時の描写と艦自体のスペックに重層的な違和感が生じてしまった

 

 

 

 艦載機運用能力
 双胴戦闘機は全長が18メートル、全幅が29メートルであるとされる。雷撃機は全長17メートル、全幅12メートル。重爆撃機は全長21メートル、全幅31メートル。
 第10話でガイデルがダゴンに披露した際は甲板上に雷撃機は左舷15機・右舷15機、重爆撃機は左舷10機、双胴戦闘機は右舷14機が駐機していた。これが3段を見込むと総計として雷撃機90機、重爆撃機30、双胴戦闘機42機の全体で162機であろう――と思ったのだが、どうも違う可能性があるらしい

 


 第11話でのシーン。これは非常に画期的でカッコいい描写だが、この存在のおかげで艦内を考察するうえではちょっとややこしい事になった。

 当該描写は、艦載機の武装補給に関するもので――右舷艦体に着艦した艦載機は内部にある自動給弾レーンに載せられ順次、左舷から発艦していく。着艦の様子から最上飛行甲板は雷撃機、中飛行甲板は重爆撃機、最下飛行甲板は双胴戦闘機の運用に絞っているらしい事が判る。

 じゃあ、第10話で何で駐機をお披露目をしたんだと突っ込みたくなる。しかも、一応右舷と左舷の艦尾にそれぞれ着艦用の甲板がエンジン部の上に設けられているというのだが……だったら何で前から着艦してるんだよ……。

 

 格納部分の話であるが――まさか円形の瞬間物質移送器搭載部にまで機体をのっけたまま運航するとは思えないし、本当ならば両サイドに擁壁がある部分までが格納庫であろう。となると、飛行甲板部の2/3弱が艦載機格納部と推定可能。この数値を勘案すると、初披露での駐機数の倍程度の範囲に収まるのが妥当なはず。

 つまり、これらの情報を総合的にアンアンすると、片舷のみの搭載であれば双胴戦闘機24機・重爆撃機20機・雷撃機30機、両舷搭載ならばその倍が妥当なライン。再設定値では、片舷搭載双胴戦闘機36機・重爆撃機30・雷撃機40で両舷搭載なら当然倍。これらの数値が最大に近い搭載機数といえるはずだ。

 

 原作設定値

 搭載機数:双胴戦闘機常用18+補用4(ないし常用36+補用8機)、重爆撃機常用15+補用4(ないし常用30+補用5機)、雷撃機常用25+補用4(ないし常用50+補用5機)/総数常用58+12機(ないし常用98+18機)
 搭載機種:双胴戦闘機、重爆機、雷撃機

 

 再設定値

 搭載機数:双胴戦闘機常用30+補用6(ないし常用65+補用7機)、重爆撃機常用25+補用5(ないし常用50+補用10機)、雷撃機常用35+補用5(ないし常用70+補用10機)/総数常用85+16機(ないし常用185+27機)
 搭載機種:双胴戦闘機、重爆機、雷撃機

 

 

 第一作に登場した3段空母のギリギリの搭載能力60機程度に比べれば、どの想定でもかなり有力な搭載機数を誇る。だが、あっちは200メートルでこっちは540メートルと図体に比べれば明らかに能力が低い。

 ガミラスの航空戦力に対する低い注力度からすれば、高い合理性を以て展開力を担保するこの艦は、能力的にいえば不足はないだろう。迅速な補給が出来れば、あるいは替えのパイロットが迅速に用意出来れば、これは大量に艦載機を保有するだけの空母よりよっぽど戦力になるのだから。

 

 ただ、ちょっとこけおどし感があるのは否めない

 

 

 

 運用・立ち位置
 航空戦力の基幹となる戦闘艦だろう。旗艦任務でも構わないが、出来れば艦載機運用だけに注力してほしい。だって、外観的にはあんまり指揮能力が高い艦には思われないから……

 

 空母としての立ち位置は、先進的な実験艦というところになるだろう

 発艦と着艦を艦体を分けて運用するため、かち合う事がない。つまるところ、余計な事故で艦や機体を喪失することはないだろう。これは有意義だし、艦載機を発進させ続ける上でアドバンテージになる。また、給弾が全自動であることは非常に特徴的で、背航空整備員の数を大きく減らすことが可能。

 この航空整備員は本来はパイロットと同数は確実に確保しておきたいのであるが、いかんせん人数が膨大。パイロットと合わせてしまうと、艦の居住スペースは容易にひっ迫してしまう。しかし、整備が極限まで自動化されていれば、整備員用居住スペースを別の用途に転用可能だし、集中力を欠いたうえで起きる不幸なミスも防げる。

 場合によってはこのスペースを自動給弾レーンに用いたのかもしれない。

 

 航空戦力は生身の人間に頼ると、大きなリソースを割かねばならない。だが、これを極限まで自動化できれば、その限りではないだろう。数的に足りない航空戦力の火力を補うには、効率の良い出撃と補給は大前提になるだろう。

 コンセプトはガミラス式の次世代空母数的不足を補えるほどの展開力と、人的リソースを圧迫しない自動化による整備。それでいて、長年運用してきて構造的な強みも弱点も理解している、無理のない設計を用いて安全・安定性の確保

 これらの要件をクリアするため、三段空母をベースとして発展的に設計変更を行った。ガミラスにあるありったけの自動化技術を投入して完成させた艦。

 というのが妥当な立ち位置と、建造の背景と説明できるのではないだろうか。

 


 これらの要件から通常の艦隊戦や征服事業の他、あまり人員を割けない辺境地域への侵攻及び警備にかなり役立つと見える

 艦の運航自体はどうやら、艦橋の規模とオペレーターの数からいって必要な頭数は多くはない。あとはパイロットだけだが、これはある程度縮小可能だろう。特に現代のような、リモート技術やAI技術の高い環境における想定では、もしかするとドローンという事になるかもしれない。ともあれ、パイロットも機械のサポートを受けるのだから、超絶技巧を一様に要求されることもないのだから、確保可能なはず。整備士も、自動化されてほとんどいらない。故に、艦の運用には空母としては非常に少ない人数で十分戦力として役に立つ事だろう。

 目立つし、威圧的だし、戦力として馬鹿にならない。この存在意義は大きいだろう。敵艦と直接の対決さえ行わなければ、という点は注意しなければならないが、ちょっと戦力的に不安の残る艦隊に配備すれば、総統の言葉通り「一層レベルアップされるはず」だろう

 モニター艦〈サーベラス〉に近いイメージだろうか。あの艦も、見た目はアレだが一応最新鋭だったし、配備された当初は戦力として(人員さえそろえば)決してバカにならないものだった。同時代的に世界的に見て、スペックとしては割とまともだった。

 2連3段空母も、これと同じ。

 


 一方で、実際に戦闘になった場合に要求されるのは、迅速な航空戦力の射出や再出撃の支援だろう。

 空襲の効果が不十分な場合における迅速な再出撃は死活問題であり、着艦と補給を迅速に行える2連3段空母は持って来いな存在。また、遠方からの攻撃や奇襲攻撃の際には瞬間物質移送器がいかんなく威力を発揮してくれる。

 ただ、 がっつりと敵と組み合う航空戦は戦闘空母や新3段空母らを前面に出してその火力で敵を排除させ、航空戦力を展開させ――2連3段空母はその脆弱性から後方に位置して指揮通信が中心となるだろう。これが安全。

 

 

 劇中の活躍
 第10話にて初登場、東部方面軍機動要塞の格納スペースで戦闘空母などの僚艦と共に画面に大写しになった。この艦はゲーレン艦長指揮のものであり、ダゴンが受領した後、ヤマト迎撃のために出撃する。同話中から、第17空母艦隊の基幹戦力としてヤマトを追い詰めたものの翌話で戦没。
 第16話の建国記念セレモニーで別艦がデスラーパレス上空を飛行し、再登場を果たした。が、それ以降の消息は不明。

 

 

 

 ヤマトⅢという作品はヤマトというコンテンツの仇花感が何となく臭う感じがするというのが私の見解。SFなのか冒険なのかが判然としないからこその良さと、はっきりしなさゆえのテンポの悪さや演出マターな展開――この二つが入り混じった結果として、評価が人によって大きくわかれる。

 その中において、この2連3段空母は合理性はそれなりに担保されているし、色々と見どころのある艦である。そうではあるのだが、細部に矛盾をはらんだ――どうにもおさまりの悪さを感じざるを得ない。この点、ヤマトⅢらしい艦とも表現できる。

 ストーリー展開上の必要性はない演出マターな登場なのだが、一方でガルマン・ガミラスの軍事力にリアリティを加える存在でもある。何に焦点を据えて評価するかによって、いかようにも評価が変わる戦闘艦、それが2連3段空母。

ガルマン・ガミラス兵器群 調査船/工作艦

 

 

 出番が少なく、何者なのかほとんどかわからなかったのが調査船と工作艦である。

 この両者はヤマト作品にありがちな、当該勢力のメカニック的複層さ演出とエピソードにおける必要さの観点から登場したが結局要目がほとんど示されないタイプのメカである。判る範囲で考察したいと思う。

 

 

 

 調査船

 データ――不明


 地質学のベテラン、ヘルマイヤー少佐が乗り組み、惑星ファンタムへと向かったのがこの調査船である。

 デスラー戦闘空母に近い巨大な艦橋、カバーを付けたバリカンみたいな黄色い艦首、大戦艦の艦尾を不格好に短くした(カラクルム級の艦尾ですね)を持つ独特な艦。ただ、大戦艦では特に何の意味もなかったフィンであったが、この艦の横軸フィンに関してはインテークと小型回転砲塔のプラットホームになっている。しかも3角形エンジンが後方についている。合計で2本のノズルという事になる。縦軸フィンは実は昇降口が隠されていて、開口部は4メートルの6角形でタラップが下りる。


 艦橋内部は結構特殊で、艦長席は中央部に専用の操作デスクを共に設けられている。両脇には艦橋クルー用のイスとモニターが2つずつ並べられ、一段の艦橋前方にもクルーのオペレーションスペースがある。窓は台形と三角形二つ、外部との通信モニターはなぜかゴルバのそれと同じ。
 着陸はプレート状の接地面のついた脚4本で支える。脚は結構目立ち、全長の1/5弱相当のかなり細長い。

 個人的に意味が解らないのが、海外ではBattleshipという分類をされていることで幾ら何でもそれは違かろうて……クラス名も〈Unmanned〉と実情とは違うが立派なものを貰っている。本邦では全く名前何ぞもらっていないのに。

 

 武装・全長の推測

 武装は艦尾横軸フィンの基部に回転砲塔が片舷1基ずつやっぱり、危険を鑑みれば調査船にも多少の武装は必要ですよね。この対空砲に加えて探査用ドリル。これはまんま、ドリルミサイル。中を炸薬でいっぱいにすれば十分ミサイルになる。

 このドリルミサイル探査用ドリルは艦後部の縦軸下方フィンから発射される。なんだかよくわからない船だ。

 

 全長は縦軸下方フィンが24メートルであることから推測して――艦尾の高さは110メートル。艦首の黄色いハッチは38メートルほどで艦首ブロック全体は60メートルが妥当。。艦橋より後方の艦体が60メートル強、艦橋より前方の黒い変化した艦体は40メートルから50メートル程度、艦橋自体は70メートルから80メートル程度を見込む。

 つまり、全長は170メートルはくだらない。

 

 劇中の活躍

 第21話に登場、総統の命を受けてガルマン・ガミラス本星より緊急発進し、惑星ファンタムへと向かった。惑星ファンタム着陸後、ヤマトクルーの反対を丁寧かつ断固として断り、真田さんも同じ科学者として強くは否定できなかったため、強行的調査手段を敢行。ドリルミサイル探査用ドリルを発射した。

 そりゃ、麻酔もなしにドリルを撃ち込まれれば生き物だもの、当然暴れる。おかげで調査船は危うく脚を折られそうになり――しかし何とかフルパワー噴射で逃げ切った。

 

 

 


 工作艦

 データ――不明

 全体が緑に塗らている艦。艦橋が明らかにガトランティスの中型高速空母のそれである。一方で艦体は装飾的な形状を排した駆逐艦といった風。艦首の不明な扁平開口部は用途が不明。黄色く縁どられ、内部が赤。どことなく、シュルツ艦っぽい艦首。インテークは多分、艦尾の凄く大きい一枚。エンジンノズルは方形で、ノズルコーンはない。特徴的なのが、艦底部に埋め込む形で惑星破壊ミサイルを抱える点。
 あとは描写がブレる為、明言できず。

 

 艦橋内部に艦長席はない模様。正面に丸い大型モニターが設置させ、ランウェイ上に艦橋内部を歩き回れるようになっている。ランウェイの下にはクルー用の席が2つずつ設けられ、4人でオペレーションする模様。母艦(フラウスキー少佐の旗艦)のみ、ランウェイの上面図が異なる。

 なぜかは知らないが――多分惑星破壊ミサイルを格納しているからなのだろう、海外では重巡洋艦として分類され〈Rancor〉というクラス名を持っている様子。

 

 

 全長の推測

 全長はヤマトの5から6倍近い。つまり、設定値では1300メートルないし1500メートルを見込む。ヤマトの再設定値を元にした場合、2900メートルないし3480メートルを見込む。かなり大型艦だ。

 ただ、惑星破壊ミサイルを前提とすると話が変わる。惑星破壊ミサイルは格納部が艦隊の実に半分に及ぶ。つまり、この艦は惑星破壊ミサイルのタイプAとの比較=1530メートルより、相当大きい。ざっくり……765メートルが艦首、艦尾にプラスされる。全長はおよそ3キロ。

 

 劇中の活躍
 第17話にて初登場、6隻で工作船団を構成していた。ボラーのワープミサイルの攻撃を受けるさなかの出撃だった。ヤマトの活躍により、幸い難を逃れる。

 翌第18話にも登場、エピソード冒頭に藤堂長官の視察を受ける。その後、二手に分かれて太陽制御工作を行ったが――太陽に敵わず、全艦退避。しかし、フラウスキー少佐の旗艦は総員退避の後――少佐が単独で残り、作戦失敗の責任を取る形で太陽に突入していった。

 

 

ガルマン・ガミラス兵器群 グスタフ艦――北部方面艦隊旗艦――

 

 

 グスタフ艦は北部方面艦隊の旗艦にして、ある意味ヤマトの恩人であるグスタフ中将の旗艦である。極めて特異、突飛な武装を持った勇者の艦だ。

 

 

 ――データ――

 艦名等:不明
 全長:不明(推定約640メートル)
 兵装:艦底部惑星破壊プロトンミサイル1発、正面ミサイル発射管1門、艦首三連装長砲身砲塔1基、艦首回転速射砲塔2基、舷側推進ブロック前面三連装ミサイル発射管片舷1基 

 

 中型戦闘艦と同様の艦体であるが、下半分が抉られ惑星破壊ミサイルが格納されている。若干怖いのが、タイプA戦艦2隻分のミサイル先端が飛び出している点。抉られている代わりに小さいフィンが艦首側左右にそれぞれ1本ずつ設置。艦央部が一段盛り上がり、その直後に大きなフィンが垂直に伸びる。艦尾には左右にエンジンブロックが据え付けられ、これの前面はインテークと縦に穴が3つ並ぶ。

 エンジン形式は台形で内部にちょっとした盛り上がりがある――大型戦闘艦のそれと同様。更に中央艦体にもノズルコーンらしき黄色い突起があり、その左右にもオレンジ色のノズルコーン風小型突起がある。


 恐らく、艦橋は艦体にほぼ埋め込まれている。台形の――艦橋基部にしか見えない艦橋があるが、位置と大きさからして多分基部ではなくれっきとした艦橋。

 内部は、艦橋前方、5人のオペレーターが横並びで作業に当たる。その後方に艦長(司令官)席が一段高く設けられている。窓は意外と巨大な一枚のブーメラン型の成型で、通信用モニターが扁平な6角形で天井からつるされる。窓とオペレーターの前に巨大なレーダー画面があり、常時光る。更にオペレーターと司令官席の間にも羅針儀かレーダー画面か何かがある。グスタフ中将はこちらの方を見て、「凄い数だ」と驚いていた模様。

 ちなみに海外ではTorpedo Ship〈Magnus〉と呼ばれている模様。



 武装

 非常に癖の強い兵装傾向を有する。艦首のミサイル発射管と3連の長砲身砲1基が対艦戦闘の基本兵装となる。ただ、あまりにも数が少ない為、長距離戦闘はあまり得意ではない――というか、大して役に立たない。仮にエンジンブロックの開口部がミサイル発射管だとしても、ミサイルをあまり使わないガルマン・ガミラスの戦闘スタイルからして、あんまり、遠距離戦闘では信頼性のおけない艦艇になっている

 一方で中距離戦闘であれば、回転砲塔2基が戦闘に加われるため、中型戦闘艦と同様の戦闘能力を担保できるようになる。砲門数は7門で、決して少なくない。ガルマン・ガミラスにとって標準的な戦闘艦である中型戦闘艦と同等という事は、たとえ単艦でも大型戦闘艦よりは柔軟かつ強力な攻撃が行えるという事だ。

 

 しかし、どう頑張っても普通の戦闘艦程度の能力しかない。旗艦という敵の攻撃が集中砲火を受けやすい立場の戦闘艦にしては、貧弱な傾向にあると言わざるを得ない。挙句に惑星破壊ミサイルを抱えているのだから、単艦でも遠方で敵を倒せる程度の武装は欲しいところなのだが……。

 まあ、旗艦ががっつり敵艦と戦わなければならない状況はあまり引き起こしたくない。仮に直面したとしても護衛艦が周囲に展開して当然であるため、その意味では必ずしも強力な戦闘能力を保有する必要はないから、大火力は必ずしも必要ではないし切り捨ててもいいのかもしれない。正直、護衛艦のいない空間では戦えないというのも何だか情けないが――個艦戦闘能力を上げるよりも、むしろ防護性能の方を高めるのが妥当だろう。

 実際、第23話で見たように僚艦が次々沈む中でハーキンス艦隊の猛火をくぐり、他の艦よりも比較的容易にハーキンス艦への体当たり突入を成功させた。故に、防護性能は非常に高いものといって問題はない。グスタフ艦の最大の特徴で美点はこの防護性能の高さかもしれない。

 

 

 さて、堂々たる威容、艦体が覆いかぶさるようにして保持する惑星破壊ミサイルだが……これは明らかにヤバい。しかも相手がコスモ生命体という特殊な存在とはいえ一発で巨大物体を葬った。これは紛れもない惑星破壊ミサイル。張りぼてではないし、ダウングレード版でもない。

 これはエグイほどの潜在的戦闘力であるが、リスクでもある

 なんたって、あんな危険なミサイル。仮に被弾すれば大惨事間違いなし。事故でも大惨事間違いなし。宇宙空間でうっかり爆発したならば、反応する相手がいないから大して大きなものではなく、うまくいけば誘爆を避けられ艦隊消滅はないかもしれない。だが、どうあがいても大事故である事には変わりはない。艦隊司令は100パー死ぬし。

 安全を取るならば、惑星破壊ミサイルを抱えたままでは寄港することすら避けるべきだろう。抱えたままでは正直、戦場にも向かってほしくない。

 

 

 このグスタフ艦は本当は絶対、最前線に出してはいけない戦闘艦である。グスタフ中将の性格や勇猛さから考えれば、彼にならば扱える戦闘艦かもしれないが――彼自身の能力を引き出せる戦闘艦では無かったかもしれない。

 

 

 

 全長の推測
 惑星破壊ミサイル(第1話の描写を前提として1.5キロ)が艦体から飛び出している部分が350メートル程。反対にミサイルより長い艦体部分が飛び出した部分(エンジンブロックの事)は飛び出し部分より幾らか長いとみられ、510メートル程と予想可能。

 つまるところ、2.03キロ程度が可能性としてある。


 ただ、大型戦闘艦との比較であれば1.5ないし2倍前後程度の為――850メートル程度か。途中ボラーの惑星破壊ミサイルやタイプBの大型ミサイルなど、近い破壊力のミサイルを鑑みるならば、この全長でも問題はない。

 

 結論、艦全長はよくわからない。

 描写から推測してベースとして850メートル。再設定値で2キロ。どの描写を重要視するかによって850メートル或いは2キロを2倍や2.5倍すれば、その描写ごとの妥当な数値が見いだせる。

 描写ごとの妥当性じゃ、全然確定値にならないが

 

 

 運用

 判り切ったことだが、旗艦としての運用である。最前線で艦隊を率いて敵艦隊に突入するのではなく、本陣とでも言うべき位置にあって戦闘の対局を見る艦。

 

 普通の戦闘艦としては中型戦闘艦と同程度の戦力にしかならず、艦隊の基幹戦力にはならないだろう。通常の戦闘に参加して戦況をひっくり返せるだけの大火力もない。護衛の大型戦闘艦が居なければ、近接戦闘でも若干不安。

 であるからして、戦術レベルで艦隊の前衛に位置する意味はない。故に大前提として、後方で戦闘指揮を行う事限定

 

 では、いつ前進するのかといえば、戦略的に必要となった場合であろう。つまり、この艦の前進は戦略的な意味を持つ

  通常の手段では敵に勝てない、或いは優先して破壊すべき目標が艦隊の前に現れた時、味方艦隊をかき分け敵の前面に躍り出る。そして、その惑星破壊ミサイルを以て目標を完全に破壊し、艦隊を勝利に導く。

 これがこの艦のベストな運用法だろう

 

 結果的には総統の無茶ぶりに近い命令を受けて出撃。

 グスタフ中将も軽い任務と特に疑いも懸念も持たずに赴いたのだろう――が、元来避けるべき敵巨大艦隊との戦闘を強要され、味方艦隊の明らかな弱勢も相まって、敵艦隊への体当たり突入以外に任務達成する方法はなかった。

 劇中に見られたこの艦の最も正しい使い方は、恐らくは惑星ファンタム破壊のシーンだろう。あれは確実にこの艦だからできる任務だった。百歩譲って、ハーキンス艦隊への体当たり突入。あれはこの艦の破壊力があってこそ、意味のある、実現できる戦闘だった。

 

 

 劇中の活躍
 第21話にてグスタフ中将率いる北部方面艦隊旗艦として登場。翌、第22話にて惑星ファンタムを粉砕、続く第23話にて惑星破壊ミサイルを再装填して登場。ヤマトに対しスカラゲック海峡星団域において臨検を試みた。

 しかし同話中、総統からヤマト死守の命令を受ける。運悪く時を同じくしてハーキンス率いる第8打撃艦隊がヤマトに接近し猛攻撃を加えた。総統の命令――ヤマトを死守するために両者の間に割って入り、その砲火を全て引き受けた北部方面艦隊。次々と沈む僚艦の中で、非常によく耐えたのだが……しかし、数の差を覆す事敵わず。

 最期はハーキンス艦に突入し、同艦を巻き添えにボラー連邦第8打撃艦隊を撃滅。勇猛なグスタフ中将とその旗艦に相応しい壮烈な最期だった。

 

 

 

ガルマン・ガミラス兵器群 円盤型白色旗艦――ドメラーズ2世、再び――

 

 

 円盤形白色旗艦はデスラー総統がガイデルに派遣した空母艦隊の旗艦である。ダゴンが指揮を受け持ち、これによってヤマトを撃破しようと試みたが――

 第一作を視聴済みの人間からすれば、大変懐かしい見た目の戦闘艦であろう。

 

 

 ――データ――

 艦級名:不明
 全長:不明
 武装:一隻当たり/艦橋前部無砲身3連装砲塔2基(直列)、艦橋後部3連長砲身砲1基、舷側3連装前後連結型砲塔片舷1基6門、牽引ビーム

 

 艦首がくぼんではいるものの、ベースとしてかつてのドメラーズ2世とほとんど同じ。若干艦橋と艦体の比率が艦体の方が大きいか。しかし塗装は同じ。艦橋は階高8メートルは下らない。はずだが、描写によっては4メートルほどで、空間の幅は6メートルが予想される。もしかすると、司令官席の床が2メートルほど高まっている可能性がある為、有る程度は誤差の範囲に収まるだろう。奥行きは8ないし10メートルほどを見込む。
 艦橋前方は左右に分かれてオペレーターが3人程ずつ業務にいそしみ、その後方にウサギの耳か何かのような装飾を施された不気味な椅子がある。ひじ掛けが大きい。司令官席の後方にもオペレーターが左右に分かれて2名ずつ、立って業務を行う。
 最も特徴的なのが2隻一組である点。艦底部で磁力で連結しているらしい。

 かつてのドメラーズ2世と同様、個別の艦名などは劇中では与えらえなかった。一方で海外ではTwin Destroyer〈Gemini〉と呼ばれているらしい。駆逐艦扱いなんですね、コイツ。

 

 

 全長の推定
 比較して推定する他ないが、割に他の戦闘艦とのツーショットやスリーショットが多い為難しくはない

 つまるところ、描写からすれば戦闘空母の艦橋・エンジンブロックと同じ全長。ただ、第11話になるとむしろ第一砲塔ブロックと同じとなる。まあ、どちらにせよざっくり60メートル前後の範囲内に収まる程度だろう。比率から言って高さはざっくり20メートル程度。


 これは大分小型といえるだろう。全体的に大き目な設定値のヤマトⅢの戦闘艦の中で、機能が限定されている分随分と小型。さらに艦橋描写からすれば、艦橋幅は外観上1/6から1/7の幅である為、艦幅は40メートルぐらいが見込まれるため、何ならドメラーズ2世より小さいぐらい

 シーンにより、時折描写に差異が見られるのがこの艦の難点で……ガルマン・ガミラス艦にしては描写同士の齟齬がある珍しい艦かもしれない悪い意味の珍しさ

 

 

 武装
 武装は艦首方向へ12門、艦尾方向へ9門、舷側へは無砲身砲6門から舷側の砲塔が旋回できれば最大9門を見込む。多分、艦尾の砲塔は旋回できないだろう。
 この艦の問題は、確実に旋回可能な砲塔が艦橋前の無砲身砲塔2基という点。これじゃどうにも仰角がうまく取れないではないか。そうなった場合、仮に舷側の砲塔が旋回できなかった場合は迎撃が遅れてしまうし可能な範囲が限られてしまう。これはマズイかも。仮に損傷を負ったとして、損傷の激しい部分の艦体を捨てられるからリスクは少ない。とはいえ、司令官がどちらかの艦体に迅速に移動しなければならないから、そう話は簡単では無い。

 対空迎撃も何気に不安、対艦戦闘はもっと不安――これ、爆雷がない分、実はドメラーズ2世より弱いかもしれない。

 対艦戦闘に限っては


 忘れてはならないのは上部艦体と底部艦体を合わせて、1隻の武装が2倍になる。これは安心材料の一つであり、艦首方向へは24門、艦尾方向へ18門、舷側へは12ないし18門を見込める。ただ、すべての武装が比較的小型である為、大した威力は期待できない。対空砲がせいぜいか


 その中でも割とまともなのが牽引ビーム。これは、あのヤマトですら振り切れなかった。艦自身の推力も含め、そんじょそこらの宇宙気流や艦砲よりよっぽど強力である。

 

 

 

 運用
 敵の大型戦闘艦との対艦戦闘には明らかに耐えられない事が簡単に予想されるが、しかし水雷艇や艦載機程度であれば容易に激は可能であることも予想される。

 そのため、この艦の任務はネーミング通りの旗艦任務及び、艦隊防空だろう

 

 まず特筆すべきはヤマトを大幅に上回りかつ、ブラックホールを振り切れ圧倒的推力。これは結構魅力だ

 そこから考えて武装へのエネルギー供給は極めて強力とみて当然だろう。速射性もそれなりにあるし、ヤマトの煙突ミサイルをある程度まで振り切って高機動を見せた。自在な機動を行いながら弾幕を張れば、艦隊に接近する敵艦載機群にたいし一定程度の撃墜率を見込める。つまり防空艦任務。
 一方で、簡単な武装以外は決戦兵器やビックリどっきりメカを載せているわけでもない為、戦闘指揮や後方支援が主眼の艦艇である事は間違いないはず。

 

 両者を考え合わせれば、敵艦隊と直接砲戦を行う事はない後方に身を置くことが前提の戦闘艦で、通常は指揮通信=旗艦任務に専念万が一に敵機の襲撃を受けた場合に機動力を以て自衛と同時に艦隊防空を行う

 と言うような運用の流れだろうか。

 

 とはいえ――仮にこの艦が防空戦を行わなければならない場面に直面したならば、それはほぼ確実に個々の艦艇が独力で迎え撃たなければならない状態にあるだろう。全体を指揮することは恐らく、不可能。

 他方、この艦が旗艦任務に専念できている限りにおいては防空任務はこの艦が行わなくても味方艦艇が簡単にこなせるだろう。

 性能や立ち位置が割に矛盾しているようにも思えるが、万が一に備えないというのは無謀である為、砲身のブレといえるほどの致命的なモノはないはず。

 

 

 基本的にこの艦は、ドメラーズ2世の改良版で実際に対艦戦闘を除いた一通りの能力は強化されている。ガルマン戦闘空母の弱体化に比べ、大分改良がうまくいった戦闘艦ではないだろうか

 

 

 

 劇中の活躍
 第10話にて初登場、第17空母艦隊を率いるダゴンの旗艦としてヤマト撃破の為に出撃した。しかし、特に実際の戦闘を行ったわけでは無い。戦闘指揮をダゴンが致命的ミスを犯して艦隊が全滅――挙句、うっかりヤマトの煙突ミサイルに被弾してしまう凡ミスをやらかす。だが、宇宙乱流へ誘い込むことに成功。

 翌第11話、乱流を突破したヤマトをはくちょう座名物のブラックホール(これはマジのガチ。はくちょう座方面には本当にブラックホールがある)へと誘引。これにヤマトを叩き込む作戦を敢行するも――軍師真田さんの戦術に破られ、体勢を崩した旗艦はブラックホールの重力に捉えられてしまう。分離したうち、片方が途中で岩塊に衝突して爆発。もう片方はそのままブラックホールに落ちていった。どちらにダゴンが乗っていたかは明確な描写はなかった。

 

 劇中、使用できる場面がいくらでもあったのに、一度も武装を使用した事がない珍しい戦闘艦だった