旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

天才技術者・真田志郎――偉業と存在の妥当性――

 


 旧作ヤマトをあえて今、徹底的に考察し説明を付けるという事にこだわって来た。

 旧作に対して常に口にされるご都合主義という言葉だが、それは単純に知識不足とか発想力不足に起因するものが大半である。なぜそうなるかといえば、固定概念というか否定の為の否定だ。リメイク作に対する無理筋な擁護――この辺りを突っ込んでも喧嘩になるだけなのでやめておきます
 ただ、確率論というか論理的思考で確実に一つ、ご都合主義中のご都合主義と呼ばれる人に対する疑念を粉砕しておきたい。

 

 


 地球人類最高の頭脳――真田志郎


 縁の下の力持ち。敵の新兵器の弱点をたちどころに見抜き、幾たびもヤマトの危機を救った勇士である。技術部門においてその頭角を発揮し、ヤマト復活編において地球防衛軍のトップにまで上り詰める。

 この敵側新兵器の弱点を見抜く、あらかじめ対抗可能な兵器を用意しておく――そのスゴ技から彼は常にご都合主義など言われてきたところがどっこい、彼の存在はそんなに不自然でもなければご都合主義ではないのである。
 

 

 天才にはざっくり2種類存在する。(天才じゃない私があれこれいうのはおこがましいが)

 一つには統合の天才、もう一つには創造の天才である。

 前者は現時点から過去に至るまでの発明や発想を出来るだけ網羅的に知識として吸収し、整理し、過去の発明や発想の弱点であるとか足りない部分を補完する。過去のある時点では技術が不足していた為に実現できなかったり、設計者が発想し損ねた難題への解決法を別の分野から導入する。そうして新しい(正確には新しくはないのだが)発明を生み出す。これが統合の天才である。
 例えば、知の巨人レオナルド・ダ・ヴィンチが代表。ベルナー・フォン・ブラウン博士もこのタイプに入るだろう。最近ではITの革命家スティーブ・ジョブズ孫正義社長あげられる。他にも、ハンガリー勢では泣く子も黙るジョン・フォン・ノイマン、航空工学の父セオドア・フォン・カルマン生理学者にして大政治家セント=ジェルジ・アルベルト、数学のリース兄弟

 

 後者はその人物が発明を考え始めた時点での技術をベースにしているのは当然であるが、しかしながらそれ以前の才人たちの発想とは方向性も利用も結果も異なることを考え出すタイプである。当時の社会状況を加味しないで自分の発明を創るもんだから、その発明品はあまり一般受けしない同時代人の尊敬を受けるか受けないかは完全に個人の性質による。
 奇才ニコラ・テスラは確実にこのタイプだ。他にはアインシュタイン博士やジョン・ホーキング博士がいる。前澤社長ホリエモンもどちらかといえば、こちらのタイプだろう。何ならここに古代宇宙飛行士説のデニケン氏を入れても構わない(一方で彼の弟子? のジョルジョは一方で前者の統合型タイプ)。とにかく、奇才。
 ハンガリー勢では量子力学の大家ユージン・ウィグナー、憎い四角ルービックキューブの父ルビク・エルネーインテルの剣アンドルー・グローヴ、心身医学の功労者フランツ・アレクサンダーなど。

 

 さて、ハンガリーに驚異的天才が集中しているため、ハンガリー人は実はうちゅ人なのでは無いか、などというジョークがあったりする。確かに、天才の度合いが半端ではない。なのにオーストリア帝国と歩調を合わせるどころか、足を引っ張って海軍を10年以上足踏みさせたハンガリー王国の皆さん……
 何が言いたかったかといえば、海軍は整備に金と時間がかかるという事と、同時期であるとか特定地域に超有名な天才が数的に突出して現れるという小説みたいな話が存在するという事。あと、そういう地域であるからと言って全員が全員天才的であるとは限らないという事。

 


 さて、真田さんはどのタイプだろうか。
 ちょうど中間ではないだろうか。

 


 テレビシリーズ1stヤマトで冥王星前線基地を破壊したのちの話。ヤマトは補修と冥王星基地残存艦隊からの襲撃に備える為、アステロイドシップ計画を発動した。ヤマト出撃以前から温めていたような節もあるが、実行できたのはあのタイミングという事になるだろう。
 岩塊で艤装するというのは誰でも考えつくだろう。岩塊をくりぬいて宇宙船に仕様なんて話をする人がスタトレファンを始め、古代宇宙飛行士説論者等のいろんな人間が発送しているのだから。ここまでは統合の才。一方でそれをリング状に纏めて防御に使うというのは頭をひねっても浮かばない可能性が高い。それもぐるぐる回して敵弾にぶち当てに行くという制御法は何ともうがばないだろう。つまり、創造の才


 同シリーズ最終盤、デスラー総統がヤマトを追って銀河系まで到達した時である。ヤマトがあと一歩で帰還できるという時に総統は狙いを定めて必殺のデスラー砲を放った。その時、他のクルーは高エネルギの束にビビっただけで何もできなかったが、瞬時に真田さんはその性質を見破り、冥王星前線基地での経験をもとにして完成させた空間磁力メッキを展開させ、見事にヤマトを守り抜いた。
 まず、ガミラス波動砲の威力に苦慮していた以上、どこかのタイミングで同様の兵器を使用するというのは誰でも察しが付く。反射衛星砲みたいなのがあれば、すごく有用そうだなというのも誰でも思い至る。それを組み合わせてうまい具合に処理するのだから真田さんはすごい。統合の才――いや、創造の才か

 

 完結編において。対ハイパー放射ミサイル艦種ビーム砲は、初期の戦艦群が魚雷から身を守るために設置していた水雷防御網を形式として同じである。あとはミサイルのデータだけ。ルガール2世がいつもの詰めの甘さで奇襲かけてくれたおかげで、ハイパー放射ミサイルの詳細なデータが手に入った。だから難なく完成できた。こちらは統合の才

 

 このような事案から真田さんはちょうど中間の天才、オールラウンドプレーヤーといえるのである

 

 


 ここで真田さんの功績の数々をざっくりまとめてみたいと思う

 

 

 ヤマト第一シリーズ
 ステロイドシップ計画(反重力感応機):第9話にて真田さんが初めてヤマトクルーと視聴者に披露したビックリメカ。解りやすく言うと、岩塊を纏わせ、ヤマトを小惑星化する計画。シュルツ率いる冥王星前線基地の決戦兵器・反射衛星砲で損害を受けたヤマトを修理しつつ、残存艦隊から身を隠すために発動した。作戦監督としてではあるが、何気に古代を呼び捨てにしている。これ以前は君付け。

 

 ステロイドリング:岩塊の拘束を解除し、リング状にして艦の周囲を回転させたもの。2本のリングからなり、高速回転でガミラス艦隊の砲撃からヤマトを守り、リングを解体するその余波で岩塊を散弾の様にして攻撃を行った。

 

 機雷除去作業:第11話にて、アナライザーと共に作戦。戦慣れしていない他のクルーとは違い、機雷の性質を正確に見抜く。しかも酔っぱらったアナライザーを一応信頼して解体作業を試みる度胸の強さ。翌週でも総統の発明品・ガス生命体の性質を見抜くファインプレー

 

 シームレス戦闘機:正確にはヤマトの工作機の働きであるが、設計をしたのは十中八九真田さんだろう。これは第18話宇宙要塞13号から発せられるマグネトロンウェーブの影響を排除しつつ同要塞への肉薄をするために制作された機体である。この回で真田さんの四肢が義手義足であると判明、しかも必殺の爆弾を仕込んである。なんてお人……

 

 ガミラス人地球移住計画の看過:第21話で明確になったガミラスの地球侵攻理由。バラン星基地に残された資料(ドメル将軍、勝つ気満々で資料を処分しなかったらしい。この人、致命的に詰めが甘いんだよな……)から“あくまでも俺の推論だが”と、見事に目的を的中させた。

 

 ドリルミサイル処理:第22話、七色星団決戦にて。だから詰めが甘いんだよな、ドメル将軍……。真田さんが沖田艦長に絶対の信頼を得ていることが確認できるエピソード。前回の機雷処理ではおおむねアナライザーが処理に当たったが、今回は真田さんが主に処理に当たった。この回を見ればわかるが、沖田艦長は盛大に敵艦隊に波動砲をぶち当てる気満々だった。

 

 失敗例―強磁性フェライトおよびガミラスの海の性質の見落とし:第23話にてガミラスの放ったミサイルに仕込まれていた物質で、迎撃したためにまき散らされてしまった。この時は真田さんが珍しくその危険性を見落としてしまい、ヤマトはガミラス本星に引きずり込まれてしまった。ついでに着水の衝撃でアナライザーがバラバラになるという……お前が肝心な時に作動しないから第三艦橋が……翌週、真田さんにせっつかれながら火山脈を発見したから挽回したともいえるか。

 

 コスモクリーナーDの受領:第25話にて搬入と組み立てを監督。翌週判明するが、テレビシリーズでは酸素原子を利用した放射能強制除去らしく、おかげで雪が……。真田さん曰く、この欠点は改善可能らしい。初見なのに断言できる真田さんの圧倒的信頼感。

 

 空間磁力メッキ:第26話(最終話)にて登場、反射衛星砲の構成要素である反射衛星を元に作成。見ただけで仕組みが判る真田さんのすごさ。普段から高エネルギー兵器の反射方法を考えているから発想と技術が結び付くのだろう。

 


 ヤマト2
 ヤマト:第2話にてヤマトの主砲を長射程化、艦動力部縮小、タイムレーダー新設等々の改造を施した。防衛司令部はアンドロメダ準拠の無人化を要求しており、これを反乱でしれっと脱出する形で中止。しかし、ヤマトが欲していた改造は一通り確保したため、改造は完璧。これにより、太陽系外縁部でのデータしかなかったナスカ艦隊を大混乱に陥れた。

 

 ステロイドシップ計画Ⅱ(エネルギー吸収装置付き反重力感応機):第10話にて登場。ガミラス戦役時に利用したアステロイドシップ計画の改良版である。ゴーランド艦隊のミサイル攻撃から身を守るために使用した岩塊がバキューム鉱石であったという最悪の事態。おかげで乱流脱出時にはエネルギーが尽きた状態となってしまった。しかし、ゴーランドの金髪副官の予想を裏切り、「多分こんな事もあろうと思って」用意しておいた新機能により波動砲1発分のエネルギーを岩塊から取り出し、即時攻撃につなげた。

 

 宇宙蛍の解明:第11話、うっかり屋さんのバンデベル将軍がばらまいた罠。正体は鉄を食べるバクテリアで、真田さんがその存在に対して興味を持ったことからその危険性が判明。ついでに無重力下でも真田さんが自由に艦内を回れることも判明。この回ではバンデベル将軍より空間騎兵と不良船員の方がよっぽど脅威だった。

 

 重力アンカーの解除発案:第12話にてタラン将軍が仕掛けた罠、ちくわ惑星こと空洞惑星からの脱出の為に波動砲発射の反動を利用した。うろたえてしまった戦闘班長とは違い、冷静に敵に対処する真田さんって一体……第14話でも陸戦用の兵器も組み立てているから、この人の専門が判らん。ただ、この重力アンカー解除は新米のつぶやきがひらめきの原点だが。

 

 フェーベ沖・プロキオン方面軍偵察:第20話にて、土方総司令より空母艦隊を任されたヤマト。シリウス方面軍(バルゼー直属の戦艦部隊)の後方に位置していたプロキオン方面軍(ゲルン指揮下の空母艦隊)の偵察にアナライザーと共に出動、衛星フェーベ近傍空間に展開していた部隊の発見に成功した。

 

 デスラー機雷解析:第23話、復讐の鬼デスラー総統がヤマト周辺に瞬間部室移送器を以てばらまいた機雷の性質を見事見破った。また、島や古代が決心できなかった小ワープの決行を後押しする。またデスラー砲、直撃せず。ただし、白兵戦の途中で島を吹き飛ばしたので、総統は総統で大戦果を挙げた。

 

 ガトランティス本星解析さらば宇宙戦艦ヤマトにおいて、デスラー総統が遺した白色彗星の弱点を解析。波動砲攻撃を成功に導いた。その後、動力源爆破の為に都市帝国へ潜入、隊長と共に見事爆破に成功。第25話において、パラノイアの出撃パターンから艦載機射出口を推測させた。さらばでの土方艦長の役割――代わりに新米がコンピューター室で戦死。その後、都市帝国内部に真田さんたちは侵入し動力源を捜索、一人でガトランティス側増援を抑えて無事生還。

 

 

 ヤマトよ永遠に
 ヤマト:全天球レーダー室新設、砲塔無人化、スーパーチャージャー新設等の改装を行った。この時、ヤマトはイカルス天文台の内部にモスボールされていたわけであるが、3度目のアステロイドシップ計画ともいえる。本格的に真田さんのおもちゃになってしまった回。

 

 波動カートリッジ弾波動砲の100分の1の波動エネルギーが封入された砲弾。実体弾の形式をとり、炸薬として波動エネルギーが封入されている模様。未テストで実践投入されるという、ヤバい展開だったが天才の思考実験をなめてはいけなかった。

 

 失敗例――暗黒星団帝国の使用物質の性質の見落とし:反タキオン粒子を動力源としているのだろうか、或いは単純に熱に弱いのか。ともかく、余計な被害をデザリアムにもたらしてしまう。大した問題では無かったが、一応。

 

 

 ヤマトⅢ
 ヤマト:調査用各種設備新設。理由は第5話にて真田さん曰く、アナライザーの計器が信用ならないから。全く、あなたという人は……。

 

 ブラックホールへの波動砲発射発案:第11話にて、ダゴンの円盤旗艦の牽引ビームを振り切るため、ブラックホールに飲み込まれつつある中編み出した妙案。ブラックホールそのものにぶち当てるのではなく、飲み込まれつつある小惑星にあて、反動で消し飛ばす。珍しく真田さんが運に頼った作戦

 

 亜空間ソナー:第15話にて登場。卑怯にも亜空間から攻撃を繰り出すガルマン・スピッツ(本人がそう呼んでいいって言ったから)をあぶりだすために急遽開発したソナー。一日か二日程度で完成という驚異の政策スピード。にもかかわらず有効に作用し、次元潜航艇を追い詰めたが、スピッツさんの作戦が宇宙要塞への誘導に変更したため……東部方面機動要塞のステルス性の高さも相まって……

 

 太陽制御プロジェクトへの参加:第18話前後にて地球側の技術者代表としてプロジェクトに参加。計画の一部不安定な部分に懸念を示した。太陽系帰還後、フラウスキー少佐のサポートとして別働部隊を指揮。プロジェクト失敗の責任を命で取ろうとしたフラウスキー少佐を必死に説得したが……

 

 ハイドロコスモジェン砲受領:第24話にて。真田さん、何で異星人の武器を平気で地球の戦闘艦であるヤマトに接続・運用できるんでしょうね……。

 

 

 ヤマト完結編
 対ハイパー放射ミサイル艦首ビーム砲:亜空間ソナーと同じバルバスバウ部に格納しているため、多分ベース技術を流用。ヤマトが身をもって収集したハイパー放射ミサイルのデータをもとに、水雷防御網的に作成。ハイパー放射ミサイルに着弾させる事なく着弾状態として認識させる模様。真田さんテストは!?

 

 ニュートリノビームの看過:大総統ルガールが無情にも息子を見殺しにしたアレである。ニュートリノに無理やり荷電させた防御膜およびビームなのだろう。これを看過し、急速反転をさせた――

 


 
 よく見て欲しいのが、ご都合主義といわれる割にはほとんどの発明や発案は状況からかなり発想元というか、データとして利用できそうな材料が事前に敵側から提供されている

 要は、合理的な考え方を持って各種の事実を組み合わせる事で完成させられ得るものであるという事。ベースとなる圧倒的知識や計算技能やらの超高度な能力があって初めて実現できるから、真田さんが超人というか天才である事には変わりないが、ご都合主義というのは妥当性に欠く

 

 シームレス機による接近は、偵察機のマグネトロンウェーブによる破損状況の記録を見れば才人ならば十分思いつくだろう。

 空間磁力メッキも、反射衛星にインスピレーションを得て様々な物理現象や方程式を駆使して偏光バリアか類似したものを展開したのであろう。

 デスラー機雷ヤマト2バージョンの性質を見破ったのも、本人が語った通り砲撃や接触での爆発が限定的であることから推察したのであるし、さらばでガス体の弱点を見破ったのも総統の遺した言葉と全滅した地球艦隊の被害状況を見れば推測できる。
 これらの功績は統合の天才ならば当然のごとく完成し得よう

 

 ゼロから生み出した発明、例えばアステロイドシップ計画は少々事情が違う。つまり、以前から温めていた計画であり、あの場で思い付きで作ったわけでは無いという事。

 亜空間ソナーは宇宙戦士訓練学校に亜空間戦闘の科目があることから、亜空間に対する脅威というものや利用というのが以前から想定されていたことは想像に難くない。

 対ハイパー放射ミサイル艦首ビーム砲も、すでに被弾済みだからこその発明。

 波動カートリッジ弾もまた、イカルス天文台で工作していた可能性が高い。つまり、彼は波動砲発射への長いシークエンスをカットして、高威力かつ普遍的な攻撃手段を求めたのだろうという事。

 これらはどちらかといえば必要に迫られて創った発明、創造の天才必要に感じたならばこそ創り得る

 


 つまりいうほど、ご都合主義ではないのだ。そもそも、ご都合主義は説明しようと思えば説明できる時点で大してご都合主義ではないぱっと見合理的であったり、演出効果は高いが説明しようとしたときに破綻するのが、ホンモノのご都合主義というものである


 出撃時、地球最強の戦艦であるヤマトに、ベテランを少数しか乗せなかったのは、ヤマト出撃後の地球防衛の為に振り分けた勝ったとして説明できるが、他方で人類の存亡をかけたヤマトに、手持ちの天才を出し惜しみする必要は全くない
 いくつかの奇跡的な展開についても、奇跡が一切存在しない戦争というのも中々にリアリティがない。第二次ウィーン包囲リッサ海戦日本海海戦のような十分な準備と共に絶妙タイミングでの会敵という偶然があったからこそ華々しい。

 ギリシアの火鉄甲船ガレアス船は戦況をひっくり返したし、戦況を変えることはできなかったが一矢報いたアルキメデスの鉤爪蒸気式大砲などの割合と急に登場した兵器もある事にはある。そしてこれらは世界史に特筆すべき活躍を見せたのである。

 アグリッパオクタヴィアヌスマリア・テレジアポンパドゥール夫人にエリザヴェータといった同時代にまみえることが出来た人物。これらの出会いがあったからこそ世界史が劇的に変わった。ハンニバルスキピオに至っては会敵から戦後までもが小説のような味わい深さがある。

 まさに、事実は小説よりも奇なりの言葉通りだ。
 

 

 要は真田さんが天才であってはならない理由はないし、天才であることがご都合主義の指摘の根拠にはなりえない。

 


 勝手に新兵器造るというのは実際は軍紀違反という話もある。確かに黙って勝手に作ったのならばマズイだろう

 ただ、アステロイドシップ計画についてはちゃんと艦長に確認を取っている。それにヤマトの作戦自体がクルーに全権委任的な作戦であり、特異な環境下での任務であるという事を加味すれば多少違った判断もあるかもしれない。
 また、ヤマト2で真田さんは地球防衛軍の科学部門で明らかに機器を自由に使える立場である事は、テレサのテープ解析の描写で確実。つまり、左遷気味なヤマトクルーの中にあってそれなりに昇進していらっしゃる模様。ヤマト改装についてあまり強い立場ではないようだが、それなりに階級が上ならば意見が通しやすくなるのは当たり前。

 ヤマトよ永遠にではイカルス天文台を完全に任されているため、一定程度の裁量が許されていると考えても不思議はない。ヤマトⅢにおいても同様の待遇だし、完結編においては観測任務での特派だったらしいヤマトに乗り込んでいるのだから第一級の技官扱いなのだろう。

 ずっと触れてこなかったが、復活編では長官にまで上り詰めている。この時、ヤマト再建に関わる一切を担当していた模様。トランジション波動砲ってあなたねぇ……

 

 正直、真田さん――ヤマトをおもちゃにし過ぎだと思う。この人すぐにヤマトを改造したがるし、しかも毎回派手。事実上、防衛軍にとって戦闘以上に技術面において成果を出している、何なら古代君より戦上手な真田さんは政治に口を出さなければ十分伝家の宝刀と言える存在だろう。待遇が古代君たちに比べて上で、がっつり上に食い込んでいることを考えて、彼が新兵器の私案をいくつも誰に頼まれるでも無く考えているのは常態化し、防衛軍も見逃しているのだろう。

 それはそれでまずいが、あの防衛会議を抱えた防衛軍だ。ガバナンスが残念でも不思議はない。

 

 

 この記事で明らかにしたかったことは、真田さんの発明は全て下準備が行われた上であるという事。そして、驚異的な天才は存在し得るという事。あとハンガリーは何かスゴイ国という事

 真田志郎というキャラクターはご都合主義でもなんでもない。ごく自然な存在である