旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

戦闘考察Ⅴ・月軌道地球防衛戦(さらば編)

 

 

 地球艦隊を飲み込んだ後、白色彗星は太陽系を直進。地球前面にて停止――降伏を勧告する。猶予は1時間であったが、回答が出来るはずもなく白色彗星は前進。

 そこへヤマトが現れ、地球を守る最後の決戦を行う。

 

 


 ガトランティス側参加部隊:大帝星ガトランティス本国 
 戦力:都市帝国、パラノイア隊、警備兵
 指揮官:ズォーダー大帝


 地球側参加部隊:ヤマト
 戦力:ヤマト、コスモタイガー隊全力、残存空間騎兵隊
 指揮官:土方竜→古代進

 


 戦闘経緯・経過
 地球艦隊壊滅後。デスラー総統から伝えられた白色彗星の弱点を突くべくその正面にヤマトは単独でワープを敢行。

 

 ワープ終了後、ヤマトは即座に波動砲発射体制を整え、白色彗星の渦の中心核をつく。これによりガス体を取り払うことに成功――しかし、直後に都市帝国がその姿を現す

 

 白色彗星の派手な爆散によって勝ったと思ったヤマトクルーや防衛司令部。だが、それはぬか喜びであったのだ。動揺する一同――だが、土方艦長は動揺したもののヤマトを立て直す。

 直ちにコスモタイガー隊を発進させ、ヤマトの各部署に戦闘配置を命じ、攻撃態勢を速やかに整えた。他方、都市帝国側も回転リングを稼働させ、気流の防護スクリーンを展開して迎撃態勢を構築する。

 この気流によるベールは強力下都市帝国上部への攻撃は叶わず、下方への攻撃に集中する。しかし無数にある砲座群によって上方からヤマトは攻撃を受け、大損害を負う。
 土方艦長が戦死。

 最期に遺言のように作戦を艦長職と共に古代に託す。


 古代は作戦を直ちに決行、空間騎兵隊らヤマト最後の精鋭を率いて都市帝国内部への突入を敢行した。コスモタイガー隊の決死の護衛により突入に成功、動力炉付近にまで進入することが出来た。真田技師長、空間騎兵隊の斉藤隊長が動力炉破壊の為に残留し古代艦長は脱出。
 古代脱出後、都市帝国は機能を停止する。
 


 ヤマトは最後の火力を全て注ぎ込み都市帝国を破壊――しかし、直後に都市帝国を割るようにして超巨大戦艦が出現。月面に対し主砲の試射を行い、その爆風でヤマトを粉砕。そして全ての戦闘力を失ったヤマト。

 

 古代は地球を守る為、生存者を退艦させて一人ヤマトの動力炉を以て超巨大戦艦の撃破に向かう。
 

 

 

 描写の妥当性

 ガトランティス側については白色彗星、都市帝国、超巨大戦艦それぞれを考察した記事をすでに掲載しているため、こちらに譲りたい。

 

 ヤマト側の行動の妥当性を考察しようにも、残念ながら一隻だけの戦闘である為……もはや、ヤマトが戦闘のイニシアチブを握ってがどうこうできる問題ではない。ショックカノンすら弾く防護スクリーンは上部がすぼまった形に展開するため、上方からの攻撃は難しすぎる、回転リング部周辺はミサイル等の大破壊力で強固。唯一、惑星状の底部のみ容易に接近しえる。しかも、クレーターに置かれた砲座は確かに強力ではあるが、一発でヤマトの装甲を破れるような超大火力というわけでは無い、数で押しつぶすのであって、であるならば短時間であれば十分抵抗できただろう。

 内部への突入も、他に手立てがなかった為と説明できよう。なにせ、強行着陸が出来るほどの防護システムの脆弱さは都市帝国には無く、外部から破壊する方法もない。これではやはりパラノイア発進口から侵入し、内部破壊を敢行する他に手段はなかっただろう

 

 地球の沈黙は若干妥当性に欠けるものの――仮に艦艇が残存していたとしても、白色彗星相手では敵うはずもない。都市帝国相手であっても、戦闘艦艇が万全でなかったり小型であったりした場合にはヤマトの戦闘の邪魔になる可能性もあるにはある。どちらかといえば、ヤマトが出来るだけ都市帝国の能力を削ぎ、ボロボロになった時点で残った戦力を叩きつけるという可能性もあるだろうが……性格が悪い。

 地球の残存戦力があったとしても、出来てバルゼー艦隊の掃討がせいぜい。本隊相手には出撃しても全く無意味と見るのが妥当か

 

 

 超巨大戦艦に関してはもう何もいう事はない。桁が違いすぎて戦いようがない。ああいうタイプの実力差は普通、地球上ではまずない。比較して妥当性を検討するのは難しいだろう。

 まあ、論理的に考えれば全部は無理でも十分検討は可能だろうが。

 

 唯一、ズォーダー大帝をブチ切れさせた時に限って、ヤマトをなぶり殺しにしてやろうと決心した時にのみ超巨大戦艦を粉砕する余地が現れる。要は攻撃が中途半端で、だからそこを突いてヤマトが突撃をかませば接近は可能だろう。勝てるかどうかは別問題だが……。

 しかし、さらばにおいて大帝は途中でヤマトに興味というか脅威を感じなくなったのか、放置する。これがヤマトが最期の反撃の猶予を与えてしまった。ここで古代が下した決断にテレサが共鳴し、そしてガトランティス=現大帝ズォーダーがある意味丸裸になったこのタイミングで共に赴くことを決意した。

 反物質による対消滅のエネルギーを局所的かつ集中的に艦橋部にぶち当てるズォーダー大帝たった一人のみを狙った攻撃であり彼を狙えるたった一回の勝利するタイミング。全地球艦隊と月面基地とヤマトクルーのほとんどを費やして手に入れた好機

 この一点に地球、ひいては全宇宙の命運を賭けた。という事だろう。

 

 

 意義
 ガトランティスにとっては予期はしていても、現実になるとは思っていなかった事態であろう。勝って当然というよりも、この最終戦に関しては勝たねばならない戦いであった。実際、勝つ手段はあったし、殆ど勝利していた。しかし、古代がテレサという不確定要素を味方につけた事で事態は一気に悪化、敗北を喫することになった
 滅亡してしまったのだから意義も何もあったものではない。

 

 

 地球はあのヤマトを以てしても、事実上敗北してしまうという事を学んだ。当然、単独で戦うという事の困難さや戦力の建設について根底から変更しなければならないだろう。もし宇宙のどこかに文明国が存在するならば、それが敵になり得る存在であれば事前に不可侵条約を結ぶ、ある程度文化交流が出来る相手であれば同盟を結ぶ。個で地球の存立を目指すのはほぼ不可能であることがほとんど確実。

 地球は同盟の中で、同盟を利用することで確固たる生存圏を確保する。そういう方向になるだろう。


 だが――正直、あの地球がまともに教訓を学ぶとは思えない。

 が――たとえ一時的であっても地球が征服一辺倒や拡大一辺倒ではなく、複合的な要素を以て宇宙に存立するという道筋を示した。という事が意義として挙げられるだろう。

 


 ガトランティス側損害:超巨大戦艦=ガトランティス滅亡
 地球側損害:ヤマト、コスモタイガー隊全機喪失、空間騎兵隊全力喪失