旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

こいつぁすげぇエピソードTOP5(さらば/ヤマト2編)

 

 前回はガトランティス戦役のダメな部分をTOP5として取り上げた。今回は、こいつぁすげぇやというエピソードを同じようにTOP5形式で取り上げたいと思う。

 

 

 

 こいつぁすげぇエピソードTOP5

 

 第5位:超巨大空母の甲板回転シーン

 登場エピソード:さらば

 ノミネート理由:極めて合理的な設定、極めて効果的な演出

 これはさらばのみのシーンぱっと見、無意味に見えるが実はそうではないむしろ無意味と説明する方が難しいぐらいの超合理的シーン。見た目のインパクトとその合理性はヤマト史上屈指で、ヤマトがちゃんとしたSFであることを如実に示すと同時に、さらばがヤマト史上屈指のエンターテインメントであったことをも示す。

 たったワンシーンでガトランティスの高度に発達した人間工学と人間という存在の自己過信を思わせる非常に意義深いシーンといえる。

 これが1位でもよかったのだが、ストーリーに全く関係ない為――しかし圏外では忍びない為、5位にランクイン。

 

 

 第4位:潜宙艦

 登場エピソード:さらば/ヤマト2・第7話

 ノミネート理由:シリーズ屈指の圧倒的な高性能

 宇宙最強の戦闘艦といって差し支えない。通常空間におけるステルス性は最強で、暗黒星団帝国の艦艇すら及ばない。さらに発射する魚雷もかなり強力でたった二隻で簡単にヤマトに大損害を負わせた。さらばに至っては敵艦の横っ腹という容易に迎撃されかねない位置取りからの魚雷発射である為、この魚雷も割合ステルス性があると見える。この潜宙艦と同等の攻撃力や能力を持った戦闘艦はついぞ現れず、亜空間に逃げ込む程度しか能のない極めて脆弱というか、レベルの低い戦闘艦程度しかヤマトには登場しなかった

 さらばにおいて照明弾ソナーで姿をさらしてしまうが、それでも攻撃は続行。次々に波動砲搭載艦を仕留めていった。このソナーに関して言えばかつてデスラー総統が述べたように地球人の原始的な発想の勝利といえる。急激な周囲の変化には対応できなかったのだろう。

 ヤマト2にて確かにヤマトに敗れはしたが、どこかの次元潜航艇とは異なり最低でも1年は訓練を積んだ万全の宇宙戦士とタイムレーダーなんていうチートを擁するヤマトと戦ったのだ。しかもこっちの指揮官はアホで有名なコスモダート・ナスカ。挙句、自分の失敗をサーベラー→ゲーニッツ→ラーゼラー経由で叱責されているため恐らく焦っていると見て間違いないだろう。こりゃ勝てんわ。

 ストーリーにもちゃんと食い込んでいるため、第4位。

 

 

 第3位:コスモタイガー隊、退避拒否

 登場エピソード:ヤマト2・第21話

 ノミネート理由:船と船乗りの関係性を見事に表した名シーン

 ヤマト2で白色彗星迎撃に臨む直前、味方巡洋艦と衝突事故を起こし機関に重大な損傷を抱えた後の、シーンである。

 これは間違いなく演出マターなシーン。しかし、ヤマトとクルーという特別な関係を示す重要なシーンであることには違いない。クルーは今まで乗って来た船に特別な感情を抱くというが、それがまさに表出したシーンで涙が出る。現実にもあり得る心理展開であり、演出マターとはいえ見事

 また、コスモタイガー隊がヤマトに引っ付いているという事は可能性として舟艇も一緒に引っ付いていることを考慮すべきだろう。目の前に敵の本隊が居るのに、舟艇を護衛もなしに放置したら七面鳥撃ちにされかねない。他方で、どうしてもヤマトについていきたいコスモタイガー――となったら多分舟艇も付き合わざるを得ないだろう。舟艇も一緒にという事なら、必然的に空間騎兵隊も一緒についていかされている。

 それを考えると、空間騎兵隊第11番惑星派遣隊とヤマトクルーが運命共同体になったシーンの一つとも評せる。ヤマト2において確実に重要なシーンだ

 

 

 第2位:決死隊編成

 登場エピソード:さらば/ヤマト2・第25話

 ノミネート理由:空間騎兵隊とヤマトクルーの絆と決意の現れた名シーン

 堅牢な都市帝国相手に攻めあぐね、内部より破壊を試みるため決死隊を募るいわばヤマトが組織だって攻撃を行う最後のシーンであると同時に、ヤマトクルーの胆力を見せつけたシーンでもある。

 演出マターなシーン・パート2ただ、無理やり取り繕ったシーンかといえばそうでもないだろう。都市帝国にはどっちみち空間騎兵隊が必要だし、一番の勇士である隊長の参加は不可欠。アナライザーが佐渡酒造やミーくんと共に医務室で戦死した今(ヤマト2では操艦を担当しているため手が離せない)、メカに立ち向かえるのは真田さんしかおらず参加するのはやはり既定路線。古代が参加するべきだったかは疑問といえば疑問だが、反対に参加しなかった場合、パイロット1名欠員という事になるし別に外部からでは都市帝国を攻撃できず……指揮系統を明確にすれば別に前線に出ても大した問題は無い状況だったゆえに参加しない絶対的な理由というか合理性もない。さしずめ3番手の島君に指揮権以上だろう。

 これは決死隊編成から突入、炉心爆破までの一連で泣けるシーンであろう。人によってはヤマト史上屈指の泣けるシーンかもしれない。いくらでも説明が付けられるため、これ以上の説明は野暮か

 

 

 第1位:「地球艦隊の中央を突破する、全艦隊集結せよ」

 登場エピソード:ヤマト2・第21話

 ノミネート理由:完璧なストーリー展開と圧倒的なかっこよさ

 これはバルゼー総司令の名台詞。ヤマト2の言わずと知れた名勝負にしてヤマト史上随一の頭脳戦の開幕を告げる極めて重大な命令である

 前回に置いて機動部隊であるゲルン指揮下のプロキオン方面軍を失ったバルゼー総司令、しかし直進し構わず地球艦隊本隊攻撃に驀進する。対する地球艦隊は遊撃隊としてヒペリオン艦隊を先行、先制攻撃をもってこれを混乱せしめ本隊を以て殲滅する――ためにヒペリオン艦隊を出動させたものの、衝撃砲の圧倒的攻撃により壊滅。土方総司令は拡散波動砲を以て敵を粉砕する作戦に方針転換。

 前進してきた地球艦隊に対し、バルゼー総司令は艦隊に「地球艦隊の中央を突破する、全艦隊集結せよ」と下令、突撃隊形を展開した。対する土方総司令は地球艦隊に拡散波動砲発射隊形展開を下令して応戦。これによりヤマト史上のハイライトともいえる艦隊戦が繰り広げられる

 ヤマトで最も熱い戦い、地球の存亡をかけた一大決戦だった。

 

 

 番外編

 TOP5からは漏れたが、ガトランティス戦役において絶対に欠かせない――作品の価値であるとかストーリーの合理性を高める意味で最高のシーンをいくつかあげたいと思う。

 

 大帝曰く「地球にはヤマト以上の戦艦アンドロメダが居る。さらに同じクラスの戦艦が続々と造られるだろう」――第7話

 アンドロメダをはじめとした地球艦隊の脅威評価を行ったシーンであり、これによりガトランティスが地球の兵装のあの時点での内容を全て知っていたと仮定できる。故にヤマトの射程をナスカが見誤ったり、バルゼーが火炎直撃砲に絶対の自信を持つことが出来た。とガランティスの行動についてのかなりの部分の論拠になる。いわば名伏線だった。しかも、これが的中しているのだからまたすごい。

 味方殺しと評判のタイプ・ズォーダーの的外れ観察眼とは違い、5世大帝は大抵の場合において正しい見識を示していた

 

 

 ひたすら黙認する長官――第4話・第18話

 この人が態度を保留にしたおかげでヤマトは反乱を犯したのではないと言い張ることが可能だし、土方総司令の無茶な判断を政治マターでトップダウンで決定したと強行突破できる

 本当は良くない事だが、防衛司令部を見限った後は色々情報を上にあげず、諮問された際に首相や大統領に直接のレクチャー。この全力で無駄を省き、首相や大統領に信頼されているという関係性をフルに活用した猛烈な政治手腕。何もしてない様で色々と動いていた――ある意味で長官は恐ろしい男であるさすがデスラー総統

 長官の態度がのらりくらりだったおかげで、ヤマトや土方総司令はイライラしただろうし、不安な面もあっただろう。

 が、長官のおかげで防衛司令部の顔も経つし現場指揮官は自由に動けたし、政治も余計な事をせずに済んだ全方位戦略的のらりくらり戦術とでも呼ぶべきか……。風見鶏作戦とも評せるが、だからこそ懐かしの中曽根氏並みの名采配ともいえるだろう。あの人も政治の勘は凄かった。

 

 

 ランクインさせたのはどれも出来るだけ簡単に合理的説明が出来たり、一つには絞れないが矛盾の無い説明が可能なものばかりを挙げた。バンデベル処刑サーベラーが「どんな顔をしているんだろうねぇ」とキレるシーンなど、他にも色々面白いシーンはたくさんある。

 また、上に上げたような名シーンや、伏線の展開などたくさんの見どころがヤマトにはある。過剰な期待は禁物だし、出来るだけハードルを下げた方が案外エンタメは楽しめるものであるからそれを肝に銘じて鑑賞してほしい。

 

 そして、出来ればこの記事のすげぇエピソードTOP5に注目し、ストーリーの深みに思いを馳せてもらいたい。当然、賛同できる部分だけで構わないですけどね。