ストーリ考察Ⅸ・地球降伏―本土戦力―
なぜ、本土戦力が一切なくヤマトだけが都市帝国と戦ったのか。確かに、合理性は大してない。無論、巨大戦力が地球に存在している必要性は当然薄いが、しかし全く存在していないというのはおかしな話である。
何とか説明を付けたい。
まず、ヤマトだけが戦った理由は――なし崩し的で説明は難しい。
ヤマトは白色彗星の弱点を唯一知る戦闘艦であり、ガス体を取り除いたが結局内部までは破壊できなかった。ここで退くのは全く意味のない行動であり、地球を守る為そのまま戦闘を続行し、都市帝国への攻撃に移った。
さらばにおいてもヤマト2においても、多少の才はあるがベースラインは同じ。
これは説明と言うより単なる流れを述べただけだが、これ以外の表現のしようがない。
問題は、なぜ防衛司令部は残存戦闘艦を派遣しなかったかという事。可能性としてあるのは、残存戦闘艦が存在しなかったという事だが――多少無理がある。
本当に文字通り戦闘艦の保有数がゼロになるというのは疑問で本当に一隻残らず土星決戦につぎ込んだとあれば、あまりに作戦がお粗末。そこまで前衛艦隊に脅威を持っていなかったさらばの場合は特に。しかも白色彗星の重力から一隻たりとも逃れられなかったという事だが、これも正直微妙な所。一隻ぐらい端の艦が逃れていても不思議はない。
ヤマト2の場合、土星圏に全てを賭けたため、あらかたの戦闘艦艇を集めていたのは事実。土方総司令は空間輸送護衛艦隊という、恐らく護衛艦を主力としているであろう艦隊までタイタンに呼び寄せたため、地球にはほとんど戦力はなかっただろう。
が、損傷を受けて離脱した艦の存在はあり得る。また、駆逐艦が白色彗星迎撃までに下げられた可能性もある。
つまり、居残り組など複数隻が地球に残存している前提の方が合理的だろう。無論、居残っているという事は――未成艦であるとか戦闘に対した貢献をしないと判断された艦という事にはなるだろうが。
それは同時に恐らく、都市帝国との戦闘に繰り出しても勝てないと判断された、だから出撃しなかったと言う事でもあろう。この方が合理的。
ヤマト2において例えば生き残った戦闘艦は損傷がひどく、再度の出撃には耐えられない。今更新造艦等を繰り出しても都市帝国の防御スクリーンを撃ち抜く事は敵わず、それどころか接近さえできない。
さらばにおいては有力な戦闘艦艇はバルゼー残存艦隊に対してならば万が一勝てるかもしれないが、都市帝国相手では万が一にも勝てない。そう判断されたのならば、対都市帝国には出撃を見送られても不思議はない。反対に言えばヤマトに呼応してバルゼー艦隊の迎撃に出動したという可能性はある。
さらば、ヤマト2ともにヤマトを側面支援する現実的な作戦としてあり得るのは残存コスモタイガーを全機地上基地からヤマト近傍空間へ送り出すことぐらいだろう。他の手段では完全に役立たずを死地に追いやるだけで何の意味もない命令になってしまう。
そしてこれをしなかったのは、パイロットでヤマト航空隊と同格レベルの技量を持った部隊が存在しなかった。という事で何とか説明が付く。
それでも送り出した方がカッコいいし、参戦してくれた方が盛り上がっただろうが――まあ、リメイクのリメイクにでも期待しよう。
つまるところ――地球の本土戦力は存在していたとするのが妥当。
だが、都市帝国相手に戦闘を行えるような状態ではなく、あの巨大要塞に唯一対抗できる戦闘艦であり、唯一対抗できるクルーを載せていたのがヤマトただ一隻だった。
だからヤマトに全ての負担がかかって、単独で戦う羽目になってしまった。と言うのが妥当な説明だろう。
月面基地やら地球表面からミサイルの一つや二つ、ぶっ放してやればよかった気もするが。まあ、仕方なし。