暗黒星団帝国兵器群 中間補給基地――暗黒星団帝国の白い秘密兵器――
ヤマトよ永遠にで登場した白色の巨大要塞、それが中間補給基地である。インパクトは強く、その輝くような白さや無人といった不気味さ、形状等、暗黒星団帝国らしさとらしくなさの混ざる大型兵器である。
残念ながら劇中では活躍を見せられなかったが、しかしそのポテンシャルは察して余りある強力さだろう。
――データ――
名称:不明(海外ではSpace Fortress:Crystal Base)
全長:不明
全幅:不明
全高:不明
武装:不明
収容艦艇:不明
UFOにシドニーのオペラハウスを融合したような姿で、鋭角的かつ直線に近い緩やかな曲線を多用したデザインである。上面中央にクリスタルの半円ドームが配置され、その後方に角のような大型構造物がそびえたつ。要塞底面、ドームの直下にも大きな膨らみがあり、生物的な印象と無機質的な印象の双方を兼ね合わせた見た目と言える。
武装は自衛用に限られ、それも対空用に限られる。つまり、多数設置されたヘッドの無いコードレスクリーナーみたいな見た目の対空砲台によって賄う。有事に際しては艦を出撃させて迎撃させるのだろうが、そのシーンは見られず。
基本的に要塞自身の対艦性能はゼロとみていい。つまり艦隊の護衛がない状態で攻撃を受ければ即死亡……。
収容力の推測
横幅で行って全体の1/3を占める中央ドーム内に艦艇を収容する。
このドームは平場と格納庫の二つに格納スペースが分かれ、平場には大型艦を整備し、格納庫には中型ないし小型艦を収容。
平場には、普通のドックのように左右に低めの壁があって、スペースを区切る。また、アームが一本備え付けられ、これが収容した艦を整備する。劇中では独特の配置で、ずらっと6隻ほどの大型空母が横並びに整備、されに手前にもう4隻、更にて前に巨大戦艦っぽいもう2隻が並ぶソリテイア風な配置計画。更にドーム奥側にも一隻が確認できた。
格納庫は1スペースにつき2隻を格納。7列のよくわかんない構造物を挟んで左右に2段5列か6列ずつ。更にところどころ巡洋艦一隻が丁度入る整備スペース2段1列がところどころに設けられていたりする。さらにこの格納庫前面部の平場にも整備スペースが設けられており、恐らく総数12。
描写からして格納できる数は以下の通り――
推定全長:18キロ
大型艦艇:約13隻
中・小型艦艇:24隻強(格納庫)+12隻(平場)
合計:約50隻
恐らく平場は直径5キロ、格納庫の奥行きを含めるとドーム全体では6キロ程度か。ドームの内、全体が格納スペースなのか……1/4は構造物が占拠しており、これが格納庫なのか管制システムなのかは不明。結局描写がはっきりしないためあまりわからない……。50隻の戦闘艦は、地球の首都や主要都市を制圧した黒色艦隊のサポートに回るのには十分な数であろうことが推測できること。
ただ、それだと描写と微妙に齟齬が出る。
50隻で十分なのだが、巨大空母を何隻も平置きで横並びに出来るというのが、格納スペースが広くなりすぎて……もっと載せられるのだ。
まず、直径が5キロという事は1/4円周でも4キロぐらいは確保できる。あの7列の不明構造物に2キロ円周を取られたとしても半円で6キロぐらいは格納スペースに換算できるだろう。という事は1ブロックを護衛艦2隻ないし巡洋艦1隻を格納するスペースを300メートルと仮定すると、1/4円周で10列ぐらいは確保可能だ。つまり箱として20個、半円だけで40個。残りを重工作スペースとして格納庫ではないとして計算しても――巡洋艦20の護衛艦60隻ぐらいは格納可能という計算になる。これに加えてプラス20隻ほどの護衛艦ないし巡洋艦を平場にも格納可能である為、全体として中・小型艦は100隻となるだろう。
仮に巨大戦艦の再設定値を採用した場合は3倍で1スペースは600メートル、1/4円周は12キロ、ドーム直径は15キロ――全体で18キロだろう。
巨大空母中心なのだからまあ、その格納数は変わらない。一方で格納庫の数は15列は確実。もっと隔壁を薄くして20列を確保しても問題はないだろう。合計で半円格納個数は30から40列の60個から80個となる。護衛艦や巡洋艦は3倍では横幅がつっかえてしまうが、倍程度であればそれぞれ200メートル強と400メートル強になるから、十分格納できる。故に……巡洋艦20の護衛艦80隻ないし巡洋艦40の護衛艦160隻の巨大艦隊を格納可能となる。更に30の平場置きをプラスすると130隻、或いは40隻をプラスして240隻。
再設定値
全長:54キロ
大型艦艇:約13隻
中・小型艦艇:100ないし200隻強(格納庫)+30ないし40隻(平場)
合計:約143ないし253隻
これならば方面軍を格納する名実ともに中間補給基地と言えるレベルに成長できる。仮に、失ってしまったならば大惨事だが。
再生産機能の有無
あるのかないのかは不明。一部、作画ミスなのか何なのか主砲をのっけた白い艦っぽいのがあったりする(一番最後の方のシーン)。あれを建造の最終段階に進んだ艦とすれば、工場機能を持っていると説明することが可能だろう。
ドームの塔状工作物側半円を工場機能に充てる、或いは工場機能との接続部とみても格納スペースの容量が十分である為、問題はないだろう。さすがにドーム下方の基地自体の底部ドームに関しては、工場機能なんてものがあったらエンジンだの基地の能力自体が確保できなくなってしまうかもしれないため、ここはエンジンぶ等なのだろう。構造物に関しても警戒のための構造の一つなのだろう。やはり再生産能力があればドーム後半部を当てるというのが妥当だろう。
ドームの“クリスタル”部はそれなりに防衛能力があるのだろう。何せショックカノンの砲撃を受けて粉砕はしなかったのだから。無論、全く無力ではあったが……。
運用事情
全長は推定18キロ、新宿を中心にすると東が亀戸、西が吉祥寺の手前。北は赤羽、青物横丁辺りが範囲に収まる。かなり巨大だ。さらに、再設定を加えた場合は54キロと非常に巨大。なんと、新宿を中心に東は習志野、西は八王子。北はさいたま市に南は浮島インターチェンジまでの範囲が収まる。
都市帝国のように民族存亡がかかる拠点ではないし、都市衛星ウルクの様に都市の一部が浮上したわけでもない。純粋に軍事目的から建設、係留されているのだから一般人が乗っている必要性はない。軍属もそんなに多くいる必要はない。
もっと言えば、暗黒星団帝国の民族事情からすれば――人員を確保できていない可能性が十分ある。というより、人員確保する必要性がないだろう。機械に運航を任せればそれでいい。
仮にヤマト側が第一波攻撃でエネルギー網ないし通信網を破壊したり、或いは強力なジャミングを行った場合は、当然運航に幾らかの支障が出よう。仮に人間の反撃が一歩遅れれば、それだけコスモタイガー隊の攻撃の被害が広がるという事。敗北の可能性としてはこの程度か。はっきり言って、それだけの事と切り捨てられるようなレベルの危険ではないが、しかし後方にあって前線を支援する任務からすれば、元来中間補給基地が攻撃を受ける想定はあまりないだろう。
ぼろっかすにヤマトに負けてしまった理由は、地球全土を掌握したという報告の後、警戒を一段落としたという可能性に求められるだろう。気が緩んだタイミングであれば、仮に少数の人間が運航していた場合、ワンテンポ反撃が遅れても不思議はないだろう。あるいは、地球人類の体を移植するための施設ななどを新設し、そのシステムのせいで過負荷がかかって警戒システムの運用に支障が出たとも考えられる。
苦しい説明であるのには間違いないが、あり得ない話ではない。
カンタス航空72便急降下事故の様に警報システムに問題が内包され、最悪な形で発露した例。あるいはラウダ航空004便墜落事故の様に、小さな不具合が決定的かつ構造的に不可避な操縦系統の不具合を引き起こしてしまう例。スパンエアー5022便離陸失敗事故のように全部ダメダメだった例。
システムの誤認だとか、色々残念なことが重なってエグゾゼの直撃を受けた〈シェフィールド〉、図体がデカくてだけではないが色々重なって自爆ボートを回避しそこなった〈コール〉。
様々な角度で不具合やミスが生じ、それが一様に非常に危険で大きな損害をもたらすことは十分あり得る。それが言いたかった。
劇中の活躍
残念ながら活躍はない。何せコスモタイガーとヤマトにタコ殴りにされただけなのだから。反撃も鈍く、結局何がしたかったのは不明。多分、逃げようとしたのだろうが、その前にヤマトの砲撃によって消滅。まさに消滅した。
恐らく、移動基地としては申し分ない能力を発揮しただろう。単なる輸送基地ではなく、簡単な工作艦でもなく、本気の移動基地に他ならない。基地としての能力を優先させたからこその自衛能力の欠如だろう。全ての能力を満たしたそこそこ小型の移動基地など普通は建造できないだろう、自衛能力ゼロは仕方がない面もある。そもそも護衛艦隊を張り付けておけばいいだけの事。
普通に運用すれば、前線の艦隊を最大限に能力を引き出して運用する根拠地となる。純粋に補給基地として、それも兵器デザインのアウトラインを保ったままの要塞は他に類例を見ない。この要塞は非常に強力かつ貴重な戦力だろう。それを護衛なしに宇宙空間に放り込むって――まずいだろ。
暗黒星団帝国の兵器の中で非常に目を引くのがこの中間補給基地である。巨大なのかそうでないのか微妙なラインのゴルバとは違い、明確に巨大。しかもなぜか白色。メリハリという意味では見事。また、デザインも他の艦艇や兵器と共通したデザインが多く、さほど違和感のあるものでは無かった。
ただ、ヤマトの強さを演出するためのやられメカ、加藤の弟を活躍させるための叩き台の様になってしまったのは非常に残念。