旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ガミラス兵器群 初代デスラー艦――脱出用武装シャトル――

 

 初代デスラー艦はテレビシリーズのみに登場する戦闘艦艇である。ようやく銀河系へと帰還を果たしたその瞬間から総統はヤマトに対する最後の攻撃を始めた。

 その、切り札にして総統の身を守った秘密兵器。それが初代デスラー艦である。

 

 

 ――データ――

 艦名:不明(通称デスラー
 全長:不明(230メートル説あり)
 全幅:不明
 自重:不明
 武装:艦首デスラー砲1門、艦首ミサイル発射管8門、移乗戦用チューブミサイル、フィン基部大口径レーザー砲3門

 青い艦体をした特徴的な戦闘艦で艦首に大型の砲口=デスラー砲を備える。元々は天井都市のデスラー総統府であり、その基部にエンジンを備えた事実上の脱出ロケット。基本的には只のビルであるから砲塔などは全く備えられておらず、ほとんど武装は無いに等しい。レーザー砲や艦橋は総統府時代からあるが、ミサイル発射口は宇宙戦艦となってから見える――場所から言って総統府時代に岩盤と結びつけるための支柱の接続部だったと思われる。得意なのは艦尾からの見た目で、ハニカムなエンジンノズル6つを一組として利用する。

 ちなみにヤマトシリーズではありがちな事だが艦名及び艦級名は劇中では呼称されておらず、実はガミラスでどう呼ばれていたかは不明。海外では指揮巡洋艦Imperator〉などと呼ばれていたりする場合があるらしい。

 

 もしもの備え

 デスラー艦は、元々は天井都市のを構成した総統府の一部である。これに脱出機能を持たせたもので、他の天井都市のそれと同様と言えるだろう。艦首には必殺のデスラー砲を備え、その他多数の自衛系火器を搭載しているがこれの使用シーンはない。

 

 天井都市にみられるあのミサイル群だが、恐らく元来は脱出ロケットだったとするのが妥当だろう。まして岩盤や建築物の構造に問題が生じ落下した場合、ロケット推進による落下防止というのは別におかしな発想ではない。これを利用し、ミサイルとしてヤマトにお見舞いしてやるというのも発想的にはあり得る。この作戦があったからこそ、ヤマトを本土決戦に誘い込んだともいえよう。

 天井都市にロケットブースターが付いている理由だが――行政官庁になにがしかの備えがあるのは当たり前であるし、例えば水害の激しかった利根川荒川水系その他もろもろ大型河川の流域は昔は上げ舟の備えは決して珍しくなかった。最近においては東日本大震災における津波被害を受けて、南海トラフなどの津波を伴った災害に対応するため津波救命艇を地域のハブ的な施設に配備しておく計画が発表・推進された。
 これを鑑みれば天井都市に脱出機能があるっても、不思議はない。脱出機能という点についてだけね

 

 みんな、天井都市って発想やべぇと思ったでしょ。アレで岩盤を動かして直接地球に移植とか、まあ色々考えられはするだろうが……ねぇ? 私も、元々天井都市の発想自体どうかと思う。カッコいいという事と合理性と安全性は大分乖離があるという意味で、大いにどうかと思う

 

 

 兵装・運用

 元来は脱出用、転じてデスラー砲キャリア、これが第一だろう。

 そもそもデスラー艦の発進自体が緊急事態である為、兵装は少なくても構わないだろう。対艦戦闘より逃げることに重点を置いた、脱出用船艇なのだから。また、波動砲は戦闘艦の積みうる兵装の中でただエンジンに直結させればいいだけ、或いは薬室を確保すればいいだけであるから、実のところ開発さえできてしまえば最も搭載しやすい兵装といっていいだろう。

 仮にデスラー砲を新しく開発したにせよ、昔からあったにせよ、デスラー砲をデスラー艦に新規に搭載しても不都合はないだろう、無理もないだろう。昔から搭載されていたとしても、最も簡単に搭載できる兵器であるから選択肢としてあってしかるべき。

 ただ、足を止めて発射準備をする必要が有る、この一点のみが扱いづらく、ガミラスにとって汎用兵器になり得なかった。そう説明可能。

 

 指揮通信能力が高いかどうかは不明証明できるシーンがないからただし、比較と類推は可能

 旗艦級戦艦――例えばシュルツ艦や戦闘空母やドメラーズ3世を鑑みると結構重武装。決戦兵器がなくとも、艦隊の総数が劣勢でも旗艦が踏ん張れば十分戦えるレベルの大火力を有している。他方でデスラー艦はドメラーズ2世と同様に武装が大したことない上に設計思想を感じさせない

 この脆弱な武装は旗艦が敵と正面切って遭遇する場面にはかなり問題があるだろう。同じガミラスの中では、前述のドメラーズ2世と同様の傾向=戦闘には出来るだけ供さないという前提が相応しい戦闘艦である。

 これを考えると、ガトランティスの超巨大戦艦のような昔の拠点ないし拠点再建設=都市帝国再建のための道具、と言うような事はデスラー艦にはあり得ないだろう。ここは、脱出ポッドが本来であるとした方が簡単に話が収まるのではないのだろうか。とすれば、脆弱ではない――だからと言って艦隊の基幹となるような通信能力はないと論じても構わないだろう。

 

 

 登場・劇中の活躍

 第一シリーズ第26話に登場。

 一度デスラー砲発射を試みるも、図らずもヤマトがワープでこれを回避。これを受けて総統は緊急的にワープを命令するが――うっかり座標がかち合い横っ腹に突っ込む。銀河系圏内でのこと。この際、どう考えてもデスラー艦の方が被害が大きかった。

 白兵戦を試みたものの、うまくいかず結果撤退。

 ヤマトが地球への帰還を目前にしたその瞬間、総統はデスラー砲を再度発射しこれを一挙に葬る作戦に出た。が、真田技師長の空間磁力メッキによって跳ね返され、直撃を食らって爆沈した。

 元々が単なる脱出ポッドに近いとすれば、十分妥当性のある描写といえよう。割と硬い(物理)艦体と微妙過ぎる自衛能力は全体として貧弱な設計だが、脱出ポッドであるとするならば、全て説明がすっきり整う

 正面切って殴り合う設計ではないのだから、と全てが説明可能になるのである。

 

 

 デスラー総統やガミラスのしぶとさを如実に示すような戦闘艦。

 この艦自体にどうこうというエピソードや設計の特異さというものは大してないが、インパクトは十分。見た目的には好みは分かれるだろうが、存外に妄想考察しがいのある戦闘艦と評せるだろう。