旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

そりゃねぇだろエピソードTOP3(新たなる旅立ち)

 

 

 恒例の擁護しがたい驚くべき描写をあげつらうシリーズ。今回は新たなる旅立ちのそりゃねぇだろエピソードをTOP3形式で紹介、解説したいと思う。

 ガトランティス戦役より遥にエピソードのぶっ飛び方にブーストがかかっているため、要シートベルト。

 

 

 第3位:イスカンダルの暴走

 ガミラス星の爆発により軌道を外れたイスカンダルこの時点で結構疑問がある。惑星というものは実はそれぞれ引力で引き合い、特に恒星に引き付けられている。足が速い彗星や絶妙に惑星間の引力の間を渡り歩く浮遊惑星は別にして、普通は恒星の重力に捉えられ、その終末の時までずっとぐるぐる回るのが普通だ。

 どの惑星も公転軌道上でガスや塵が集まって惑星となった。仮に、どこからか高速で系内に突入した場合は、惑星に激突するなりして減速することで恒星に捉えられてぐるぐると系を構成する惑星となる。特に創成期の系であればどの星もアツアツでここの惑星は重力が強く引力も強い、だから余計に互いに引き合う。

 ガミラスが爆発して消滅した場合、その余波を受けてイスカンダルが通常の機動飛び出すという可能性はあるだろう。ただ、その場合は単に軌道がずれるだけではなく、爆発の衝撃波を受けて惑星表面が大惨事になる。これは免れ得ない。この時点でイスカンダルの二人は……。

 が、どこまで飛び出すかは未知数だろう

 惑星の爆発で完全に系外へと押し出される可能性はかなり低いのではないだろうか。他の惑星との兼ね合い、特に巨大なガス惑星などがあれば、その引力と悪い具合に干渉しあってスイングバイで弾き飛ばされるという事はあるかもしれない。たまにそんな感じで軌道を外れて自由浮遊惑星となる星があるにはある。ただ、それでも大枠では銀河中心部にあるブラックホールを直接中心点とした、物凄く大きくて一見すると判然としない公転軌道を描く。

 そうは言ってもワープはしないだろう。ワープだけはしないだろう。どう頑張ってもできんだろう。だって光速を突破するのが大前提だし、ヤマトの場合は閉じた宇宙論によるところの空間を直接移動するのだから……惑星が自然に自力で飛び出すのは無理だろうて。だから――これは擁護のしようがない。というか、正直する気が起きない

 高速移動中で前方の周囲の宇宙空間が凝縮され、これが障壁となって外部からイスカンダルを保護。物理的影響は、進行方向と逆側の半球ないし中間の地域に関してはある程度生存が見込める。光速移動自体は外部から隔絶された場合は別に内部に何か破滅的影響をもたらすわけでは無く、ただ時間の経過が遅くなるだけだからワープしても惑星表面には大して問題は起きない。

 と、それっぽい説明できるが……根本のイスカンダル星がワープしたというのが全く意味が解らん

 

 

 第2位:イスカンダルの自爆

 単純に残念なシーンだストーリー展開上、必要性があるかどうかは結構疑問だし、ヤマトがやたらに特攻というか自己犠牲のオンパレードになっている、その量的要因の一つかつ実例の一つになっている。描写の合理性とか、それ以前の問題で一度目の視聴なら案外感動できるかもしれないが――さらばやヤマト2の直後の作品である以上。はっきり言えば……2回目の視聴はシラケる。しかも、隣でガミラス星が爆発しているため爆発という意味でたった一作品で繰り返しだからなお、シラケる。

 一位にするか二位にするか迷いに迷ったが……まだイスカンダルの歴史をでっち上げ想像ないし創造した際に組み込めば、何とか説明がつくという点に置いて救いがあったので二位にランクイン。

 

 第1位:スターシャの幻影

 さらばのテレサは存在の特殊性からある意味神にも等しかった、だからある程度は説明がついた。だが、一応人間の範疇であるスターシャがそれをやったらまずいだろう

 ヤマト2版テレサのように、ギリ大帝と古代と雪にだけ見えた、であればまだいい。厳格とか願望という事でいくらでも説明がつくが、スターシャの幻影はその場の全員が見ている。幼いサーシャまで見ている。どないなっとんねん……。

 これは……ヤマトが最もSF(Science Fiction)ではない部分の具体例と言えるだろう。実際、ヤマトは冒険譚の側面がかなり強めに存在していることは間違いない。その意味では逸脱はしていないのだが、サイエンス・フィクションとしての側面が薄すぎる。ヤマトシリーズには描写の中に、サイエンスではないとたびたび指摘される〈離陸時に沈み込むガミラス機〉なんかは人工重力からの離脱を描いただけで「むしろ完璧なサイエンス、見事なまでのサイエンス」と強弁できる。これらの何とか誤魔化せるシーンとは異なり、この幻影は無理。ここまでくるとSFのFがfantasyになってしまっている。

 幻影が見える合理性がそもそもなく、具体例を引いて“あり得る話”とするにはオカルトや霊現象を引っ張ってこなければならないため、その身もふたもなさに不名誉な第一位にランクイン。サイエンスが全然ないんだもの。

 しかもお説教内容が中途半端というのも減点対象

 

 

 番外編

 まだ説明がつくが、バカらしかったりやり過ぎな描写である為お世辞にも褒められないシーン。しかし、そりゃねぇだろと製作陣を詰問したくなるほどではないため、ランク外な場面である。

 

 北野君の急成長

 射撃訓練で大失態を犯した北野君だが、なぜか急に成長して名采配を振るった。まあ……元々優秀だし、自信家だから、これが元来の彼の姿なのかもしれない。故に目くじらを立てるほどではないのかもしれないが、目には付くし疑問符も付く

 そもそもの疑問だが、彼の本分は一体なんだ。航海部(班じゃないのか……)で配属された模様だが、艦橋勤務で出港指揮を任されているわけだが……イスカンダル上空ではなぜか戦闘指揮を任されている。緑色の服で戦闘指揮をしている人、私は他に知らない。緊急事態でもないのに別部署の人物が別部署の職務を堂々と行う――配属の意味とは……?

 とはいえ、イスカンダル上空で古代の代理としてデーダー指揮下の艦隊と交戦しこれを圧倒、その優秀さを見せつけた。だから結果オーライではある。

 北野君、君は一体何者なんだ……。

 そして古代君は何で異なる職務を抱き合わせたんだい……?

 

 

 「我が巡洋艦隊……全滅!!」

 これは、仮に無人艦隊ならば操作ミスで話が済むが、有人艦艇であった場合は話が異なる。艦底部に武装の無い護衛艦が、明らかに上方への攻撃手段を持つヤマトに対して腹を見せるのか。煙突ミサイルは暗黒星団帝国にとって予想外だったとしても、潜られたらヤバいことぐらいは分かるだろう。なのになぜ突っ込んでいったのか。

 戦術的にはまったく無意味どころか自殺行為。頭悪すぎる。しかも煙突ミサイル第一波攻撃の後にならないとヤマトの下方への攻勢を行わないという意味不明っぷり。最早接待である。これは有人艦艇では合理的な説明がつかない……。みんな恐ろしく愚かな艦長ばかりだったとするか? それはそれでご都合主義だ……。

 

 

 以上のように、これだけ短い作品でこれだけ残念なシーンを引っ張り出せるというのは――正直ヤマト作品の質の低下としか原因を説明できない。実際、翌年に暗黒星団帝国が攻め込んでくるという驚異的かつ絶望的な設定が通ってしまい作品になってしまっている。製作陣で誰か異を唱えなかったのか……残念過ぎる

 この新たなる旅立ちという作品は、ぜひ雰囲気を味わってほしい。合理的な説明であるとかSFのSの部分にウェイトを置いてみないでほしい。出来れば、この作品を楽しんでほしい……だからぜひ、半分寝ているような状態で観賞してほしい。そうすれば作品本来のポテンシャルを大幅に超えた体験が出来るはず。

 

 逆にそうじゃないと、見ていてストレスたまるよ