旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

戦闘考察Ⅴ 中間補給基地殲滅戦(ヤマトよ永遠に)

 

 中間補給基地殲滅戦は≪ヤマトよ永遠にで≫ヤマトが初めて行った戦闘である。この戦闘の勝利によってヤマトは暗黒星団帝国の本拠地へ一歩近づき、同時に地球占領部隊の補給路を断つことに成功した。

 


 暗黒星団帝国側参加部隊:中間補給基地
 戦力:中間補給基地(補給中:空母・巡洋艦護衛艦多数、戦闘爆撃機多数)
 指揮官:不明
 地球側参加部隊:ヤマト、ヤマト航空隊
 戦力:戦艦1、数個コスモタイガー隊
 指揮官:山南艦長、古代進

 

 

 展開

 地球封鎖網を突破し前進するヤマト。遠方まで偵察機を進出させて探索させたところ、白く輝く中間補給基地を発見。これに対し山南艦長は即座にコスモタイガー隊を発進、徹底した爆撃を敢行する。

 コスモタイガー隊は迅速な行動を以て、補給中の攻撃を粉砕しかつ基地内部を破壊に成功。更に前進したヤマトがショックカノンを以てこれを砲撃。完全に破壊すし、地球占領部隊の補給線・退路を断った。

 

 

 描写の妥当性

 暗黒星団帝国側の動きとして、中間補給基地を置いた事自体は当然すぎるほど当然。そりゃ、白い塗装というのは多少の疑問はあるが……別に敵の攻撃にさらされることの無いようにすれば、良いだけで大した問題ではない

 中間補給基地は敵に対して非常に脆弱であることは武装の内容からして間違いなく、であるならば当然敵から非常に離れた地点に置くのは当たり前。だったら、どんな色にしても構わないだろう

 万が一、あの塗装も暗黒星団帝国艦隊の塗装とは別の効能があるのかもしれない。艦の機能の関係上、どうしても些細な出火も命とりになる。だから引火しにくくなる性質の塗装である――とか。だとすれば、白にも合理性はある。

 

 ただし、護衛がないというのは痛いご都合主義に近い外で警戒していた護衛戦隊と交代の戦隊の意思疎通がうまく取れず、たまたま周囲ががら空きになったところを襲われた。とか――ちょっと無理をすれば、いくらでも理由は付けられるが、ほんの数隻も用意していないというのが、残念過ぎる

 この中間補給基地がなければ地球占領部隊は飢えてしまうし、仮に損害を負った黒色艦隊は損害を負ったまま戦闘を続行しなければならなくなる。戦線は膠着し、暗黒星団帝国にとって全く得はない。なのに護衛艦艇を配置しなかったのは――愚かすぎる。

 それを考えると、喪失しやすくなる無護衛はご都合主義なシチュエーションと言わざるを得ないだろう。どうせ、ヤマトとコスモタイガー隊ならば多少の護衛艦艇程度であれば余裕で撃破できたはず。コスモタイガー隊を前もって発進させ、ヤマトが護衛艦艇を襲撃している間に基地にコスモタイガー隊が空襲を仕掛けてくれればいいだけ。頭のよさげな戦闘になるし、見栄えもするだろう。

 戦闘をすっきりさせる、尺を節約するための無護衛判断だったのかもしれないが……十分見せ場になりえた戦闘をみすみす切り捨てたといえる。残念。

 

 補給基地側の迎撃の鈍さは、仮にカザンとは別の指揮系統だから、カザンが基地司令に何がしかの理由があってヤマト出撃の報を知らせなかったとすれば、問題なく妥当性が確保できる。PS版に近いシナリオだ。知らせなかった理由は……ソ連軍的に内部の政治闘争か、或いはミッドウェー直前の連合艦隊司令部と同様の戦術・戦略的判断だったのかもしれない。

 であるならば、迎撃が鈍くても仕方がない――だって知らなかったのだもの、そりゃ反応は一瞬ぐらい遅れて当然だろう。その一瞬でウィークポイントをやられたとすれば基地は動けなくなる。古代進というラッキーボーイ相手では万が一という事もあろう。また、基地自体が暗黒星雲を利用して隠れるような陣取りをしているため、うっかり自分で自分のレーダーの範囲を狭めたと説明を補強してもいいだろう

 補給基地がほとんど無人であれば、戦闘でのあのレベルの低さも、警報を受けておらず警戒を一段上げる必要がなかったから。攻撃を受けた後に警戒レベルを上げて戦時に突入、迎撃の濃度を一段上げた。だからドームが閉まった。でも敵わず粉砕されてしまった、と説明可能だ。

 

 コスモタイガー隊を前進させ空襲、補給基地の能力を封じた後にヤマトを前進させ砲撃によってこれを粉砕。この山南艦長の指揮は非常に堅実な采配と言えるだろう

 探索機が中間補給基地を補足、敵の規模が大きい事を考えればコスモタイガー隊による先制攻撃は妥当。下手にヤマトを接近させて危険にさらすより安全であるしコスモタイガー隊の爆撃力は破格という事を考えると、やはりコスモタイガー隊を前進させるのは当然。

 古代の指揮や加藤2代目の活躍もあり、中間補給基地への奇襲攻撃は成功。補給中の艦隊にも大損害を与え、基地の能力は消滅。同時にヤマトへの脅威は消滅、これを確認した山南艦長は艦を前進させて直接砲撃を敢行。徹底してヤマトへの脅威を避け、しかし基地そのものを破壊するほどの能力はなかったコスモタイガー隊による空襲に見切りをつけ、基地殲滅の最善策を採用した。堅実の上にも堅実で確実な戦闘プロットだ

 土方艦長以来の名将といっていいだろう。しかも山南艦長は人当たりがいい点もポイント高い。土方さん、怖いから……。

 

 

 映画のシーンとして

 細かく見ると実は暗黒星団帝国側のずさんさで残念な戦闘――正確には盛り上がりに欠ける戦闘。BGMのおかげで物凄くムード全開で気分は上がる戦闘であることは間違いないが、しかし内容自体は精査すると大した内容ではない。一方で、地球占領戦に比べれば、中間補給基地の機能の如何によっては十分妥当な戦闘内容となる。

 これは改良の余地ありなシーンだが、全面否定するほどの内容ではないといえよう。

 

 

 意義

 山南艦長の指揮が極めて堅実という事が示され、また新しいクルーと艦長と旧クルーとの連携が結構うまく取れたという事が確認できた。これは今後の航海において、少々強行軍や強襲であっても十分に効果的な作戦をとることが出来ると予想が立つ。また、暗黒星団帝国の補給路を断つことで間接的に地球解放への重大な一歩を踏み出したといえる。

 他方で暗黒星団帝国側は人員不足の悪弊が出たといえる。また、前方=対地球に対しての戦力投入が大きすぎて戦線が維持できなくなりつつあるという事が明確になった。つまるところ、ヤマトの出撃によって戦略の転換――数多く立てたであろうシナリオの中でも、最悪のシナリオをベースにして戦闘を組み立てる必要に迫られた。

 

 

 暗黒星団帝国側損害:中間補給基地喪失、補給中戦闘艦隊喪失
 地球側参加部隊:コスモタイガー数機