旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

こいつはスゲぇエピソードTOP3(ヤマトよ永遠に)

 

 ヤマトよ永遠に、にも素晴らしいシーンはいくつもある。今回は考察というより、ピックアップしたスゲェシーンがいかにスゲェか、という事を紹介したいと思う。

 

 

 第3位:「私は敵を打ち破る為に艦長に就任した」

 イカルス天文台での、初めて山南艦長が登場したシーン。物凄くかっこいい。ただひたすらカッコいいシーンだ。これはストーリーとしてヤマト出撃の目的が明確化したシーンであり、山南艦長がひとかたならぬ人物であることが明確になったシーンである。加えて、「敵に勝つという目標の元、全員、新乗組員のつもりで戦ってもらいたい」というセリフもまた、山南艦長の人柄と決意と考えが明確に表れていると言えるだろう。

 共に成長していった父親的な沖田艦長、親方的な土方艦長に次ぐ、信頼すべき教師的な艦長としての山南さんが描かれていると言える。前職である訓練学校の校長という、教師=人間教育の指導者としての側面を強調したシーンだろう。

 

 実際として、ほとんどが新乗組員である新生ヤマトにおいて旧乗組員は根幹になる存在であるが、だからと言って彼らの専横が許されてはならない。むしろ、戦闘や運営の主体は新乗組員である。それを考えれば両者を区別する必要はあっても特別扱いはしてはならないだろう。特に、旧乗組員から絶大な信頼を得ている真田さんからの紹介を経たというこの過程も心憎い。

 まさに教育者的な考え方であるし、これは実際的に有用な方針と言えるだろう

 

 

 第2位:「まだテストもしていないんで使わなかったが」

 物凄くヤマトらしい、真田さんらしいシーンであろう。

 真田さんの天才ぶりがいかんなく発揮されたシーンでありかつ、山南艦長の戦闘指揮が見事だったシーンでもある。そして何より――技術に関して工作班が、戦術に関して戦闘班が、最終決定について艦長が、砲術の実際に関して砲術班がそれぞれ有機的なつながりを以て見事な連携を行ったシーンである。

 誰でも波動砲がバカ撃ち出来れば夢――それを完璧でないにせよ一定程度実現するのが波動カートリッジ弾。これを事前に製作しているという、真田さんの天才さがいかんなく発揮された、だからこそヤマトが生き残った。ヤマトではよくあることだし、通常兵器で波動砲並みの威力を求めるというのは発想としては普通といえば普通……そこを実現するのが真田さん。これが出来る人間は中々存在しない、ゆえに真田さんがいればこそヤマトは生き残る事が出来た。

 正確に言えば、真田さんを擁する戦闘艦ならどんな艦でも生存率が上がるだろう

 

 ぜひとも注目してほしいのがあの流れるような意思決定プロセス長年の信頼がべーつとなり、そこにたとえ面識はなくとも山南艦長を指揮官として頂くというはっきりしたプロセスが描かれた。これは新任の艦長に対して命を預け、艦に命を預けるという決意の見えたシーンだ。当たり前とは言え――俺様にならずちゃんと艦長を意思決定にかますという真田さんや古代君も、十二分に戦士として評価に値する行動だろう。

 加えて、その途中においてゴルバの一基を立てにするという戦術を発令する山南艦長の名采配。初めて見る規模で行われている目の前の攻撃にアップアップしている戦闘班長と、経験の差をいかんなく発揮した極めて印象深いシーンであろう。

 

 

 第1位:「待て、このまま撃つ」

 島君の左80度コースタ―ンを取り消して下した山南艦長の命令。これがバカ当たりして敵巡洋艦隊を撃滅、残存の巨大戦艦はいわゆるしっぽを巻いて逃げ出した。

 仮にコースターンをしていた場合、あの不明艦隊の巡洋艦隊に距離を詰められ後方の上下左右から十字砲火を受けていただろう。ヤマトの装甲を考えれば切り抜けられただろうが、ヤマト側が反撃しようにもショックカノン6門では骨が折れる。しかも、その間に巨大戦艦が接近してきた場合、ヤマトは確実に補足されていた――巡洋艦の攻撃を強行で振りほどく他、迎撃が出来なかった可能性が高い。そうなった場合、ヤマトは猛烈な砲撃を喰らって大破しただろう

 しかし、コースターンせずに砲撃した事でむしろヤマト側がイニシアチブを握って巡洋艦隊を攻撃する事に成功した

 

 これは山南艦長の決断力と戦闘センスが光った一瞬である。また、この急な命令に対し見事に応じてみせた島や古代ら戦闘班の能力の高さも見事だし、シーンとして一見の価値ありだろう。

 このシーンに関しては、ぜひ見てほしい

 

 

 番外編

 

 小ワープ後の偵察行動

 これはカザンが驚く高速な長距離ワープの後の古代君の意見具申だ。小ワープがかなり性能が向上したため、反対にレーダーに損傷が発生、その修理の期間を利用した周辺域の偵察をするというシーン。凄く成長した。

 この偵察行動のおかげで中間補給基地を捕らえ、地球占領軍の補給路を断った。これは地球奪還のために極めて有効な一打となったと言えるだろう。

 海王星から第11番惑星より18万3000宇宙キロ(ワープ終了地点)が0.7光年に相当するという情報も得られたが――海王星から第11惑星の距離が判らないため、使える情報ではない。

 それより、中間補給基地が位置的には全然中間じゃないという事の方が驚愕

 

 

 「その言葉を待っていた。全員部署につけ、発進準備だ」

 サーシャ残留決定後、ヤマトに帰還した古代たちが艦長に報告。その過程で、ヤマトも聖総統の軍門に下り残留するかそれとも地球へと帰還するかの決断をするシーンの一幕である。

 真田さんは確実に聖総統の説明に疑問を持っていただろう。一方で古代は聖総統と対面するまで結構信じていたらしい――同時に島との意見の相違が発生。これは何としても結束を取り戻さなければならないだろう。その軸として、山南艦長がその役割を果たしたシーンだ。

 ワンマンによるトップダウンは確かに効率がいいが、一方でそのワンマンの消失は組織の崩壊を意味する。集団指導体制までいくとさすがに効率が悪い部分も出てくるし、まして軍艦ではなおの事。しかしながら、クルーの団結は大前提前の大前提である。

 これを確実にしたのが山南艦長であり、それを表すのがこのシーンだ。

 

 

 「先に帰っているぞ、古代……」

 デザリアム星の中枢である水晶都市に到達し、攻撃準備に移ったヤマトであるが猛攻を受け艦長室が被弾。これに伴い艦橋天井が崩れ山南艦長が重傷を負った。その苦しい息で語った最期の言葉がこれである。

 水晶都市から放たれる大型ミサイルの猛攻に回避は不可能と判断した山南艦長。この時点でまはサーシャ救出を念頭においている作戦展開を彼がしていたことが明確であると言えるだろう。この胆力よ。真面目な話、クルーを見捨てるというのは非常に士気を低下させるし、実際に割と役に立つサーシャを見捨てるというのもあまりいい手ではない。中型雷撃艇やコスモタイガーを繰り出せばまだ救助のチャンスはあっただろう、しかしそれすら状況的には許されなかったのである。

 そして波動砲発射用意を下令した直後、艦長室に直撃。艦長室が崩壊し、その残骸が艦長席の上に覆いかぶさるという大事故で重傷を負った山南艦長。その時彼は心配し駆け寄って来た艦橋クルー相手に何と、「部品の一つが壊れただけだ、ヤマトは死なん」と一喝するのである。更に山南艦長は古代に指揮権を委譲し、そして先に帰っているぞと……情感あふれる、武士の残した最期の言葉である

 

 

 基本的にヤマトよ永遠にでは、山南艦長がらみのシーン以外は大した見どころはない大した事無いというよりも、山南艦長の存在が非常に大きいという事が言えるだろう。ニワカファンだと、表面をなぞってしまうからここに気が付かない。

 彼のシーンは一通りが合理的で整合性のとれた内容となっている。また、彼の宇宙戦士訓練学校校長という前職も相まってクルー同士の協調を重視したセリフおよび行動となっている。

 ヤマトよ永遠にを鑑賞する際は、ぜひ山南艦長を中心に見ていただきたい。彼の名采配に震えてほしい。