旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ガルマン・ガミラス帝国軍艦艇の概要

 

 ガルマン・ガミラス艦艇はガミラス時代から大きく形を変えた。あまりに変わり過ぎて全く共通性がなくなってしまって――普通、そう言うのはご都合主義とかリアリティが無いとか言うのだが……まあいい、考察しよう。

 

 

 武装

 非常に特徴的なのがガトランティスの回転砲塔を採用した事。あれは対艦戦闘にも対空砲にも使える両用砲である為、ナイスな選択。昔の仰角がほとんど取れないあの無砲身砲とは雲泥の差である。ヤマトⅢにおいて極めて少ない高評価出来る部分

 一方で問題なのはいまだに無砲身砲を採用している艦もあるという事。つけるだけ無駄。どういう目的なのか……。

 

 武装の配置は艦首への火力集中だが、ボラー連邦とは異なり舷側方向への指向も可能。そのため、最大火力は艦首方向だが決して舷側方向が無防備というわけでは無い。ただ、艦尾方向への指向は極めて難しく艦尾自体大して火砲が据えられていない。

 兵器も射程が恐らく異なるであろう艦砲をそれぞれ載せているため、艦によって異なるが遠中近距離のそれぞれの空間において最善の戦闘を行う事が可能。

 

 ボラー連邦に比べてミサイル兵装を稀にではあるが用いる点は興味深い。が、その機会はあまり訪れない。

 興味深さでいえば、ガミラス帝国時代と同様に、ビックリどっきりメカを用いる点だろう。ただの牽引ビームを攻撃的に使ってみたり、デスラー砲を汎用化してみたり、瞬間物質移送器を維持していたり、反射衛星砲を改良してみたりと色々、新兵器開発に余念がなかった。

 ただ、火力が未だにさほど高くない点、ボラー艦相手に苦戦しているところを見ると――結局、大型艦でも動力源の出力は大して高くないと見える。主発電機、機関部、推進器のほとんどをガミラス時代から幾らかの改良で済ませ、艦の運用や兵装の充実を以て艦の能力向上に努めたと考えられるが……あまり上手く行っている感じはしない。だって、一番能力の高そうな中型戦闘艦がボラー艦相手に押し負けるんだもの

 

 

 防護性能

 弱い。紙っぺらな装甲である。ヤマト2で大して活躍しなかった雷撃艇の猛攻をくらい、木っ端みじん。コスモタイガーにも全く歯が立たなかった。ましてヤマトの直接の攻撃など、抗せるはずもなかった。

 こんなものだから、圧倒できていたはずのバース星守備艦隊相手に反撃を喰らってひどい目に合うのだ。相手がラム艦長で、味方がダゴンであったとしても、である。

 

 

 デザイン

 微妙にガトランティスが混ざったような見た目。ただ、配置などを見るとボラー連邦と大して変わりがない点が多い。そしてデザインの妥当性もガミラスとの共通点がない為ゼロベースで考える必要が有るが、その場合特に妥当性のあるデザインでもない。まあ、インテークの置き場所などを考えると、無理もないようなデザインと言う言い方も可能だが。

 ボラー連邦とガルマン・ガミラスで大きくデザイナーを変える必要が有ったはずだが、それを怠ったら当然、似通るだろう。しかもあんまりガミラスとデザインが共通していないため、これは――ガルマン・ガミラスという設定の組み立てミスだろう、全く持って評価しがたい。普通は根本から設計変更するような全く別の技術が入り込むことがない限りは、デザインは大きくは変わらない。小改装程度、ちょっと武装を輸入した程度では大きくはデザインの傾向は変わらない。なのにあまりに大きく変わったのはマズイと言える

 

 

 戦術

 機動戦に尽きるガミラス時代は割合に電撃戦といって差し支えないリソースの使い方だったが、ガルマン時代においては、これが微妙に変化している。

 つまるところ見敵必戦、持てるリソースをとにかくたたきつける。敵より速く動き、敵より多くのエネルギー投射を行い敵を撃破するという戦術だ。敵を圧倒できるだけの火力を敵を圧倒する高速移動中にぶちかます、明瞭だがタイミングが肝心となる戦い方と言える。

 ガミラス時代と大して変わらないといえば、変わらない戦術かもしれない

 

 故に、足が止まっちゃったらヤバいのがこの艦隊

 実際的に、ダゴンは足を止めてヤマトに大敗。それどころかラジェンドラにすら苦戦した。グスタフ中将も足を止めてからの進撃であり、しかも火力差が大きすぎて挽回のしようがなかった。

 高い火力を有していれば敵に捉えられてもすぐには苦境には至らない。装甲が厚ければそれだけ踏ん張れる。しかしガルマン・ガミラス艦隊はそのどちらも確保しきれていない。これに艦隊の規模が小さいという致命的な要素が加わると、たとえ機動戦を行っても勝てるとは思えない。負けはしないだろうが。しかし、最後の頼みの綱の機動性さえ失ってしまうと最早致命傷。敵に捉えられるわ、動く前に撃破されるわ、数が余計に減って戦力差が挽回できないわ、どうしようもない。

 

 

 ベースとしてガミラス帝国と大して変わらないのだが――よりWWⅡ時のドイツっぽくなった、と言えるだろう。ガミラス時代は軍艦その物の質は、どちらかと言えば墺洪二重帝国海軍に近かったのであるが(こっちの方が充実度としては上)……。

 大型艦の価値が割と下がっている。武装が貧弱でなぜ大型なのかわからないような艦などがあり、空母はガミラス時代と大して変わらない立ち位置。艦隊の中核を成すとか、戦力の中核を成すとかではなく、欠けた戦力の補充という扱い。これはボラー連邦の方が統一感とヴィジョンのある艦隊建設と言えるだろう。スターリンはあれはあれで勉強家だったからね。

 所詮は陸軍の下士官以下で、海軍についてヴィジョンがなかったヒトラーのグダグダ海軍計画のそれに近く、特に大型艦の解体命令発令前後辺りのドイツ海軍に近い印象。

 

 

 

 中型戦闘艦ですらその配備にヴィジョンがあるようではなく、いまいち描写として何がしたいのかわからない。もしも艦隊が割と押されがちというのもあるのだから、あんまり期待されていない海軍=ビスマルク喪失後の海軍に対するヒトラーの印象、という前提があるならば――ある意味描写として合理的なのかもしれないが。