旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

旗艦ブルーノア――西崎Pと小林誠の夢の跡――

 

 

 宇宙空母ブルーノアはヤマト復活編の冒頭に登場した巨大戦闘艦であり、地球人類の命脈をつなぐべく発進した第一次移民船団の護衛艦隊総旗艦である。重武装で奇襲を仕掛けた敵艦隊に対し全門を以て迎え撃つが、しかし叶わず。だが、ほとんどその機能を失いつつも地球影響圏までの退避に成功した武勲の艦だ。

 しかしながらその語感、立ち位置からは別の側面もあったりなかったりする。

 なお、復活編は旧作の系譜ではあるものの――作品の成立までのタイムラグがあまりにも長すぎる点や小林誠大先生の存在などを鑑みリメイク作の範疇ということでカテゴライズしました。

 



 データ(今回はpixivから拝借)
 全長:450メートル
 全幅:不明
 機関:波動エンジン1基
 武装:艦首収束波動砲1門、艦首舷側(艦名表記部格納)ホーミング波動砲片舷1基、艦前部3連装砲塔並列6基、同艦尾並列2基、艦橋前部3連装副砲塔並列2基、同砲艦橋後部並列2基、連装副砲塔艦橋後部フィン上1基(フィン2本、合計2基)、パルスレーザー砲艦橋基部片舷4基、艦橋上部魚雷発射管片舷5門、艦首舷側ミサイル発射管5門、艦橋基部舷側ミサイル発射管7門、4連ミサイルランチャー艦橋前部左右副砲間1基
 艦載機:コスモパルサー
 搭載機数:不明
 艦載機発進口:片舷14

 

 上面図は楔形に近く、艦全長の3/5に当たる長さの格納庫翼を有する。艦首はトリケラトプスの角のように分かれた三叉突起があり、これの多くに上端の長い台形の波動砲口を持つ。しかしながら上部二つの突起はこれは保護カバーであり展開してホーミング波動砲を放つことが可能。艦の中央より若干後方底部に艦橋が一つ、さらに後方上面に戦闘などに応じて使い分けられる3つの艦橋が棚田のように少しずつずれて重ねられている。艦尾の4枚フィンは艦の縦軸と横軸に一致し、横軸はあの長大な格納庫翼と一体である。艦尾ノズルはノズルコーンを有するタイプ。
 武装は全てが左右対称で、右舷だけ見れば艦前部に主砲3基+副砲1基に艦尾主砲1基+副砲1基とこれでも重武装なのだがそれが2倍。その他の小型砲の類は艦橋周辺に纏められ、ミサイルの類も一部を除き艦橋周辺に発射口がまとめられている。
 カラーリングは全体的にライトブルー。他の色は限定的で艦首のネームプレートは白く、艦体の喫水線に当たる部分に太い帯状の黒塗装を設けられている。他にも艦橋部は一部が黒や白で縁取り塗装されている。

 


 デザイン

 艦橋内部は近未来的な内装でパネルで窓以外の全周を覆い、各種のデータや画像を写す。艦橋の床は楕円で、純白。形状は評し難いが、扁平なジャイロっぽい……伝わればいいのだが……。オペレーターは第1層の正面に5人、結構間をあけて左右にそれぞれ5人、ぐっと床面積が小さく後方に位置する第2層に2名が左右、更にその上の後方に位置する第3層が艦長席。或いは司令官席。

 全体として、意外と狭そう。操舵部床幅の倍ぐらいしか艦橋内部の幅が無いもの。


 艦容としてはインペリアル級スターデストロイヤーの艦首にデスシャドウ号の艦首を埋め込んだような見た目。まあ、多少影響を受けるのは仕方がない。

 ただ、今までの地球艦艇の見た目からすれば大きな変化であり、無駄なギミックを差し置けば――形状としてわからんでもないが受け手が批判的であれば大きく逸脱した醜い外観だし、ファンならクリエイティブな外観という評価になるだろう
 ヤマトのデザインが息苦しいと感じる方もおられるようで、そう言ったことを全く感じた事無いバリバリ深呼吸している側からすれば、むしろこのブルーノアの方が何だか気管にとろろ芋を流し込まれたような猛烈なもどかしさを感じている人間もいる。とだけ述べておく。

 

 ただ、純粋にそれはどうかと思うのは艦橋回り。これは、好き嫌いの問題というよりデザインの手抜きという問題
 他の地球艦艇と類似しているのは問題ないし妥当過ぎるほど妥当だが、どうにもベルデル艦の上にフリーデ艦が生えたような使いまわし的デザインなのはいただけない。雑な感じを否めないし、技術の系統が明らかに違うほかの軍の艦艇にかなり類似してしまっているのは合理性というかリアリティがない。

 

 大体、小林大先生のデザインは後方に伸びすぎだし上方に伸びすぎ。元来は勢力の方向性や特性を念頭においてデザインしなければならないのに、クリエイターの好みを最優先するその姿勢はどうかと思う。もっと言えば、そう言う事をするというのが判り切った人にデザインを頼むほうもヤマトを大切に思っていないのではないのだろうか。

 


 武装
 第一に、武装の質としては最大の特徴かつ、不明なホーミング波動砲に着目せねばなるまい。ホーミング波動砲はネームプレート部が上に開かれるかして展開し、片舷3つか5つの砲口から直線=艦横軸方向へと発射されるものを波動エネルギー偏向装置で正面方向へと変えて命中させる。

 2202でやたらめったらに出て来たあのよくわからない曲射撃ちのアレである。
 考えるな、感じろ。という事なのだろうが、それはヤマトファンに対して言うべき言葉かと言えば、それはストーリー展開についての話のはずで、メカの原理に関してはこれに説得力がないのはデザイナーの責任。考えるな、感じろ。というのを自身のファンに向かって呼びかけるのは構わないが、ヤマトファンにも巻き添えを食わせる形で押し通すのはいかがなものか。


 想像するに――偏向という語が何を指すのかがネックだが、まあ艦内に働かせる人工重力を艦外へと、兵器として利用しエネルギー流を任意方向へと捻じ曲げて敵に浴びせかける、若干エネルギー投射量が劣るが狙撃型の拡散波動砲として利用可能。と言ったところか。

 何にせよ、ホーミング(homing)の意味が分からない。妥当性が見えない。ホーミングはミサイルの自動追尾という意味と帰巣性という二つの意味がおおむね日本では浸透しているが、どちらか。無論、目標方向に誘導するという意味であれば、名称に妥当性も生じるが大分無理やり。"帰巣性”に着目し波動砲は直進するものであるから、捻じ曲げられても捻じ曲げられた後はちゃんと直進する、という意味であればまた意味が分かるのだがそれだとほとんどの波動砲はすでにホーミング。

 思いついちゃったんだろうな、追尾波動砲って。でも、実体弾ではなく、あくまでエネルギー投射でしかない波動砲に誘導弾のような追尾能力は持たせられないだろうて。ある意味、2202の拡散波動砲のターゲティング描写はこのリベンジともいえる。小林大先生、懲りないというかやらなくてもいいリベンジをよくもまあ……。

 

 

 次いで驚くべきは砲塔群並列配置だろう。単純に主砲3基+副砲1基と艦尾主砲1基+副砲1基、合計6基。艦首方向へは12門、艦尾方向へはぐっと減って6門だが舷側方向へは18門と極めて巨大な火力を有する。この時点でめまいがするほど重武装なのだが、何とこれが並列。故に艦首方向は主副合わせて8基24門、艦尾方向主副合わせて4基12門となる。エグイほどの重武装だ。
 しかし問題は純粋な並列という事


 並列配置は別に珍しいものでもなく、単装砲架ならばよくある形式。砲自体が小さいという事、どうせ真横では戦わないのだから被っても大して問題ではないという事、片舷に対する投射量が多少落ちても死角をなくして敵に備えた方が効率がいいという事、などが理由として挙げられる。

 WW1以前の巡洋艦に多くみられる形式だが、黎明期中央砲郭系の装甲艦にもよく見られる形式だ。


 しかしブルーノアの場合、砲塔3連装用の大型で左右に非常に接近しているため危うく干渉しかねない。正面から右舷砲は右160度程度、左舷砲は左160度程度旋回が可能だろう。一方で反対側に旋回しようとすると、砲室が仰俯角機構の部分に干渉して砲身を上げない限りは20度がせいぜい、砲身を上げても30度弱だろう。第3主砲塔も周辺が微妙にせりあがっているため、基部でかさ上げしても干渉する可能性があり、旋回半径はさらに狭まる可能性が高い。
 しかも副砲に至ってはミサイルランチャーが邪魔で反対側に指向できない、出来て10度弱がせいぜい。

 よって、艦首正面方向24門、軸線より左右30度(合計60度)が24から21門、左右片舷160度に18門、艦尾正面方向から左右30度(合計60度)まで12門を指向できる。主砲になると艦首18門、舷側12門、艦尾6門と推移する
 つまるところこの艦は舷側に敵を迎えてしまうと的が必然的に大きくなる上に指向できる火力が大きく減ってしまうため艦首方向で敵を迎えたい。もっと言えば、敵の量によっては遠距離より逆に中距離で迎えたい

 が、あの武装配置や量を見ると想定される戦況は――きっと梯形配置というものをご存じなかったのだろう。

 

 

 現実の戦闘艦である〈ドレッドノート〉は中途半端な火砲を捨てて、斉射を利用し敵艦の倍の火力を有する高速艦という事が革命的だった。

 チャーチル曰くの「海軍は6隻ほしいといった、政府は4隻までだといった。仕方がないので間を取って8隻建造することに決定した」と。4隻で8隻分の戦力となる戦闘艦であれば、政府の枠組みを満たせるし海軍の戦力要求も満たせるがゆえ、急拡大を続けるドイツ帝国海軍をも突き放せるとした。英国面、ここにあり


 結局対艦戦闘は舷側方向が主であるから、左右に最大火力とするべく艦軸上に砲塔を置き、艦首方向でも敵を圧倒すべく3基を設けた。これにより舷側方向へは敵の二倍の火力を維持し、艦首方向へは3倍でたとえ敵艦が舷側を向けて火力集中を行っても同格から1.5倍を維持できる。

 より舷側方向への火力集中を高めた〈ネプチューン〉は英国海軍で初めて梯形配置を採用してこれを実現。しかもドレッドノートとは異なり2番砲塔と3番砲塔が大きく互い違いになっているが、射角を確保し艦首方向主砲塔3基体制を維持するという無茶さ。そしてライオン級に至って初めて全ての手法を艦軸線上に5基全て配置、死角の多い砲塔を廃止して無駄を省き艦幅をスリム化。

 後に登場するクイーン・エリザベス級においてようやく連装砲塔4基、2基ずつの背負い式というよく見る形に落ち着いた。結局これが一番、一門当たりの口径を拡大しやすく、死角を減少し、艦体の規模を大きくしなくて済む最適解と言えるだろう


 砲塔を全周に並べるのは死角がない分、幾らでも柔軟に対応できるが反対に火力集中が出来ない。反対に梯形配置だと死角が多くなる。軸線上に集中させると艦全長が伸びるか配置できる数が減る。
 何が言いたいかと言えば、軸線上に単一で据えるのが基本になったのは意味があるという事。どうしても並列させたいならば、互い違いにしないとかぶってしまって舷側方向の火力が結局もう片舷の火力が無意味になってしまう。操作に大量の人員が必要であった戦列艦時代ならば、片舷に人員を集中させて割り切って戦闘をするのもありだし、どちらの舷で戦うのかわからない以上同数を配置するのも当然だが――砲塔形式で並列の背負い式は意味があるものとは思えない。

 

 

 ブルーノアの話に戻るが、対空兵装やミサイル兵装は、他の歴代戦闘艦艇に比べてもそん色はないし、艦橋周辺への集中配置も最重要区画を守る上ではこれは当然。ただ、並列配置は合理的な武装配置とは思えないし、主張されても同意しかねる。

 

 


 コンセプト・立ち位置
 見た目は個人の受け取り方で、私には無様・不気味にしか見えないがそれは別として――ドレッドノートやスーパーアンドロメダが割とコンセプト的には正しいのに引き換え、このブルーノアは意味が分からない

 

 まず武装だが――この艦は先に述べたように、艦首正面方向24門、軸線より左右30度(合計60度)が24から21門、左右片舷160度に18門、艦尾正面方向から左右30度(合計60度)まで12門を指向できる。主砲になると艦首18門、舷側12門、艦尾6門と推移する。
 つまるところこの艦は舷側に敵を迎えてしまうと、的が必然的に大きくなる上に指向できる火力が大きく減ってしまうため艦首方向で敵を迎えたい。もっと言えば、敵の量によっては遠距離より逆に中距離で迎えたい。

 が、あの武装配置や量を見ると近接戦闘でしかも全周を敵に囲まれたような場面を想定したような内容これは矛盾している。しかも、正面方向に最大火力ではあるが、敵が舷側に回ってきた場合は火力集中が出来ない。

 

 敵艦が艦首方向に火力を集める形式であったとしても、それがボラー連邦のように旋回できないとは限らない。むしろガトランティスガミラスのように旋回砲塔というのが当然だ。からしてみれば、ブルーノアがどうやら舷側への火力集中が難しいとあれば、これは舷側に回って集中砲火を浴びせるのが自然な流れ

 極めて限定的な戦況設定モロバレな弱点。これはプランニングとして大失敗も甚だしいだろう

 


 はっきり言って、冒頭の演出の為。左右に敵が涌いてこれに対して必死に戦うという演出の為の武装配置としか言いようがない。敵に囲まれる、その場合にどうやって派手にかっこよく戦うかと言えば左右に砲塔を振り分け――しかし、ただの背負い式では派手さに欠ける。だったら並列にしてしまえばいい。と言うような決定プロセスが透けて見える。そうでなければ端っから敵艦隊に囲まれること前提の武装配置。だったら、艦隊に先んじて前衛を務める必要が有るのだが、ただ単に先頭を進んでいただけ。武装配置を生かせていない。

 

 そもそも空母がこの重武装でこの武装配置というのが全く意味不明敵に囲まれる前提の艦が空母って……

 艦載機を発進させ、しかる後に敵艦隊に突入であれば――戦闘時はたとえ奇襲戦であったとしても周囲の護衛艦艇が高速で前進し、ブルーノアは一時後退。艦載機を発進させたのちに自艦も後続艦と共に前進して敵艦隊に突っ込んでいく。という戦闘プロット以外にはあり得ないだろう。しかしとにかく砲撃を第一としているのが不明、合理性に欠ける艦載機発進口を多数擁するのはこれは迅速な発進を考えれば正しいだろうが、しかし翼部の展開を待たなければならないという点とかち合ってしまう

  艦載機運用能力は艦の大きさに比べればあんまり大きくはないが、しかし3桁に到達する運用能力はかなり高い部類に属するだろう。だったら、前方に出してうっかり喪失してしまったらかなりマズイそして艦隊防空用であるならばスーパーアンドロメダで十分、戦闘空母はいらない。むしろ常用機数を小さくした大型の純粋空母を艦隊に随伴させた方がよっぽど艦隊防空力の向上に寄与できる。

 

 

 この艦の運用すべき状況やコンセプトがいまいちわからない

 


 敵襲を覚悟した単独任務であれば、展開力にかけた艦載機運用能力ではあんまり意味がない。しかもギミックが複雑で不安要素化している
 艦隊の防空艦であるならば前方ではなく殿か中央に位置し、直掩の安全な基地供給や、奇襲を受けても多少のタイムラグがあっても確実に直掩を展開できるようにしなければならない。何なら砲戦に勇んで参加する必要はない

 直接の対艦戦闘が第一であるならば、これは能力の喪失を懸念せねばならず、大きな艦載機運用能力を有してはならない

 

 残念ながらブルーノアは考えられる全ての矛盾を一隻に集約してしまったような戦闘艦。額面上の能力は非常に高いが、物凄い総華主義で演出マターだからどうにも合理性に欠ける内容

 小林誠イズムが大量にぶち込まれた戦闘艦、そう表現する他ない。

 

 

 艦載機運用能力
 ドレッドノートの1.5倍ほどを見込むため、設定と劇中の描写に矛盾はない。が、艦載機の部分になると果たしてそう上手くいくか……行っていないようだ。


 劇中で見えた翼部格納庫の展開。翼部の約半分ないし2/3弱に当たる長さの、艦体との接合部周辺が離脱、後方を回転軸に右舷ならば右へ左舷ならば左へと大きく展開していくのがこの艦のスタイル。接合部その半分ほどが発進口となっており上下二段の7組計14の発進口を持つ。
 致命的なのが搭載機であるコスモパルサーについて特に情報がないという事。まあ、コスモタイガーⅡと大差ない大きさだろう。高さは多少プラスされるだろうが――あるいはコスモタイガーⅠ並みかもしれない。だとすると倍近い容量となるが……。

 

 発進口は1ブロックを左右の隔壁厚も見込んでざっくり14メートルとする。これが7つだから全体で98メートル。更に、描写から推測して大体5ブロック分を外縁部として長さ70メートルをプラスする。理由は劇中のシーンを見てもらえば一目瞭然、当たり前と言えば当たり前だが、格納時の格納庫の縁はさすがに搭載部ないし発進機構の一部ではない模様で、それは合理的だし妥当な采配。加えて、発進口列の内側の2ブロック分も非発進機構の一部として長さをプラスする。28メートルほどだろうか。
 よって接合部は全体では196メートルとなる。わざと設定と描写をずらそうとしているのではなく、実際に描写であるから、これを計算に入れているだけ。

 


 艦載機格納力は――これはちゃんと計算したわけでは無く概算。この記事を疑ったり、大先生を全力で擁護したければご自分で計算をどうぞ――展開した翼部に求めるのが基本だろう。艦橋回りは明らかに収容力はなく、艦首は波動砲、艦尾は波動エンジンと埋まっているから、無理。

 また、翼部後方の艦体接続部は普通に考えて展開用の駆動部とその動力供給とするのが当然ではないか。故に、展開部に艦載機格納力が依存すると考えて、長さ的には発進口全体の3倍近い長さがある為、単純計算だと幅98メートル×長さ588メートル×高さ20メートルぐらいの容量を見込む。

 しかしながら後部と前部は旋回基部とジョイント部・滑走路になっているため必然的に格納には適さない。実際的に用いられるのは300メートル程度が妥当だろう。


 空母である以上、艦載機の整備は行う必要が有る。弾薬補給や被弾した機体の補修程度は行えて当然だしそうしたい。滑走路部は50メートル、格納・整備スペースを100メートル程度と見込み、残りを弾薬庫とする。コスモパルサーの武装って、結構かさばりそうな見た目だからね。
 弾薬を艦内に置かない理由はこれは、先にも述べたように、波動砲が2種しかも結構な砲門数にのぼるため、波動エンジンが大型ないし大出力で、砲口との接続も従来艦よりスペースを占領するだろうという推測。また、隠顕式の武装やミサイル兵装が多数ある為、多分内部には存置出来ないと思われるから。

 

 総格納力は――

 まず、発進口に控えるコスモパルサーが片舷14機で両舷28機。その後方格納庫は発進口にレールでも引いて7列の5機、2機分ぐらいを上下2段格納として合計49機。両舷合わせて98機が妥当な範囲ないだろう。よってブルーノアはの最大各能力は126機

 これは大型空母としては割高感が否めないが、しかし艦隊の防空用としては十分すぎる数と言える。小規模な対艦戦闘であれば航空戦力として攻勢に回れるだろう。描写と少し矛盾すれば、更に発進口に待機させる機体を28機プラスして154機まで何とかなる。

 


 なお原作設定値450メートルの場合、比率をそのままに450メートルの艦体に収まる様に縮小すると、縁を含めた発進口部が75メートルから最小で62メートルほど。つまり、発進口自体に割ける長さは37から31メートル。1ブロックあたり5から4メートル――それだけ小型の機ならばなんとかなるかもしれないが、どう見たって無理。何をどう頑張っても、艦載機は載せられない

 そもそもコスモパルサーの機体底部のフィンが引っかかって発進すら出来ないのが普通で、あの発進口の形状だと大分問題があるというか問題しかない。この時点で思いっきり破綻しているため、何なら今までの調整した再設定値は1割ぐらいは大きくなったってかまわないのである
 まさか、数年越しに同じ失態をよりによってタコドロメダでやってしまうとはね。発進口の高さが足りないだなんて情けない

 

 


 全長の再設定

 翼部回りの数値をベースに調整を行う。 

 面倒なのが、艦体部分に接合部が微妙に残っていること。翼先端から艦橋基部前縁まで、扁平な三角状である。頂点は第2主砲塔周辺だろうか。
 で、艦載機発進口は必然的に艦体に対して幾らか斜め。これを加味すると、翼全体は――発進口の3倍ほどを見込む。つまるところ588メートルだ。

 翼部より前方、艦首は概ね艦載機発進口部と全長が類似しているため単純計算で――980メートル。突端部がある為、実質的な艦体はこれより小さく突端部がほぼ艦載機発進口と同等の長さである為に784メートルだろう。

 

 再設定後データ
 全長:980メートル
 全幅:400メートル
 艦載機:コスモパルサー
 搭載機数:126機
 艦載機発進口:片舷14

 


 先ほどちゃぶ台返ししたように、コスモパルサーの迷惑な形状からして、妥当な最大値は1960メートルと極めて長大な戦闘艦になる。まずい事に、容量はあのコスモパルサーの形状のせいであまり増えないため、空母としての価値はさらに低くなってしまう。
 よって、やはりコスモタイガーⅡと同等程度を想定するのが妥当だろう。そうすれば十分な空母としての立ち位置を有することになる。

 あの過剰な武装との齟齬は埋められないが。

 

 


 運用実績
 第一次移民船団護衛艦隊旗艦として艦隊の最前列で進軍、待ち構えていたSUS艦隊約900隻の砲撃第一波の直撃を受ける。この際、艦長席のモニターには波動砲のエネルギー充填率や主砲のエネルギー充填率などと共に味方艦(護衛艦)数が174とある。しかし表記可能なのは999999隻までと――どれだけの数を用意するつもりだったのか

 しかしながら高い防護力によって戦闘能力は維持、前進しつつ砲撃によって敵艦を多数撃沈。更に艦載機を発進させて移民船団を護衛しようと試みたが叶わず、発進直前に集中砲火を浴びて撃墜の挙句左舷翼部がもぎ取られてしまう。以降もSUS艦隊に対して猛攻を加えるが、圧倒的多数には抗しきれず大破し離脱。
 敵艦の砲撃や爆発などに巻き込まれたのか艦の塗装すら禿げた状態で漂流、艦の機能自体はほぼ保持したままであったものの、生存者は上条一人であった。しつこくついてきたSUS艦3隻に対し乗り込んだ古代らはブルーノアを起動、無茶な高機動と苛烈な戦闘で右舷翼部までももぎ取られた挙句に艦底部艦橋まで吹き飛ぶが、残存の艦首第一右舷主砲中央砲身でこれを3隻まとめて粉砕した。
 結局は防衛軍に回収されたという事らしいが、これは裏設定という奴らしく劇中では描写されていない。


 2520の事なんか知らん

 


 2番艦の存在―― 非武装艦ブルーアース――
 ディレクターズカット版のラストにて登場したブルーノアの主砲群を全て撤廃した非武装艦で、避難船団の総旗艦かつ司令部として機能している模様。

 どうせ使わない艦尾武装は降ろしても構わないだろう、互い違いに艦首武装を落としてもいいだろう。代わりに司令部機能を増設することは問題ないどころか選択肢として正しい。

 が、武装にする理由が全く見つからない艦でもあるそしてこの2番艦が非武装と大きく設計変更を受けているという事がまた、ブルーノア級のコンセプトと存在意義を更に低下させ初登場からすでに失敗艦であると印象付けてしまっている

 

 

 ほんの一部、まともな点もある。しかし、大部分が無駄な設定無駄な描写、無茶な設定無茶な描写。そして誰に向けて創った作品なのかが製作陣自身が全くヴィジョンを描けていなかったこれが復活編がこけてしまった大きな理由であろう

 ブルーノアはそれを徹底的に、見事なまでに体現していると言える