旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ガトランティス、その指揮系統・部隊編成(さらば編)

 

 

 ガトランティス軍の指揮系統は何気に複雑、かつ曖昧跋扈としている。

 

 

 最高指揮官は誰か

 そりゃ、ズォーダー大帝だろう。だが、実務という意味で一体誰が最高権力を握るのかという話。場合によっては実際上と統治機構上とが乖離していることもあり得る。 

 

 艦隊の指揮官としては遊動艦隊司令長官(当時、ゲーニッツ司令)が最高指揮官であろう。設定的にも最高指揮官とされるし、艦隊そのものを預かるのも普通は上位艦隊指揮官の職務である。

 しかし、軍政面では総参謀長(当時、サーベラー)の方が序列が高いと推測できる。思いっきり他の幕僚ないし閣僚を顎でこき使い、侍女でもないのに大帝のそばに侍るのだから、位は高いだろう。監視艦隊司令ミルを指揮下に抑えているというのも、監督権=政治面を掌握した高官といえよう。

 

 

 ここから推測すると

 つまりは、総参謀長は大日本帝国海軍式に言えば軍令部長遊動艦隊司令長官は連合艦隊司令長官に近い関係性であると言えよう。自衛隊で例えると現役武官の可能性が排除できないサーベラーや、第6遊動機動隊の単純な描写と相反してしまうため、省く。

 

 別にアメリカ風に比定も可能。

 総参謀長の格によって多少想定がずれるが、仮に総参謀長が統合参謀本部議長か海軍長官クラスであれば、おおむねの場合に最高位軍人と言える海軍作戦部長が遊動艦隊司令長官に比定可能。総参謀長が海軍作戦本部長であれば合衆国艦隊(管理単位)の艦隊司令が遊動艦隊司令長官。これより格が下がることはあり得ない。
 だとするとバルゼーはどう転んでも地域別艦隊クラス(太平洋艦隊や大西洋、欧州など)を指揮する結構高位の艦隊司令に比定できるだろう。このクラスの艦隊司令でなければ、直接報告を受け取るのは極めて不自然になる。

 

 そもそも、たかが報告にあれだけの高官やらは必要ないだろう。

 だが、仮に同席する可能性があるならば、閣議の中で取り上げられた事案の一つ、という事になろう。であるならば、厚労や国交などの文官が各種軍に関わる武官という可能性もあり得よう。

 開戦が決まった時点でバルゼーの報告は閣議で取り上げるべき類のものではなく、軍が取り上げて対処すべきものになる。開戦以前であっても軍が対処すべき。何にせよ、単なる文官がバルゼーの報告を受けとる必要性は薄い。

 しかし、彼らが軍においては幕僚として、行政においては閣僚として機能するのであれば、何の問題はない。報告を受け取って妥当。その幕僚の中でサーベラーが第一位、ゲーニッツが第二位の立ち位置を占めることは、少なくとも地球との戦闘を控えた段階では確定的といえる。

 

 全ての幕僚・行政官の中で艦隊司令と参謀がトップツーを占めるというのは、かなり先軍的政治体制といえよう。

 スマートな指揮系統の想定としてはこの辺りが妥当だろう。

 

 

 ただし、描写に近づけると多少様相が異なる。
 仮にバルゼーが率いた艦隊規模に見合う、任務群クラスの司令官であれば必然的にゲーニッツが地域別艦隊クラスの指揮官に比定されるという事になる。サーベラーが作戦本部長だろうが参謀本部議長だろうが、ゲーニッツとは隔絶された格の違いがある

 サーベラーとゲーニッツの関係性的には、こちらの方が近い。サーベラーが大帝の情婦であった場合は、その限りにあらずだが。

 この場合、バルゼーからの報告を受け取ったのは単なる大帝の気まぐれ。あるいはデスラー総統から報告の上がっていたヤマトについての情報が含まれていた為、興味がわいたから、という事になろう。ちょっと説明として説得力に欠けるが、わざわざ立ちはだかったヤマトを踏みつぶそうという――不用心というか、気まぐれな所のある大帝の気質を鑑みれば、そんなにあり得ない話ではない。と思わなくもない。

 

  ベースとして、大帝の権限が非常に強いという事は確言できるだろう次いでサーベラー、ゲーニッツという――軍やその指揮権を根幹にした権力構造があると、考察できる。

 

 

 以下、登場部隊を羅列する。なお、名称は必ずしも正確ではない。

 

 

 名称:テレザート星守備艦隊
 規模:2個戦隊級ないし一個艦隊
 戦力:ミサイル艦約23
 配備地/作戦域:テレザート周辺域
 指揮官:ゴーランド提督
 所属:不明(大帝直轄ないし、総参謀長直轄)

 ミサイルを主兵装としたミサイル艦によってのみ構成される艦隊であり、規模から言えば2個戦隊クラス。有事の際にはテレザート前面域に展開し、テレザートへ接近する外敵を破壊ないし撃退することが任務。
 徹底した中長距離戦闘を行う一種の特殊部隊であり、超大型ミサイル(破滅ミサイル)を約50本備える大攻撃力を有する。ただし、戦力的にはミサイル艦二個戦隊程度である為、大規模艦隊に対する攻撃でどれだけ有効性を発揮できるかは正直疑問。

 上位組織は不明だが、サーベラーが直接警戒情報を伝達しているため遊動艦隊の指揮下には無いと見た方が良いだろう。テレザート守備のような、特殊任務のために配備される部隊であるとすれば、通常のゲーニッツ指揮系統から外れても問題はない。


 この艦隊が対峙すべき相手=テレザートに接近する敵は基本上陸を目的しているだろうことが予想される。そのため、守備艦隊がすべきことは敵上陸部隊の接近阻止だ。

 だが、最終ラインであると同時に最大の戦力を有しているザバイバル戦車軍団が背後に控えている。また、ゴーランドの守備艦隊はテレザートに上陸されてしまえば手も足も出なくなるため、結局のところザバイバル戦車軍団こそがテレザート守備の根幹を担う。万が一敵の戦力が巨大すぎた場合、さっさとミサイルをぶちかまして退避、機を見計らって奇襲するという方法も取れるだろう。

 

 であるならば、必ずしも敵を殲滅する必要はない


 つまり守備艦隊の戦闘方針としては弱勢・同格の敵艦隊に対しては会敵すべく打って出てこれを殲滅。強勢の敵艦隊に対しては自艦の最大射程からミサイル攻撃を連続して行いかく乱、敵を漸減してザバイバル戦車軍団の行う防衛戦を有利にさせる。という事が想定できよう。

 

 ヤマトは外見的には明らかに弱勢の敵――打って出るべき相手だ。仮に艦載機群を発信させてきたとしても、一隻当たり100発ものミサイルを擁する艦隊ならば十分ミサイル飽和攻撃行い押しつぶす事が出来たはず。実際に、5連ポッドなど多数のミサイルを発射し……概算で一隻当たり最低で60発の艦隊総数1300発程度のミサイルを発射した。

 また、テレザートを背にする戦術を行ったものの――微妙に射角がずれて、これらすべては波動砲で押しつぶされてしまった。

 脅威評価を誤った故の敗戦と言えるだろう。

 

 

 

 名称:突撃格闘兵団ヘルサーバー

 規模:一個兵団
 戦力:数個戦車師団、数個T-2航空団、少数普通科師団
 配備地/作戦域:惑星テレザート(テレサ幽閉域周辺)
 指揮官:ザバイバル将軍

 所属:不明

 機甲師団所属であろう複数戦車大隊とT-2で構成した複数航空団によって構成される兵団(複数師団の集まった構成部隊)。多少の普通科師団=歩兵も含まれているとみて、自然だろう

 突撃兵団はテレサの幽閉を確実に継続するために配備された部隊であり、幽閉地の周辺及び上空・地下を支配下に置く。なお、部隊名劇中で呼名されたわけでは無くテロップで流れただけで、その際は〈ヘルサーバー〉の語はついてはいなかった。

 上位組織は不明。艦隊の指揮官であるゲーニッツの指揮下には無いと思われ、特任であろうゴーランド艦隊と共に総参謀長系列の指揮系統に入ると見た方が自然


 テレザート占領時からの継続した駐留か、或いはテレサのコスモウェーブ発信に対して一応の警戒のために派遣されたのか、そのどちらかだろう。

 テレサはたった一人しか現状存在していない反物質世界の人間――である以外は大して脅威ではない。が、対ガトランティスの戦訓をばらまかれるのは非常に迷惑である。何かしらのタイミングで決意し、ズォーダー大帝に焦点を合わせて特攻してきたら防ぎようがない。だからテレサには幽閉所で静かにしてもらう必要が有る。ザバイバル戦車軍団の派遣はそのための防衛計画の一環であろう。


 ザバイバル将軍の立てた戦闘方針は非常に順当で筋の通った内容。難しくはないし、味方が危険にさらされるものでもない。まして非難されるものでもない


 ゴーランドの守備艦隊が打ち漏らした敵は撤退するか、上陸を強行するだろう。艦として降下してきた場合は幾らかのミサイル攻撃しかできないが、仮に舟艇で降下を試みた場合はザバイバル側にも十分な勝機が見込める。
 舟艇程度の脆弱なハコに乗った揚陸部隊はミサイルなり、T-2飛行隊数個部隊を発進させれば七面鳥撃ちに出来るはず。まして生身に近い形で降下しようものならば、前述のT-2でも敵が可哀想になるぐらいに蹂躙できるだろう。


 それでも突破された場合。今度こそザバイバル将軍の出番である。戦況がガトランティス側に傾いていた場合は、敵の揚陸部隊はすでにまとまった戦力としては機能しないはず。何も考えず、一個大隊程度を送り出して踏みつぶしてしまえばいい。懸念が残る程度の敵が高架下場合は少々厄介で、複数大隊を投入して地形などを生かしつつ各個撃破ないし包囲殲滅を目指す。最悪のシナリオの場合、当然取れる方策は各個撃破しかない。残存T-2の全機投入やゴーランド艦隊との連携による一部陣地を犠牲にしつつの徹底抗戦だろう。

 最低限の勝利条件はテレサ幽閉の堅持。これ以外は考える必要はない。

 

 残念ながら対ヤマトでは、発進なしと見込んだコスモタイガーが全力発進しT-2が全滅。挙句ミサイル陣地も粉砕されて空間騎兵隊はほとんど無傷のまま降下してきてしまった。T-2の投入が早すぎたというのがかなり痛かった
 結果ザバイバル将軍は初期から割合多めの部隊投入に迫られ、空間騎兵隊による陣地形成を徹底して阻まねばならなかった。しかも、空間騎兵隊の泥臭く恐ろしいほどに力業な戦闘に部隊は優位性の確保に失敗。続く戦力の大規模――にして最後の投入も不発に終わり敗退してしまった。

 非難されるほど間違った戦術を取ったとは思えないが、空間騎兵隊の早期踏みつぶしに失敗し、ヤマト工作班の到着までに決着を付けられなかったことが敗因となったと言えよう。ただ、ザバイバル自身が逃亡したのはいただけない。テレサ幽閉地点まで後退して死守すべきだった。

 

 

 

 名称:第7遊動機動隊
 規模:不明
 戦力:不明
 配備地/作戦域:太陽系前面域・太陽系
 指揮官:バルゼー
 隷下部隊:ナスカ偵察艦隊
 所属:不明(恐らく帝国支配庁遊動艦隊)

 完全に不明の部隊。多分”コドモ”の事情でナンバリングを“不吉な”7にしてしまったのだろう。正直製作首脳部の方向性から言ってそうとしか……。この7や都市帝国の摩天楼っぽさ、登場人物の多国籍感がガトランティスのモデルがアメリカであろうと推測できる根拠になる。特定国家でなくとも、アメリカやソ連のような超大国一般と言い換えらるかもしれない。まあ、次に出てくる敵が暗黒星団帝国、準備段階やゲームに残った設定にウラリアなんてあるから、ガトランティスアメリカをモチーフにしたから次は――的な見方をされても仕方ないだろう。

 よくやっていると褒められたナスカの偵察部隊を擁する艦隊。地球戦役時点ではガトランティス前面域を戦域として担当していたとみられる。

 

 

 

 名称:第6遊動機動隊
 規模:一個艦隊(一個空母任務群+一個潜水隊+複数個大戦艦戦隊)級
 戦力:空母1、潜宙艦12以上、大戦艦多数
 配備地/作戦域:太陽系前面域・太陽系
 指揮官:バルゼー
 所属:不明(恐らく帝国支配庁遊動艦隊)

 どう見ても横須賀にいらっしゃる第7艦隊の中核戦力と同じ編成です。
 バルゼーの転出か、或いは艦隊のナンバリングが変更になったのかは定かではない。しかもゲーニッツをすっ飛ばして大帝から直々の出動命令を受けているというかなり特殊な立ち位置。ただ単に鼓舞するための勅命という可能性も捨てきれないが。

 

 空母艦載機を基幹戦力ないし、先制攻撃の要とした艦隊。これに加えて多数の大戦艦で正面からの砲雷戦に、潜宙艦で敵戦力漸減や特殊戦闘に備えたバランスの取れた戦力と言える。一個恒星系程度の文明国家を粉砕するにはかなり有力な部隊だろう。特に、白色彗星の露払いとしては申し分ない。 

 

 戦闘プロットは恐らく、土星で見たように第一陣として艦載機を以て敵を叩く。敵が混乱すればそのまま潜宙艦陣地に押し込むか、奇襲的に大戦艦群を叩きつける。敵が整然と進軍したならば、計画通り第二陣である潜宙艦群が静かに敵艦を狩る。最悪、この第二陣すら敗北した場合は、敵の損害を確認した上で大戦艦群で包囲殲滅。失敗したとしても混戦に持ち込めれば大戦艦の大型砲で十分敵の基幹戦力を粉砕可能だろう。

 ベースとしては遅滞戦術という事になろう。 


 だが、相手は地球……
 密集隊形から繰り出されるショックカノンや拡散波動砲の圧倒的な火力の前には遅滞戦術は大した意味を持たなかった。同等程度の火力は確保しておくべきだったが、残念。

 

 第6遊動機動隊は充実した戦力だが、何気に艦載機戦力が足りない事が問題としてあげられるだろう。さすがに超大型空母一隻の配備は戦時にしてはちょっと不用心だ。仮に艦載機隊が全滅してしまえばいくら潜宙艦が鉄壁の防護陣を展開すると言えども、虚を突いての攻勢にさらされる危険がある。デスバテーターや潜宙艦と言った強力な部隊を退けるような艦隊に対して、いくら大量であったとしても汎用以上に大きな能力のない大戦艦では――と、結局土星で壊滅してしまった。

 

 

 

 名称:ガミラス艦隊
 規模:一個戦隊
 戦力:戦艦1、駆逐艦3
 配備地/作戦域:全宇宙、ヤマトの居る空間
 指揮官:デスラー総統
 所属:不明(恐らくズォーダー大帝直属)

 完全にガミラスが勢力として瓦解してしまった後、総統が執念で大帝を口説き落として編成させた艦隊である。乗組員は基本的に機械兵で、駆逐艦デスラー艦の極めて明瞭かつ少数の戦隊戦力でヤマトのみを狙う

 

 彗星帝国も総統に部隊を渡したくはなくなかっただろうし、総統も彗星帝国の一般将兵など戦力とは思っていなかっただろう。あるいは、艦隊を無人艦隊と仕立てる事で無茶な作戦を敢行しやすくしたか。どちらにせよ、駆逐艦の特性を生かして迅速にヤマトを行動不能に叩きこんだ。

 

 戦闘プロットは明確でヤマトを潰す事。そのためならばどんな犠牲もいとわない。

 駆逐艦を転送したのも、駆逐艦を張り付けたままデスラー砲をお見舞いしたのもすべてはヤマトの戦闘力を削減するため。かつて自身が白兵戦を敢行したことを鑑み、反対にヤマトが白兵戦を仕掛けてくることも考慮、ヤマトと戦う術を考え得るだけ用意して積みこんだ。

 

 しかし、駆逐艦を自滅させられて以降は白兵戦へ。更に人間と機械の差で部隊が壊滅。総統と古代の一騎打ちとなった。

 

 

 

 名称:都市帝国防衛隊(仮名称)

 規模:数個飛行隊、数個師団
 戦力:防空戦闘機パラノイア多数、歩兵多数
 配備地/作戦域:都市帝国
 指揮官:不明(ヤマト2を考えれば、ラーゼラー辺り)
 所属:不明

 ヤマトとの最終決戦において登場した戦力で、多数のパラノイア隊と歩兵を擁する。 このことから敗北する懸念事態をガトランティスは有していたという事が判る。また、都市帝国自身を警護する必要というものも存在しているという事も言えるだろう。

 これらの事から、軍法会議にかけられた犯罪者であるとか、征服地の君主や指導者であるとかを都市帝国内部へ連行している可能性というのが指摘できるだろう。

 

 基本的に都市帝国そのものの戦闘力に大きく頼った戦術を取るほかない。特に、回転ミサイルや各所に設けられた砲座は非常な火力を有する。さらに気流による防護スクリーン展開は彗星帝国が攻撃通り一辺倒ではないという事を示す。とはいえ、戦力として指摘できることは……アメリカみたいという事。

 

 つまり、意外と無防備。

 

 パラノイア隊が破れた場合、一切の防空力を失う。動力を停止させられれば全ての防衛力を失う。無論、白色彗星を破った後という敵側にしてみれば最悪な状況で都市帝国は登場するのだから、ほぼ確実にボロボロで抵抗力がある可能性は非常に低い。

 キャパシティのない都市帝国には、大戦力をずっと養うだけの能力はないのだから仕方がない――とも言えるだろうが。

 

 

 

 名称:超巨大戦艦 

 規模:形容不能
 戦力:戦艦1
 配備地/作戦域:形容不能

 指揮官:ズォーダー大帝

 所属:不明

 都市帝国の切り札であり、キロ越えの巨大戦闘艦。多数の砲門を擁し、速射性は抜群。漆黒に塗られた艦体とチラチラと漏れる光の対比は不気味さを醸し出す。

 

 正直な所、規格外すぎる為……戦力評価もしようがない。

 ほぼ確実に分厚い装甲は大抵の戦闘艦の主砲を退け、唯一の弱点であろう舷窓も、そもそも大小ざまざまな巨砲群の前では接近することも敵わないだろう。

 おそらくこの艦の巨砲群で惑星をバラバラにしてもう一度、都市帝国を再建などという事も可能。護衛艦艇ぐらいは必要な気もするが、白色彗星の後方域で活動ないし遅れて到着する可能性のある後衛部隊と合流できれば十分、脅威は排除可能だろう。

 

  もう、ラスボスですね。

 戦力とか戦闘艦とかではなく、ラスボス。

 

 

 

 以上のような部隊がガトランティスには存在する。

 これらは必要に応じて十分な戦力と、適所に配置されて任に当たる。基本的には普通の軍の様に組織だった指揮系統が存在し――だが殊、大帝が口出しした場合においてはその限りではない。

 アメリカ大統領のように強力な権限を有した大帝が指揮系統の根幹として存在し、その指揮が容易になるような補佐として総参謀長や遊動艦隊司令長官が存在と、見る事が出来る。アメリカ以上の強権的な体制であり、あまり健全な組織とは言えないだろう。

 

 救いであり安心材料なのは各部隊が極めて常識的な戦力編成であることと、大帝自身が戦力投入や維持に躊躇も節約志向も何もないという事。

 

 

  決して無能ではない指揮官に率いられた、決して不足してはいない戦力、先軍的な前近代的指揮系統。 フィクションの割にリアリティのある部隊編成、フィクションらしいが反面存在しないとは言い切れない指揮系統であると形容できよう。

 ガトランティスから見え隠れする近代らしさと前近代らしさの、一つの証が図らずも現出したと言えるかもしれない。