地球防衛軍・指揮系統と部隊(さらば編)
地球防衛軍の指揮系統はかなり明確で、軍人に対しての任命権と指揮権は地球防衛軍長官に存在している。その長官を監督するのが地球連邦大統領であり、長官の任務遂行を補佐するのが防衛会議だ。
長官に関しては軍と政府、現場と司令部の板ばさみ的な状況に置かれ、その行動は極めて制約されている。他方で、政治家である大統領に軍の実務的な指揮などできようはずもなく、長官や防衛会議に一任状態というのが実情。
この複雑で不健全な状態を解消するのが、軍と政治に加えて学術の専門家をそれぞれ加えた防衛会議である。この防衛会議がうまく機能する事によって、元来の指揮系統である大統領―長官―各軍司令官のラインが完成し、滞りなく作戦を遂行する事が可能になるのだ。
だが、一番問題なのは防衛会議。
まるっきり危機感がなく、完全に波動砲に頼り切った答えありきの消化試合でしかない会議で仕事した感を醸し出すだけ。挙句、批判は一切許さないのだから困ったものだ。
軍と政治双方のメンバーを受け入れている防衛会議であるからして、彼らの決定は長官ですら覆すのは不可能に近い。挙句その権限というか、審議分野は非常に広範で、艦の整備・改修・除籍や軍人の人事全てに対して広範な審議権を持つ模様。驚くほど無能で驚くほどダメな意味で官僚的で驚くほどダメな意味で政治マターな驚くほど救いようのない会議。
恐ろしいほどに、悪い意味でシビリアンコントロールが効きすぎて、軍が危うく瓦解しかねないレベル。
悲しいかな、さらばにおいては見事に悪い意味で防衛会議が機能を発揮。第11艦隊という辺境の戦闘艦隊に土方司令を置くというあんまり意味のない、指揮官の性格を無視した任命となってしまう。また、オブザーバーなのに批判した古代らに対して懲罰人事を発動した。この人事、違法だよね。
結局、自らが蒔いた種=白色彗星に対する初動のまずさによって首を絞められて影響力を喪失。ほとんど、大統領の信任を受けた長官と、その長官の信任を受けた現場指揮官の独壇場となってしまった。
地球防衛軍、登場部隊
さらばにおいては地球側の登場した艦隊は事実上2つのみといっていい。つまり第11艦隊と月面に集結した連合艦隊である。しかもそのうち前者は、殆ど残骸のみの登場で、考察のしようがない……。
名称:第11艦隊
規模:不明
戦力:不明
配備地/作戦域:第11番惑星
指揮官:土方竜
所属:地球防衛軍
上部組織:地球防衛軍艦隊司令部
隷下部隊:不明
さらばに登場した最初の地球艦隊である。しかし、登場時すでに壊滅。
宣戦布告もないガトランティス前衛が奇襲、他方で手続きに従い不要な戦闘を避けようとした第11艦隊が一方的に攻撃されて敗北したのだろう。〈ゆうなぎ〉が外観を保ったのは恐らく前衛に出した他のパトロール艦に攻撃が集中、旗艦は周囲の駆逐艦の護衛の元拡散波動砲の発射準備を行い――しかし間に合わず全滅と推測できる。
ヤマトと異なり〈ゆうなぎ〉の艦長席は強度があったのだろう、何らかの理由で土方艦長が立ち上がった瞬間に直撃弾を艦橋に受け、他方で司令部員はコンソールからの感電等で戦死。結果的に偶然が重なって土方艦長のみが生き残った。という事にしておいてください。
名称:地球防衛軍連合艦隊
規模:連合艦隊(地球防衛軍全力)
戦力:戦艦36、巡洋艦81、駆逐艦多数
作戦域:土星圏(集結地は月面基地)
指揮官:氏名不明(アンドロメダ艦長が兼任)
所属:地球防衛軍
上部組織:防衛司令部
隷下部隊:不明
地球艦隊の文字通り全てをつぎ込んだ艦隊。地球防衛軍自慢の大戦力であり、同時に切り札である。戦艦と巡洋艦を合わせて118門の波動砲、813門のショックカノンを有する巨大な火力を持つ。
月面基地に全地球艦隊が集結、直ちに編成を完了。バルゼー率いる第6遊動機動隊の土星圏接近を受けて全艦発進した。
第一次戦闘は艦載機対艦艇の戦闘であった。地球艦隊は密集隊形で直進、艦首方向ショックカノン540門を以て来襲したデスバテーターとイーターⅡの大編隊を粉砕。これをほとんど寄せ付けず、損害をほとんど受けずに突破することに成功した。
続く第二次戦闘、潜宙艦の攻撃にはかなりの損害を負うものの、戦艦を除く護衛系艦艇の損失が主たるもので、致命的戦力減衰はないといって構わないだろう。この状況を一挙に打開すべく、バルゼーは艦隊を前進させる。しかし、アンドロメダ艦長はその意図を見破り、包囲殲滅術が指導する前に拡散波動砲で先制攻撃を敢行。
一連の戦闘により第6遊動機動隊の戦力のほとんどを削り取った。
真の決戦は白色彗星迎撃である。
接近した白色彗星に対し、マルチ隊形を展開。拡散波動砲の一斉射撃を以て撃滅しようと試みたものの、残念ながら敵わず。枕を並べて討ち死にすることとなった。
残念ながら、さらばでは地球艦隊はあまり大きな役割を果たしたとは言えなかった。
しかし、バルゼー艦隊という強力な戦闘艦隊に対してヤマト一隻だけでは敵う可能性は低い。この、極めて巨大な危険をヤマトから退けただけでも物語には非常に大きな影響を与えたといえる。
決して弱勢でも、指揮系統に問題があったわけでは無い。防衛会議は――アレだが、現場においては一切の動揺なく戦闘を進めることが出来た。
彼らが壊滅したのはただ、相手が悪すぎただけ。ただそれだけである。