旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

地球防衛軍・指揮系統と部隊(ヤマト2編)

 

 地球防衛軍の指揮系統はかなり明確で、軍人に対しての任命権と指揮権は地球防衛軍長官に存在している。その長官を監督するのが地球連邦大統領であり、長官の任務遂行を補佐するのが防衛会議だ。

 

 他方で現場においてはわずかに様相が異なる。

 つまり、現場最高指揮官である艦隊総司令が、第一次的な指揮権を掌握しているのだ。また、作戦に対する最終的な可否の判断は同様に艦隊総司令が掌握しているとみて構わないだろう。大体がガミラス戦の生き残りなのだろう、隊司令官同士の結びつきは強く、明らかな命令違反であってもそれを突破できるだけの結束を有する防衛司令部がダメダメすぎるというのも大きいが


 長官と艦隊司令が互いに一定程度けん制し、前者は政治面で後者は戦闘面で能力を発揮すれば、それは好ましい事であるといえよう。

 その両者を結びつけるのが防衛会議であり、軍全体を地球連邦の政治にリンクさせるのが大統領の仕事だ。

 

 が、大統領も政治力をいまいち発揮できず。それよりも何よりも、防衛会議の無能さよ……さらばよりかは違法性が減ったが、しかし何がしたかったのかまるっきり不明な集団に成り下がった。挙句、途中でフェードアウト。


  ――以下、部隊についての考察に移る――

 

 

 地球軍、登場部隊
 ヤマト2においては艦隊編成が判然としないわりに非常に多くの艦隊が登場する。しかも時期によってその様相が幾らか変わるらしく、一貫していない。さらばの記事と同様、空間騎兵隊は除く。

 なお、部隊名称や登場話数が正確である保証はできない。

 

 

 ガトランティス戦役以前(第1話から7話を参考)

 名称:太陽系外周艦隊
 規模:不明
 戦力:不明
 配備地/作戦域:外惑星域から太陽系外周域
 指揮官:不明
 所属:地球防衛軍
 上部組織:地球防衛軍隊司令
 隷下部隊:護衛隊

 太陽系の外周から外惑星圏までを担当域とする戦闘艦隊で、敵艦隊と最初に交戦する部隊である為、最精鋭が集結している。恐らくは戦艦が主力で、その戦力補完に巡洋艦駆逐艦を要すると思われる。

 主力の戦闘艦隊とは別に、外周域を航行する艦船を保護する護衛隊を隷下部隊に持つ模様。ヤマトが所属していた第3護衛隊以外の描写は無し。

 

 登場話:第1話
 第3護衛隊:ヤマトを旗艦とし、駆逐艦とパトロール艦で構成された艦隊。ナスカ艦隊の奇襲を受けて大損害を負う。

   ※第1、第2が存在するか保証なし。また、他にどんな戦力があるか不明。劇中に描写なし。 

 


 名称:宇宙艦隊(序数艦隊)
 規模:不明
 戦力:不明
 配備地/作戦域:不明(太陽系全域)
 指揮官:不明
 所属:地球防衛軍
 上部組織:地球防衛軍隊司令
 隷下部隊:不明(恐らくなし)

 ナンバリングされた艦隊で外周艦隊とは別個に設けられた艦隊。一個一個の艦隊戦力はさほど大きいものではないようだが、複数個を集結させることで太陽系外周艦隊とほぼ同じ程度の戦力になると思われる。外周艦隊と別個に設けられているのだから恐らく、理由があって設けられているのだろう。

 こじつけるなら、地球連邦が直轄的に招集した戦闘艦隊が外周艦隊で、各国が独自ないし同盟関係に基づいて戦闘艦を供出したのが序数艦隊。といったところだろうか。

 

 登場話:第7話
 第2宇宙艦隊/第3宇宙艦隊/第8宇宙艦隊:第11番惑星における戦闘の報を受け集結、同宙域へ前進した艦隊。怖気づいた防衛会議ないし司令部がどうやら素早く派兵を決定したらしい。端っから長官の話、聞けばよかったのにね。

   ※他にどんな戦力があるか不明。劇中に描写なし。 

 

 


 ガトランティス戦役開戦後(第18話から19話を参考)

 名称:太陽系外周艦隊
 規模:連合艦隊
 戦力:5個艦隊
 配備地/作戦域:外惑星域から太陽系外周域
 指揮官:不明
 所属:地球防衛軍
 上部組織:地球防衛軍隊司令
 隷下部隊:第1から第5外周艦隊

 地球防衛軍の外周から外惑星圏を担当域とする戦闘艦隊。第1・第2外周艦隊は最精鋭とみられ、多数の新鋭戦闘艦を有する。

 開戦時から同様の編成なのかは不明だが、戦力の総量から考えて内惑星艦隊(序数艦隊)を配置替えした可能性もある。基地所属艦隊と違うのか、或いは外周艦隊が別個にあるのかは正直判然としない

 第18話において艦隊配置図が土方総司令の肩越しに映っていたが、同時に艦隊発進シーンも描写されている。両者を重ね合わせると、冥王星基地所属艦隊がある一方で第一外周艦隊が存在していると判断するのが妥当だと思う。

 任務は外周艦隊が敵戦力との交戦を前提として、各寄港地の惑星軌道を警備・巡航するのだろう。

 

 登場話:第18話
 第1外周艦隊(冥王星軌道):最精鋭、艦隊総旗艦アンドロメタを擁する。
 第2外周艦隊(海王星軌道):第1外周艦隊と同等。多数の主力戦艦や巡洋艦で編成
 第3外周艦隊(土星軌道):戦力不明
 第4外周艦隊(天王星軌道):戦力不明
 第5外周艦隊(木星軌道):戦力不明

 ※恐らく、上記が全戦力

 


 名称:基地所属艦隊(前衛基地所属艦隊とも)
 規模:艦隊
 戦力:3個艦隊
 配備地/作戦域:各惑星基地周辺域
 指揮官:不明
 所属:地球防衛軍
 上部組織:地球防衛軍隊司令
 隷下部隊:冥王星基地所属艦隊/天王星基地所属艦隊/海王星基地所属艦隊/土星圏艦隊

 各基地に所属し、基地への敵襲来に際しては前進してこれを迎え撃つ守備艦隊。作戦参謀の表現を借りれば前衛基地艦隊。

 一つには早期警戒や不審船の対処などが任務として考えられる。或いは、基地に所属し、基地の航空隊や砲台等と連携を取りつつ戦闘を行い、敵を排除する防戦の要としての任務も考えらえるだろう。

 木星圏は別個に上位艦隊を設けているが、これが基地所属艦隊の系列であるかは不明。土星圏も別個に上位艦隊を有している可能性があるが、作中の言及はない為不明。
 各基地によって性格が多少異なり、小規模基地ではやはり重量級の艦隊は運用が不可能とみられる。あるいは、小規模基地であった場合には徹底抗戦せず快速を基点とした戦闘プロットを用いるのかもしれない。

 

 登場話:第18話
 冥王星基地所属艦隊巡洋艦駆逐艦で構成された水雷戦隊
 天王星基地所属艦隊:主力戦艦を旗艦とした多数の巡洋艦を擁する艦隊
 海王星基地所属艦隊:主力戦艦を旗艦とした多数の巡洋艦を擁する艦隊

 ※他にどんな戦力があるか不明。劇中に描写なし。 

 

 

 名称:木星連合艦隊
 規模:連合艦隊
 戦力:4個艦隊
 配備地/作戦域:木星圏・木星軌道
 指揮官:不明
 所属:地球防衛軍
 上部組織:地球防衛軍隊司令
 隷下部隊:衛星基地所属艦隊

 木星の各衛星に配された基地所属艦隊の上位艦隊――だと思う。基本的にはガニメデやイオなどの各基地所属艦隊を束ねる、制度上の組織と思われる。実際的に用いられていたとしても不思議はないが、基本的にはあまり大きな戦力の艦隊では無く一個外周艦隊と同じ程度であろう。

 

 登場話:第18話
 ガニメデ基地所属艦隊:戦力不明
 カリスト基地所属艦隊:戦力不明
 エウロパ基地所属艦隊:戦力不明
 イオ基地所属艦隊:戦力不明

  ※恐らく全戦力と思われる。が、詳細不明 

 

 

 名称:空間輸送護衛艦
 規模:不明
 戦力:不明
 配備地/作戦域:外惑星域から太陽系圏内
 指揮官:不明
 所属:地球防衛軍
 上部組織:地球防衛軍隊司令
 隷下部隊:不明

 太陽系系内の輸送船団等の護衛を担当する艦隊――だと思われる。司令部員が読み上げただけで特に描写はない。太陽系外周艦隊隷下の護衛隊を編成替えして独立した護衛任務の艦隊として成立させたという説明が可能だろう……違うかも知らんが。

 防衛司令部は参謀の様に仮に戦争になっても各惑星基地を維持するつもりだった可能性が高く、対艦戦闘用の艦隊と‟コスモレーン”防衛用の艦隊を分けて作戦展開するように戦力を整えた。とすれば合理的な設定、劇中登場になるだろう。

 この艦隊まで招集したとすると、本当に地球の戦力がゼロに近くなってしまう。少なくとも、万全の状態で地球に残っている戦闘艦は残存なしとなるだろう。それだけ、土方総司令はバルゼー艦隊の戦力を憂慮していた証左といえよう。

 

 登場話:第18話
 空間輸送護衛艦:戦力不明

  ※他にどんな戦力があるか不明。劇中に描写なし。 

 

 

 名称:内惑星防衛艦隊
 規模:艦隊
 戦力:不明
 配備地/作戦域:火星基地・内惑星域
 指揮官:不明
 所属:地球防衛軍
 上部組織:地球防衛軍隊司令
 隷下部隊:不明

 内惑星を守備する戦闘艦隊で、事実上最終防衛ラインを担う。火星基地所属の戦力不明な艦隊。通常の基地所属艦隊よりも戦力を拡大した火星基地所属艦隊を内惑星防衛艦隊と格上げした可能性がある。指揮下に火星基地所属艦隊以外にも艦隊があるのか、隷下部隊があるのかは不明。

 防衛司令部の問いにペロッと話してしまう点――結構正直というか、素直な方が指揮官らしい。

 

 登場話:第18話
 内惑星防衛艦隊:戦力不明

  ※他にどんな戦力があるか不明。劇中に描写なし。 

 

 

 名称:外惑星巡航空母艦
 規模:艦隊
 戦力:複数艦隊
 配備地/作戦域:内惑星域
 指揮官:不明
 所属:地球防衛軍
 上部組織:地球防衛軍隊司令
 隷下部隊:空母艦隊

 外惑星圏全域を担当する地球防衛艦隊唯一のまとまった航空戦力。総力は空母5隻。平時は現代の空母と同じように、所属航空隊は基地にて訓練を行い、艦は艦で訓練を行い、必要に応じて合同で訓練を行う。当然、戦時においては直ちに乗り組みを行い、作戦に当たる――のだろう。どうやら木星圏の各基地は航空戦力の集積地らしい。


 空母以外に所属艦があるのかは不明。仮に直率の護衛以外の戦闘艦を編入するならば――恐らく木星連合艦隊所属の艦隊だろう。これを加えれば空母一隻を中心とする中々に強力な機動艦隊を最低3つ、最大5つ編成することが出来る。
 練度がどれだけ確保されていたかは不明。また、所属航空隊がマルチロール機で編成されているのか、劇中で描写されたように雷撃専門なのか、或いはフェーベ沖決戦直前で編成を変更されたのか。これも不明。

 

 登場話:第18話
 第1外惑星巡航空母艦:戦力不明
 第2外惑星巡航空母艦:戦力不明
 第3外惑星巡航空母艦:戦力不明

  ※恐らく上記が全戦力。

 


 名称:宇宙艦隊(序数艦隊)
 規模:艦隊
 戦力:不明
 配備地/作戦域:太陽系圏内
 指揮官:不明
 所属:地球防衛軍
 上部組織:地球防衛軍隊司令
 隷下部隊:第1から第16艦隊(欠番の有無は不明)

 恐らく、戦役開戦前と同じ部隊か――幾つかの艦隊を廃止したうちの残った艦隊だろう。司令部員に集結完了などの移動情報を読み上げられただけで、戦力などの仔細は一切不明。

 

 登場話:第19話
 第11艦隊:戦力不明
 第24艦隊:戦力不明
 第15艦隊:戦力不明
 第16艦隊:戦力不明

  ※他にどんな戦力があるか不明。劇中に描写なし。

 


 名称:機動艦隊
 規模:艦隊
 戦力:不明
 配備地/作戦域:不明
 指揮官:不明
 所属:地球防衛軍
 上部組織:地球防衛軍隊司令
 隷下部隊:不明

 空母に随伴する護衛戦力ないし、水雷戦隊のような快速艦隊と思われる。恐らく後者の線が強い。空母は5杯がせいぜいで、結局運用できたのは3杯のみであるから、空母を要する機動部隊では意味が通じないだろう。
 空母の護衛ならば木星連合艦隊で十分であろうが、であるならば雷撃の専門艦隊だろう。劇中の後の配備先の可能性としては、ヒペリオン艦隊あたりか。

 

 登場話:第19話
 第6機動艦隊:戦力不明

  ※他にどんな戦力があるか不明。劇中に描写なし。

 

 

 名称:巡洋艦
 規模:艦隊
 戦力:不明
 配備地/作戦域:不明
 指揮官:不明
 所属:地球防衛軍
 上部組織:地球防衛軍隊司令
 隷下部隊:不明

 詳細不明。専科艦隊の類と思われる巡洋艦のスペックを考えるに、雷撃力も優れるが砲戦能力により優れた力を発揮する艦隊である可能性が高い。水雷戦隊では無く、主力戦艦で編成された艦隊に準じる砲戦系艦隊として編成されたとするのが妥当だろう。
 恐らく、主力艦隊の砲戦能力向上のために招集されたとみられる。

 

 登場話:第19話
 第7巡洋艦:戦力不明

 ※他にどんな戦力があるか不明。劇中に描写なし。

 

 

 

 土星決戦における編成(第21話)

 名称:地球防衛軍艦隊
 規模:連合艦隊
 戦力:戦艦36、巡洋艦81、空母3、パトロール艦・駆逐艦複数
 配備地/作戦域:タイタン前面域
 指揮官:土方竜(アンドロメダ艦長を兼任)
 所属:地球防衛軍
 上部組織:防衛司令部
 隷下部隊:ヤマト機動部隊、タイタン主力艦隊、ヒペリオン艦隊、レア艦隊、ディオネ艦隊、カッシーニ予備艦隊

 地球艦隊の総力土方総司令の独断で配置転換されたもので、バルゼー艦隊迎撃を第一目標に据えた艦隊である。バルゼー艦隊の太陽系侵攻以前は恐らくタイタン基地に置かれていた司令部だが、土星決戦を直前にアンドロメダにその機能を移したと考えるのが妥当。

 艦隊の総力を挙げてバルゼー艦隊を迎撃し、撃破したしかる後に艦隊を集結させて白色彗星への攻撃に移った。

 ――以下、地球防衛軍艦隊の隷下部隊の考察に入る――

 

 
 名称:ヤマト機動部隊
 規模:艦隊(ヤマト及び旧外惑星巡航空母艦隊)
 戦力:戦艦1、空母3
 配備地/作戦域:タイタン前面域
 指揮官:古代進
 所属:地球防衛軍
 上部組織:艦隊司令部(土方幕僚部)
 隷下部隊:なし

 ヤマト、宇宙空母の2大航空戦力を以て編成された地球艦隊の航空戦力。唯一にして全力の航空戦力である。事実上戦艦である各空母が単艦で自らの護衛をこなす極めて戦闘的艦隊であり、大抵の任務に投入することが可能な特殊な艦隊。

 残念ながら、実際には宇宙空母は砲戦に参加しなかったが……。

 

 土星決戦において――

 彼我の戦力格差を危惧した土方総司令の秘策として緊急的に出動、ヤマト航空隊はほとんどレーダーを使わずに索敵を敢行。真田機の活躍によりフェーベ沖に潜伏していたプロキオン方面軍を発見。この通報により機動部隊は総力を挙げた戦闘に移行する。

 真っ先に命令を受けた第一空母は直ちに第一次攻撃隊を発進、続いて大量の雷撃隊を発進させる。フェーベ沖に到達した航空戦力は、先に発進したヤマト航空隊が先陣を切ってプロキオン方面軍に突入、しかる後に宇宙空母の雷撃隊が突入。果敢な雷撃を行い敵空母の甲板を散々に破壊し敵艦載機の発進を不可能にした。

 更にヤマトが前進し砲撃を敢行、空母を叩いたのちに護衛艦に照準を合わせて攻撃。同方面軍を壊滅させた。
 

 続いて、ヤマト航空隊はタイタン前面域での戦闘に参加し、バルゼー艦隊を追い立て主力艦隊の勝利に貢献。同艦隊は土方司令の主力艦隊によるシリウス方面軍撃滅を見届けたものの……突如ワープアウトした白色彗星の重力圏につかまり脱出できず、艦載機もろとも吸い込まれてしまった。

 恐らく残存艦はヤマトのみ。ほぼ全滅したのは宇宙空母の推力が図体に比べて弱かったのが原因だろう

 


 名称:ヒペリオン艦隊(前衛艦隊)
 規模:艦隊
 戦力:戦艦複数、パトロール艦複数、巡洋艦複数、駆逐艦多数
 配備地/作戦域:ヒペリオン周辺域からタイタン前面域
 指揮官:氏名不明(旗艦である主力戦艦の艦長を兼任)
 所属:地球防衛軍
 上部組織:艦隊司令部(土方幕僚部)
 隷下部隊:恐らくフェーベ環艦隊、ヤペトゥス艦隊

 主力艦隊に先んじてバルゼー率いるシリウス方面軍を攻撃、戦陣を乱すために出動した。戦力規模は比較的小さく、戦艦は旗艦の主力戦艦1隻程度で他はみな中型・小型の快速艦で固められている。隷下部隊は艦隊配置より推測。


 土星決戦において――

 土方司令の出動命令を受領し直ちに出撃、自慢の快速を以てバルゼー艦隊の後方から追いすがり、早々に砲戦距離目前まで詰め寄った。他方でバルゼーは艦隊を二つに分けて正面から迎撃を志向、対峙させる第二艦隊には準決戦兵器である衝撃砲の発射準備を下令した。

 ヒペリオン艦隊は第二艦隊を射程圏に捉えると、果敢にもショックカノンを以て砲撃を開始した。しかし、電子戦でも行われたのか、敵艦隊に対する着弾は劇中では無し。一方で第二艦隊は満を持して衝撃砲を以てこれを砲撃、次々に一撃で粉砕していく。アンドロメダ艦橋内のパネルによれば、ヒペリオン艦隊は一歩も引かずに交戦を続け、第二艦隊を圧迫、第一艦隊=味方主力艦隊の方へと押し込むことに成功

 だが、ヒペリオン艦隊の活躍もここまで……奮戦敵わず、最後に残った旗艦も第二艦隊が放つ衝撃砲の餌食になってしまった。

 最期の司令が発した「我が旗艦の……」の後に続く言葉は永遠の謎。出力か火力か射程か防護力か、何かが敵に及ばなかった事を示すと思われる。


 一応、敵陣を乱す――主力艦隊に当たる敵艦隊を削ったことは事実。更に、戦況は全体的に不利とはいえ一時は猛打で敵第二艦隊を圧迫することに成功した。衝撃砲さえなければ、互角の勝負が出来たかもしれない。衝撃砲さえなければ主力艦隊前進まで踏ん張ることが出来たかもしれない

 その段階までヒペリオン艦隊は踏ん張ったのである。確かにヒペリオン艦隊は負けた。だが……これは結構、活躍できたと評せるのではないだろうか。

 

 


名称:タイタン艦隊(主力艦隊/土方幕僚部)
規模:連合艦隊
戦力:戦艦多数、巡洋艦多数、駆逐艦複数
配備地/作戦域:タイタン前面域
指揮官:土方竜
所属:地球防衛軍
上部組織:艦隊司令
隷下部隊:恐らくレア艦隊、ディオネ艦隊

 あらかたの大型艦をかき集めた大火力艦隊にしてバルゼー連合艦隊を正面から打ち破れる唯一の艦隊土星決戦時、ヤマトを除けば地球連邦が保有する切り札、最後の砦でもあった。

 構成としては――戦艦を集中配備し、巡洋艦を以て拡散波動砲及びショックカノンのエネルギー投射量拡大を図ったもの。更に、これら重要艦艇に対して敵空襲や小艦艇の強襲に対抗すべく多数の駆逐艦を配置し、これの護衛とした。

 

 土星決戦において――

 ヒペリオン艦隊に構わず直進する、バルゼー直隷の第一艦隊を正面から迎え撃つべく出動。元来の作戦は快速のヒペリオン艦隊が敵艦隊を圧迫して押し込め、その状態で主力艦隊が突撃・砲雷撃戦を敢行するはずだったと思われる。

 しかし、大火力の衝撃砲というリスクと、ヒペリオン艦隊の壊滅を受けて戦闘プロットの変更を強いられた。そこで土方総司令は密集の利点を有し敵の出方を見極められかつ、命中すれば敵戦力の大幅な漸減が見込める拡散波動砲発射隊形を展開。直進、強襲に対しても十分対応できるはずだった。

 ところが、バルゼーの旗艦メダルーザが放つ火炎直撃砲の圧倒的な射程を前に、味方艦隊は一方的に大損害を負ってしまう。これ以上の損害を避けるべく艦隊は土星本星へ転進、後衛や予備戦力と合流しつつ反撃の隙をうがった。

 火炎直撃砲の性質に気が付いた土方総司令は、援護すべく高速で接近中だったヤマトに下令し、コスモタイガー隊による敵への空襲を行い、土星の環へと誘い込む。丁度艦隊は環から脱したタイミングで――功を焦ったバルゼーの火炎直撃砲が彼ら自身に牙をむいた。乱気流が発生し、バルゼー連合艦隊は隊列を崩す。

 土方総司令はこの機を逃すはずなど無く、直ちに反転しショックカノンの斉射によってこれを打ち破った。そして果敢にも単独で反抗を試みた敵旗艦メダルーザを撃滅するに及び、勝利を収めたのである。

 

 これと時を同じくして、プロキオン方面軍を打ち破ったヤマト機動部隊と合流――その目前に白色彗星が突如ワープアウト。緊急的に白色彗星迎撃を行わなければならなくなった。 

 白色彗星の奇襲的攻撃に艦隊は動揺、複数隻の巡洋艦や空母などがその超重力に飲み込まれてしまった。しかし、残存艦艇はその超重力に拮抗、拡散波動砲による一撃を加えるべく艦隊は速やかにマルチ隊形を展開。直ちに発射体制を整え、間髪入れずに発射し見事ガス体を取り払った

 だが、続く都市帝国との戦闘には敵わず――回転ミサイルの乱射に対して艦隊は反抗できず、ほとんどが撃沈されてしまう。恐らく、火力維持のために機関を過剰に回して損傷させ、それにより艦の機能がそれぞれ著しく低下してしまったのだろう。

 旗艦たるアンドロメダは最後まで踏みとどまったが、しかし、制御も反撃もままならず回転ベルトに激突、爆沈。これにより艦隊は完全に消滅した。

 

 地球防衛軍が編成した史上最大最強の戦闘艦隊がこのタイタン艦隊だろう。重火力の拡散波動砲に最大のウェイトを置いた艦隊編成で敵艦隊と腰を据えた戦闘を行うための編成だろう。

 彼らは十分にその役割を果たし、バルゼー艦隊を撃破してかつ白色彗星のガス体をも取り払うことに成功した。しかし、それ以上の活躍は――ストーリー展開的に必要なかったし、艦隊の状態から考えても極めて難しかった。

 

 

 

 下記5個艦隊はタイタン基地において各司令や艦長に示された作戦配置図と土方総司令の口から語られたに過ぎない。それ以上の描写はなく、仔細は不明。確かに、一部艦隊は配備状況からその戦力が推測可能だが……基本的には不明

 合流した描写もないが、可能性としてあり得るのは転進中は各衛星の影に隠れ――艦隊集結の命令が出ると同時に出動、気流にもまれるバルゼー連合艦隊を攻撃した。

 と説明するのが妥当だろう。

 
 名称:レア艦隊(後衛艦隊)
 規模:2個艦隊以上
 戦力:第15宇宙艦隊、第16宇宙艦隊
 配備地/作戦域:レア周辺域からタイタン後方域
 指揮官:不明
 所属:地球防衛軍
 上部組織:艦隊司令部ないしタイタン艦隊
 隷下部隊:なし

 
 名称:ディオネ艦隊(後衛艦隊)
 規模:艦隊
 戦力:不明
 配備地/作戦域:レア周辺域からタイタン後方域
 指揮官:不明
 所属:地球防衛軍
 上部組織:艦隊司令部ないしタイタン艦隊
 隷下部隊:なし

 

 名称:カッシーニ艦隊(予備軍)
 規模:艦隊
 戦力:不明
 配備地/作戦域:カッシーニの隙間(間隙)
 指揮官:不明
 所属:地球防衛軍
 上部組織:艦隊司令部(土方幕僚部)
 隷下部隊:なし

 

 名称:ヤペトゥス艦隊(恐らく前衛艦隊)
 規模:一個艦隊
 戦力:第24艦隊
 配備地/作戦域:ヤペトゥス周辺域
 指揮官:不明
 所属:地球防衛軍
 上部組織:艦隊司令部あるいはヒペリオン艦隊
 隷下部隊:なし

 
 名称:フェーベ環艦隊(恐らく前衛艦隊)
 規模:艦隊
 戦力:不明
 配備地/作戦域:フェーベ環域
 指揮官:不明
 所属:地球防衛軍
 上部組織:艦隊司令部あるいはヒペリオン艦隊
 隷下部隊:なし

 

 以上、残念ながらこれらはシーンとしての描写なく設定上のものとなった。

 

 

 

 ヤマト2において、地球艦隊は非常に多彩な艦隊編成や戦力配置を見せた。しかも結構明確な運用目的というか、合理性もあり描写と合致した面もかなり多く、ヤマト2全体にわたって見られるウォーシミュレーション的側面が非常に強い。

 これがヤマト2という大して評価の高くない作品中の出来事である土星決戦が、ヤマト史上最も熱い戦いの一つと数えられる所以であろう。

 そして土星決戦はこれらの様々な設定が支え、盛り上げているのである。

 

 多少、不合理な感のする名称であるとかは一部存在するが、話にならないほどひどい設定でもない。惜しむらくは全てがざっくりした描写に留まるという事であるが、当時のアニメ制作環境を鑑みると、ファンとしてあまり贅沢は言えない。

 もっと簡潔に演出すればよかったのに、という批判はあろうが――それでも幾らか軍事マニア的要素がある人間であれば、一連の設定は結構テンションが上がるものではあった。何より、ヤマトを艦隊戦アニメとして決定付けかつ体現するのがこれら一連の設定と描写では無いのだろうか。

 

 少なくとも第18話以降、私のテンションは爆上がりだった。