旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

ガミラス兵器群 駆逐型ミサイル艦

 

 

 ガミラス艦艇の中で恐らく最小。少なくとも艦としては最小であろう。しかも宇宙戦艦にしては珍しい前方への武装が限定的で指向がほぼ不可能。いびつと言えばいびつ、意味不明と言えば意味不明。

 そんなミサイル艦について考察してみたい。

 

 

 ――データ――

 艦級名:不明
 全長:不明
 全幅:不明
 自重:不明
 武装:大型エネルギー砲2門(目)、小型エネルギー砲4門(目)、艦尾不明砲塔1基、フィン部魚雷発射管・片舷1門

 

 かなり小型で、細身の艦体。基本的なデザインはガミラス艦と共通だが、やはり主砲塔が艦後部にしかないというのが非常に独特。主砲塔は結局何が何だか不明で、支持架二本と十字発射口を備えた単装砲という、意味不明。なんなら3連装フェーザー砲に書き換えられているシーンもあるため、正直そっちの方が見る方も描く方も考える方も楽。

 クルーザーよりも小型ではあるが、割合に似た形状の艦橋。ただ、こちらはドイッチュラント(後のリュッツォウ)に近い。砕けた表現をするならば、全体としては日本昔ばなしの子供がトノサマガエルに乗っかったみたいな感じ。艦橋デザインがあの子供の頭っぽいからつい……

 大して活躍もしていないのだから、他の艦を差し置いて名前なぞあるはずもないとは思っていたが……やはりなかった。ここまでくると逆に、無い事に期待してしまうレベルだ。海外では〈Eradicator〉というクラス名で呼ばれているらしい。



 ミサイル艦、その武装
 恐ろしいのは砲撃力の無さ。艦首方向に対する砲撃は目玉の大型ビーム砲にひたすら頼るしかない。しかも、大型と言ってもこの艦の艦体に比べて、という事だ。結局小型でしかない。射撃の形式は他の艦の大型ビーム砲と同じなのだろうが……これはほとんど火力がないに等しいのではなないだろうか。

 大型ビーム砲がいざという時にぶちかます下方であるとすれば、このミサイル艦は常にいざという時という事になってしまう。ちっこい目玉4つがもう少し汎用性の高い火砲であれば、もしかすれば火力として信頼できるのかもしれないが……正直よくわからない
 無論、小型の艦体に無理やり多数の砲を設ける必要はないし、無駄所の話ではない。だが、だったらパルスレーザー砲でも載せてあげればいいのに……。不明の砲塔も結局背後に背負っているため、艦首方向の戦闘には全く用をなさない。何がしたいのはちょっと意味不明。


 ミサイル艦と言うが、ミサイルを発射したシーンは私の記憶には無い。

 一部のゲームでハッチを開き、そこからバーッとミサイルをぶっ放したらしい。まあ、それが妥当な所だろう。ハープーンとかタータ―とか(例えが古くて申し訳ない)を堂々と載せられるよりかは、リアリティがあっていい。

 小型の艦体であるからそう多数のミサイルを抱えるわけでは無いだろうし、デストロイヤーやクルーザーより高速であろう。これって単なるミサイル艇でしかないのだが、ミサイル艇は高速で奇襲的に襲撃するのが特徴。そのための大火力をミサイルに頼るのは、ごく自然。

 ミサイル艦という存在自体は結構合理的でリアリティのある設定ではないだろうか。火力や配置が不安だけど

 

 

 

 駆逐型ミサイル艦、その名称
 駆逐型ってなんだよ。普通にミサイル艦と名付けない理由がない。

 まあ、無理やり理由を付けるとすれば……ミサイル艦にも種類があり――高速型ミサイル艦、砲撃型ミサイル艦、警戒型ミサイル艦、多用途型ミサイル艦、偵察型ミサイル艦、護衛型ミサイル艦、コルベット型ミサイル艦……等々の型が複数建造され、運用されていた。と説明をすることが可能だ。 

 だが、そんなに種類があっても意味があるとは思えない。
 結局、ミサイルの量が一番多くなりそうな駆逐型がミサイル艦のベーシックとして成立したとするのが普通だろう。火力が高ければ、敵を牽制する目的でコルベットの様に使用することも可能だろう。

 逆に他の型が流行る理由が見つからない

 だってほかの艦に任務を任せた方が確実で安全だもの。

 

 

 

 全長の推定

 艦の全長は結局不明。恐らく、原作設定値は72メートルぐらいだろう。これはデストロイヤーの最小設定値であると同時に、デストロイヤーの約半分の全長。あんまり並んだシーンがない故に推測することも難しいが、大体この辺りなのだろう。

 数値の再設定を考えても、デストロイヤーより一回り小さい程度の値に収まればいいだけだから……1.9倍にしてしまえばいい。


 全長:72メートル(原作推定)/136メートル(再設定値)
 全幅:28メートル(原作推定)/40メートル(再設定値)
 自重:7000トン(原作推定)/1,500トン(再設定値)
 武装:大型エネルギー砲2門(目)、中型エネルギー砲4門(目)、艦尾不明砲塔1基、フィン部魚雷発射管・片舷1門

 

 興味深いのは結構艦橋が狭い事。普通の旅客機のコックピットと同じぐらいであり、二人で操艦を行う事だが、他の艦とは違い最下級と思われる人物による。ヘルメットをずっと着用し、まるで戦闘機の操縦のよう。

 やはり、原作設定値は72メートルとジャンボジェットと大差ない全長が一番しっくりくるか。

 

 

 劇中の活躍

 ヤマト第一作において登場。第9話にて冥王星前線基地の僚艦と共に突撃を敢行するも、ヤマトに届かず。以降、出番はなかった。

 ヤマト2においても登場、第3話においてデスラー総統の元へはせ参じた。が、以降は出番がなかった。これは、正直大人の都合だろう。説明しようと思えば可能だが。

 新たなる旅立ちにおいても出番はなく、ヤマトⅢにおいてもその姿は――私は確認し損ねた。このままフェードアウトするかと思われたのだが……

 何と、ヤマト完結編において大活躍を見せる

 ガルマン・ガミラス滅亡の危機と友人の危機の二つの危機を抱えたデスラー総統。そして彼は一刻を争うヤマトのピンチに対して艦隊を率いて駆け付けた。

 その艦隊を構成していたのはこの駆逐型ミサイル艦だったのである今まで完全に端役以下だったこの駆逐型ミサイル艦が艦隊の中核をなし、2代目デスラー艦の周りを固めていたのである。そして、ディンギル岩石ロケット群にデスラー艦と共に突っ込んでいった。今までほとんど使ってこなかったあの大小ビーム砲を盛んにぶっ放しながら邪魔者共に突っ込んでいったのである。

 結果、自身も壊滅してしまったのかは不明だが、少なくともディンギルを壊滅させたのである。最後の最後で大活躍を見せたのだ。

 

 

 駆逐型ミサイル艦は立ち位置からすれば、デストロイヤーの補完艦種となるだろう。デストロイヤーより高機動で雑務をこなし、いざという時の火力補完を行う。平時でも有事でも十分活躍の場を自ら見付けられる戦闘艦と言えるだろう。

 ガルマン・ガミラス建国に際しデストロイヤーは第一線からは退いたが、海防艦としてその価値は損なわれなかった。恐らくこのミサイル艦も同様に重武装コルベットとして同様の任務を辺境地で行っていたのだろう。

 

 

 一見すると意味不明な武装であるが、立ち位置からすれば仕方のない面が見えてくる。一見するとなんだかいてもいなくてもいい気のする艦だが、いたらいたで利用価値はある。そんな不思議な戦闘艦。

 しかも、最後に面目躍如の活躍をする。

 ヤマト旧作シリーズを通してみた人間にのみ、その価値が判る戦闘艦と言えるかもしれない。