旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

大帝星ガトランティスの考察 敗戦後の予想

 


 ガトランティスのその後は推測するのは簡単である。似たような体制の国家の末路や、ガトランティスの性質を考慮すれば、一つには絞れないだろうがいくつかの可能性は提案できる。
 以前にも軽くは触れたが、これを深く考察してみたいと思う。

 

 


 国家が消滅した際の末路は以下の4つに大別可能である。というより、これ以外の選択肢はあまりなく――あっても名目的なもので人民を伴ったものでは無い。

 

 1:完全滅亡
 2:継承国家成立+鼎立
 3:流民化
 4:他国による併合

 

 色々な類例を出すことが可能であり、適宜示すのもいいが――非常に例が多くなってしまうため、今回は最初に類例を示してイメージを掴みやすくしようと思う。

 類例(一部重複)


 1:ジュンガル羯族西夏、四川人、カランカワ、タスマニアアボリジニ、アント人
 2:マケドニア帝国、ローマ帝国東ローマ帝国、フランク帝国、漢帝国モンゴル帝国、パルティア、ササン朝月氏オスマン帝国ムガル帝国
 3:殷、南宋、エフタル、クルド人ロシア帝国、英委任統治パレスチナ、アラカン王国(ミャウー朝)
 4:チベット、テュルク、ポウハタン、アステカ、エチオピアソコト、モノモタパ、コンゴ、ズールー

 

 

 

 その後の考察
 1はまずありえない。だってアンドロメダ星雲を制覇しているのだから。さらばにおいても、ヤマト2においても白色彗星の後方ないし前方に兵站基地的な惑星を設けてここで資源を収奪している。ここで他勢力の侵入を排除する駐留艦隊が存在していて不思議はないし、これが各地にあれば、場合によっては連携を取って第二次彗星帝国のような物を作ったとしても不思議はない。


 ガトランティスは確かに植民地経営をするという考え方がない可能性が非常に高い。他方で、基地を設置して運用するという事は当然考えている。ヤマト2において地球を侵略した理由は宇宙征服の拠点の一つとしてこしらえることも念頭に入っていたことが明確に語られている。

 これらを考え合わせると、どうあがいても物理的に勢力は少しは残るのだ

 ジュンガル羯族、四川人のようにある意味で悪意というか憎悪やむき出しの敵意を以て攻撃を受けた民族ならば絶滅の憂き目もあろう。が、広大な宇宙という事を鑑みても、たとえガトランティスが憎悪の対象となったとしても存在が完全に消えることはないのである。

 ただ、再建は非常に難しいだろうからガトランティス単独のまとまった勢力としての未来は描きづらい

 


 4の場合、ガトランティス自身が強力な侵略国家である為この想定は難しい。

 ガトランティスの地位を奪うのは同じガトランティスというのが相当だし、彼らを取り込むには戦闘を繰り広げなければならないがこれが難しい。もっと言えば、自給自足の概念に乏しいガトランティス単独であれば、他国の侵略を待たずとも消滅している可能性が高い。
 地球に限って言えば、地球は彼らを取り込まないだろう。ガトランティスに多数の生き残りが太陽系にいるとは思えず、アンドロメダ星雲内の――ガトランティスの後衛を迎えに行く理由もないし、わざわざ地球が攻撃を仕掛ける理由というか体力がない


 ガトランティスの後衛が、アンドロメダ星雲に侵入してきた勢力と戦闘を行う可能性は十分あるし、これが敗北した結果併呑される可能性はある。

 が、ガトランティスの戦術から考えて一か所にずっと留まるという可能性は低く、正面切って交戦したり併呑されるという可能性は非常に低いだろう。転戦してそのうちアンドロメダ星雲を脱出して……南宋のように艦隊自体を本拠地とした勢力を築く可能性の方が高い。

 併呑されるより残存勢力が勝手に衰退していくというシナリオの方が自然南宋人やクルド人っぽい事になりそう……。

 

 


 3の想定は4の想定と半分被る。何なら2とも被る
 ガトランティスの勢力が全て、拠点となりうる惑星から追い出された場合に、成立する可能性があるだろう。
 少なくとも、太陽系に突入したガトランティス本隊の生き残りは確実に流民化する。先に述べた通り、地球は受け入れないだろう、受け入れたとしてもどこの国が責任を持つのか等々様々な問題に直面し、相当美男美女であるとか国家にとって有益な人材以外は全く持って所在がなくなる。
 ガトランティス後衛が流民化する可能性としては、別の侵略国家の登場や国家間の戦闘によって敗北や荒廃で惑星を失った場合に限定される。
 恐らく、この可能性は2と4の過程を過ぎた後のガトランティスの末路として想定が可能だろう。そりゃ、一部ははじめっから流民化しても不思議はないが。

 


 3が一番可能性が高い。というか一番妥当
 当然太陽系内には残党が多少いても勢力は築けないだろう。となれば、主たる場所はアンドロメダ星雲に置いて行かれたガトランティスの後衛だ


 まず、したたかな現地勢力と、バランス感覚のあるガトランティスの現地司令が手を組めば周辺域を征服できる小さな帝国は建設可能だろう。これは地味に強力。イメージとしてはモン・カラマリの支援を取り付けた反乱同盟軍の立場(どう見たってガトランティス銀河帝国のイメージではあるが)といったところか。

 現地勢力が上から下まで結びつきが強ければ、反乱という内部の爆弾を抱えずに済む。人員の補充も確保可能だろうし、安全な物理的な拠点を確保出来ているというのはかなり好都合。
 現地勢力が専制的であった場合はいつ反乱を起こされるかわからないため若干まずいが――最悪それを打倒して民衆の味方ぶれば、多少は立つ瀬もあるだろう。

 

 ガトランティス人単独で勢力を形成するならば、現地の勢力というものは一掃したかほとんど微弱なものであるという前提が必要だろう。この場合、兵員の補充に結構キツイ問題を抱えることになる。今までのようなバカスカ攻撃をしまくって人員を無駄にしかねない戦い方は二度と出来ない


 現地勢力をガトランティス側がからめ捕りにかかる場合、現地を分断なりする必要が有る。あるいはゼロからガトランティスに染め上げる必要が有る。やって出来ない事はないが、手間がかかる上に計画的に行わなければならない。この手合いの政治であるとか教育はガトランティスの性質からして本国一任ないし、後衛の総司令官的立場の人間に任されるとするのが妥当だろう。権力の非分散。であるならば、総司令官が踏ん張ることが出来れば勢力の建設は難しくはない。
 が、総司令官が本国敗北のあおりを受けて部下の信任を失うなどすれば一気に脆弱になってしまう。勢力を形成も難しくなる。戦闘のプロでも政治のプロではない人間がこの手合いの事業を推し進めるとなれば、簡単にはいかない。

 

 一番妥当な想定だが、当たり前だがそう簡単に事が運ぶ可能性は非常に低い。いくらフィクションであっても。

 

 


 他の可能性

 他の可能性は当然考えねばならないだろう。人間は案外とんでもないモノに惹かれたりもするし、或いは転機の到来によりなにがしかの大志を抱くこともあろう。

 つまり、反ガトランティス親ガトランティスの発生という可能性だ

 なお、これは2202では無く、スターウォーズを見た後に思いついた話。どうでもいいけど私は割とキット・フィストー推し。プレデターとか……基本、ドレッドヘアー的な頭の宇宙人が好き。

 

 A:反ガトランティス勢力の登場
 B:親ガトランティス勢力の登場

 

 反ガトランティスは非常にわかりやすい。現実の世界でもフィクションの世界でも戦争ものでは必ず現れるレジスタンス勢力だ。

 白色彗星という強力な移動兵器が有るから大抵の国が首を垂れざるを得ない。が、これが遠くへと去った――反撃のチャンスである。ガトランティスイデオロギーは、宇宙は全てガトランティスの者であるという非常に尊大なものである。
 ガトランティスであれば、すべて自由だが、ガトランティスでなければ一切の自由がない。当然、反発を受けるだろう。これに喜んで統合される勢力があるとすれば、それは元々の支配勢力を余程嫌っていたというかなり極端な例や、終末を望む破滅主義な人間だけだろう。
 だからと言って、そう簡単に立ち上がれるはずもない。

 どう考えても銀河帝国より強力で破壊的な兵器=白色彗星を持っているのだから、反ガトランティス軍もそう自由に活動できないだろう。故に、他の勢力を引き込むと言うような工作も必要だろうし、あちこちに発生した同志を結び付ける必要だってある。これらがガトランティス本国滅亡の知らせを受けて、一気に攻勢に出る可能性も十分ある。うまく各個撃破出来れば、反乱軍にも十分勝ち目があるだろう。

 

 

 親ガトランティスの登場もあり得なくはない。
 身の程知らずにも自身を征服する側の人間だとして、ガトランティスに迎合する、その再来を熱望する勢力が多尿する可能性は決して少なくはない。税金を搾り取られる側のくせに、税金の無駄遣いを平気で容認して、それで国家への貢献だとか――マゾヒスティックな考えの人も、ネットには結構いるから想像はつくだろう。

 この質の悪い集団が、周囲にガトランティスとほとんど関係ないにもかかわらず、同じような侵略戦争を吹っ掛ける事態は十分考え得る。この勢力がガトランティスの残存戦力に協力してくれれば、ガトランティスが再起は出来ない事はない。

 しかし、この手合いのヤツは自分たちこそが本流だと確信していたりと色々扱いがヤバイ。本流の流儀を会得している可能性は確かにあるだろうが、それは前提条件付きであり……。反対に勘違いして「我らこそ正統」とガトランティス残存を攻撃してきかねない。ネオナチなんて、ナチスから嫌われていたが――何と彼らはナチスの高官の一部を非ナチス的などと言って批判していたりする。めんどくせぇ……。

 

  反ないし親ガトランティス勢力の登場は恐らく、ガトランティス勢力が3の状態になった際に大きな役割を果たすだろう。宇宙からガトランティスの名が完全に消え去る保の一押しか、再建のための礎となるのか。これは不明。

 

 

 

 結局ガトランティスは滅亡した。その後の登場もなかった。強力な本隊が消滅した以上、全ての勢力を統括するような指導者は現れないだろうし、それだけの力を取り戻せる可能性は低い。ガトランティスの敗北の理由の一つにガトランティスという勢力のガバナンスに問題があったのも、再建が難しくなる要素だ。加えて、オリオン腕に再び侵攻するだけの物理的な力もないだろう。

 残存勢力は恐らくガミラス以上に困難に直面するだろう。なにせガトランティスは絶対的なイデオロギーを失ったのだ。再起は――やはり困難といわざるを得ない。その意味では、ガトランティスの名前が以降のヤマトシリーズに登場しない事も、彼らの主戦場がアンドロメダ星雲に移った為と説明可能になる。

 主戦場が太陽系から外れれば、ヤマトシリーズに姿を現せないのも当然であるといえる。