旧作ヤマト考察協会

第一作から完結編まで、旧作宇宙戦艦ヤマトを出来る範囲で現実的に考察するブログです。

それはやべぇだろエピソードTOP5(さらば/ヤマト2編)

 

 宇宙戦艦ヤマトには「そんなのアリかよ」とか「それはねぇだろ」と言うようなエピソードが多数ある。大半は説明が可能だが、さすがに呆れてモノが言えないエピソードもいくつかある。これに触れないのはご都合主義にもほどがある為、避けて通らないようにしたい。

 そこで、今回はガトランティス戦役に焦点を絞って紹介したいと思う。

 

 

 やべぇだろエピソードTOP5

 第5位:多弾頭砲

 登場エピソード:さらば/ヤマト2・第14話

 ノミネート理由:戦闘終結は同じ尺でいくらでも別の方法があった。ストーリー展開・戦闘描写が雑で妥当性が乏しい。

 

 極めて残念。何せ、格闘兵団と空間騎兵隊の正面切った熱い戦闘をぶった切って無理やり終結させてしまったのだ。あんな唐突な……“作品”として完成させる気が合ったのか、製作陣のやる気について非常に疑問を感じるシーンであるこのあまりにもテキトーな展開をさせるよりも、端っから上陸戦を全カットした方がよかった多弾頭砲で無理やり戦闘を終わらせたことによって、作品の価値というものは大きく棄損されたといっていいだろう

 尺がなかった――だったら古代と雪のシーンをぶった切ってでも整合性を取れよ。意味なくなげぇし、中身がない。アレを削除してちゃんと戦闘を描いた方がずっと作品の価値が上がっただろう。

 つーか、あるんだったら最初持ってこいや!

 

 

 第4位:地球防衛軍における戦艦ヤマトの扱い

 登場エピソード:さらば/ヤマト2・第2話(参謀の発言等)

 ノミネート理由:無理やり反乱を起こさせようという雑なストーリー展開

 

 いくら何でも、完成の翌年に廃艦どうのこうのの話が出るのはおかしいだろう。損傷が激しいのはある程度分かるが、だからと言って廃艦というのはあまりに過激な判断。

 ヤマト帰還までに主力戦艦の建造が開始されていたとしても、ヤマトが貴重な戦力であることには違いない。これを改修も補修もろくにせずに何となくな感じて運用していたヤマト2、最悪である。さらばに至っては“懲罰廃艦”までされかかるのだ。

 確かに史実にも〈フッド〉の事例やハンガリーの海軍に対する理解不足、西太后の海軍予算流用など、不当ともいえる戦闘艦や艦隊の扱いがあるにはある。

 が、ヤマト廃艦というこの展開が物語として必要が有ったかは不明というか、疑問。もっと言えば、沖田艦とかの旧艦艇はどうなっているのか、アレだって改修すれば使えなくはない。あいつら、どこいった。

 確かに旧艦艇が軒並み潰されたとして、その流れでヤマト廃棄であるならば理解はできる。が、どっちにせよヤマトを中途半端に特別扱いしているという部分に関しては、大して合理性も必要性も無い場面

 物語に必要が有るかどうかという意味では、このエピソードは不必要だし擁護のしようがない。普通にテレザートからのメッセージを黙殺した地球連邦に対する反乱で十分だったのだから。ドックに眠るヤマトをかっぱぐるだけで構わないのだから。

 

 

 第3位:ヤマトの反乱

 登場エピソード:さらば/ヤマト2・第3話ラスト及び第4話

 ノミネート理由:まごうことなき法律違反。それを美談にしようという魂胆が見え見えな誘導。すごくおいしくない。

 

 反乱がうやむやになったことや、反乱をしたくなったという点については擁護可能だが、やっぱりストーリーとしては不必要

 何より、作品の内容がブレる。ブレまくる。しかも、最後の方は反乱だか何だかがうやむやになった――これが一番よくない。

 冒険譚なのか、軍記物語なのか。賛美アンチテーゼの対象が何なのかの方向性、そういったものが全てブレる。この作品の根本にかかわるものであり、それがブレるというのはあまりに……作品の価値を毀損してしまっている

 実は文庫版の方がこの反乱というものにウェイトが結構置かれている――のではあるが、反乱を起こさせた防衛軍が悪い、艦隊全滅まで反乱者のレッテルをはがさなかった防衛軍は無能だ。に終始しているため……ちょっとアナーキー過ぎて気味が悪い。

 結局この点は防衛軍も反省すべきだが、ヤマトはもう一段高いレベルで反省する必要が有る。そもそも反乱などさせずに、普通に調査任務を与えた方がよかった。

 いっそ、ヤマトクルーが白色彗星危機を感じず、むしろ防衛会議に疑問や危機を持つ。他方でヤマトクルーに手を焼いた防衛会議が無理やり調査任務をヤマトに命じ、これに不満を持ちながらテレザートに向かうという――ストーリー展開の方がよっぽど整合性が取れただろう。ヤマトⅢでやったプロットに近い展開である。

 松本作品っぽさが大幅に失われてしまうが、作品としてのまとまりを考えると、やっぱり邪魔

 この辺り2202には期待したんだけどなぁ~最初だけだけど

 

 

 第2位:さらばとヤマト2におけるテレサの扱い

 登場エピソード:さらば/ヤマト2・第14話から第17話+第24話・第26話

 ノミネート理由:大人の事情丸出し。しかも無意味どころか害悪な設定変更

 服着せたのは大人の都合だろう。また、ちょっとしたロマンスを加えて話に厚みを持たせようとしたのだろう。

 

 この判断は、テレサを普通の人間の範疇にしたという事で、彼女自身を巡る様々なエピソードを不必要に、オカルティックな超常現象的にしてSFっぽさを全く毀損してしまった

 ダース・シディアス銀河帝国もフォースによる支配に頼るオカルト帝国な側面があったが、概ねの場合において現実的な軍事力の有効性を認めていた。ファイナル・オーダーに関してはフォースによる銀河支配を第一と舌オカルト的側面を強く打ち出し――だからハックス将軍、ブチ切れてたんだよね――ていたが、他方で物理的破壊の面においては結局 帝国時代の焼き回しのXyston-class Star Destroyerを利用する(というのが妥当だとJJ・エイブラムスが判断したという事)事になった。

 考えてみると、シスだろうがジェダイだろうが一個艦隊を機能不全に追い込めても、惑星の破壊はできなかったものね。フォースの使い手であっても物理・科学に一定程度依存をするのは生身である以上仕方がない。

 ヤマト2はこれより圧倒的にひどい。ヤマト2の人間+α程度でしかないテレサが惑星を破壊し、挙句最後に超巨大戦艦に突っ込んでいた。これ、説明大変だよ? 当時の製作陣はいとも簡単に話をぶっこんでたけどさ。

 反物質の人間――正物質の我々普通の人間には一種の神のような存在であった彼女ですら白色彗星を打ち払う事は不可能であったであったはずなのに……ヤマト2はその困難を楽々と超えた。インフレもいいとこ。服を着せなければと思ったならそれはそれだが、別に設定を変える必要はなかった。島とラブストーリーなんで持ってのほか。

 何でロマンスを2つもぶっこむかなぁ。

 

 

 第1位:ヤマト2・第26話

 ノミネート理由:露骨なやっつけ仕事、テキトーな風呂敷の畳み方。

 見ればわかる。多分、2202はこの雑で感動の無いラストを参考にして見事その本質を受け継いだといえよう(超☆皮☆肉)。

 

 

 

 番外編

 あんまり数が多くなるとあれもこれも苦言を呈したくなるため、キリのいい5にとどめた。が、どうしてもこれはいらんだろ、まずいだろうというシーンを追加でピックアップしたい。 

 

 雪の乗艦(さらば/ヤマト2・第5話)

 ノミネート理由:尺がなげぇ、普通に乗れ。さらばにおいては、骸を艦長席に座らせるシーンで十分代用可な描写。

 圏外の理由:ヤマトファンに刺されたくないという私の保身

 杓子定規に言えば、違法行為。次いで、単純に無意味なエピソード

 フィアンセだからって甘すぎるぞ古代、ネコナデ声を出すんじゃないよ雪……。しかも、あとにデスラー艦内部での戦闘や病床やラストシーンで散々愛情深いシーンがあるのだから、いらんだろこのシーンは。

 雪を脱がせたかっただけなのかも知らんが。

 

 

 マルチ隊形批判(文庫版)

 ノミネート理由:単なるヤマトアゲの地球艦隊サゲの提灯

 圏外の理由:単純に、このブログで元来取り上げな方針の文庫版だから

 色々批判しつつ戦況をモニターし、挙句戦闘後には批判的かつ的外れ過ぎな総括ヤマトがスゲェかどうかは読む人間に判断させる、それをそれとなく誘導するのが書き手の腕の見せ所なのに、わざわざ書くか普通……この説明過剰は私のようなド素人がやらかしがちな大惨事。蛇足過ぎて一気にシラケた。何であの人に全部のノベライズを頼んだのか理解不能ここら辺は人事も含めて割と2202的といえる

 なお、ハードカバー版の方が合理的で中立的な描写と説明が加えられた土星決戦が描かれているので、興味があったら調べてみてください。

 

 

 と、これらのような地雷というか残念描写が多数あるのはまごうことなき事実一部には、深く考察すればするほど取っ散らかる部分もあったりする。ただ、だからこそ考察にし甲斐があるとも、いえるのである。そしてまた、局所的には合理性を担保可能な事例がほとんどだ。贔屓の引き倒し感がぬぐえないが。

 だが、当ブログを読んで「もう一度見よう」とか「旧作も見てみたいな」という感情にかられた奇特な方がおられるならば、あえて……過度な期待は禁物であると申し上げるだって擁護派の私ですら、ストーリー展開を合理的に考えると辟易する内容が上記の通りに……